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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:終わりの予感編
203/322

ステラソフィア☆マラー:これぞ遊惰な春休み ほか

【これぞ遊惰な春休み】

「なんかやること無くてヒマですねぇー」

とある午前中。

チーム・ブローウィングの寮室、カーペットの上でうつ伏せになるスズメがそう呟いた。

「たしかになんですよぉー」

その横、ソファの上で仰向けになるマッハがそう同意する。

「ここ最近、お2人とも1日中アニメばかり見ているようですけど」

萎れた野菜みたいになっているスズメとマッハの姿に苦笑しながらそう言ったのはチャイカだ。

「他にやること無いんですよー」

「他にやることがねーんですよー」

「そうですの……何か楽しいことが思いつくとよろしいですわね~」

そう微笑むチャイカに、

「そこはチャイカ先輩がどこかに連れて行って欲しいですよー」

とマッハ。

そしてスズメも

お母さんマミンコー、どこか行きたいですー」

と口にする。

「はいはい、パパが帰ってきてから考えますわ」

そんな2人に、チャイカも冗談交じりにそう返した。


【イヴァちゃんの方言教室】

「イヴァちゃん、やーなれーふかなれーってどういう意味なのかしら?」

「どうしたばー?」

「この前たまたま聞いてね。イヴァちゃんの地元の方言みたいだから……」

「それなら、イヴァの方言教室はじめるさー!」

「え?」

ふとサリナの尋ねた言葉に、イヴァはノリノリでそう言う。

そしてイヴァはSIDパッドを操作し始めると、ホログラムで黒板のようなものを表示し、文字を書き始める。

「やーなれーふかなれー。この“やー”って言うのは野原の野。つまり、野になれーって意味である訳さ」

そう言いながら、や→野などと解説まで付けて。

「ふかなれーは、一説には深いがなまったものと言われてるばーよ。深くなれー、つまり、野とは反対で森になれって感じであるわけよ」

「へぇ」

イヴァの話を聞いてサリナは少し感心。

「ということは、野になれー森になれー――――後は野となれ山となれ……と通じるさ?」

「なるほどね。つまり、後はどうにでもなれ、みたいな意味なのね」

「やさ! ……まぁ、嘘であるけど」

「ズコーっ!?」

ちなみに本当はやーは家、ふかは外で、家でやってることは外でもやってしまうという意味だとか。


【スズリコ大食戦!】

「……また太ってる」

体重計に乗ったリコリッタがそう呟いた。

「最近、お菓子を食べ過ぎだからかなぁ。と言って――――」

リコリッタが何か言おうとした時、チーム・ミステリオーソの寮室のチャイムが鳴る。

「はいはーい」

リコリッタが扉を開くと、そこに立っていたのはスズメ。

瞳を輝かせるスズメの手には丁寧に包まれた何か。

実はそれが最近リコリッタを悩ませるものそのものだった。

「もしかして、今日も持ってきたの?」

「はい!」

実はここ最近、ヒマな時にスズメはお菓子を作り、そしてそれをリコリッタの元へと持ってくるということを繰り返していた。

新作を作ってはリコリッタの元へと持ってきて、リコリッタはスズメの作ったお菓子を食べる。

その結果、リコリッタの体重がどんどん増えていく――と言うことだ。

実際、スズメの作るお菓子は美味しく、リコリッタ自身も食べたい気持ちと太りたくない気持ちが拮抗しながらも結局食べてしまっている。

「今日はザッハートルテですよ!」

「美味しそうね……ココア入れてくるから、スズメちゃんは座って待ってて」

「はい!」

対するスズメもリコリッタが出してくれるココアが好きだった。

2人腰かけ、ザッハートルテを食べてココアを飲む。

「美味しい」

「また何か作ったら持ってきますね!」

思わず口をついたリコリッタの言葉に、スズメが笑顔でそう言った。

その笑顔を見ていると、リコリッタもどこか仕様がないという気持ちになってくる。

「どうせなら、一緒に作りますか?」

「……それも、良いかな」

「それじゃあ、次作るときは呼びに来ます!」

イザナが見たら発狂しそうな雰囲気の中、2人だけのおやつタイムは過ぎていった。


【そして……】

「あ、マリアさん!」

「……スズメちゃん」

街中でたまたま見つけたマリアの姿。

スズメはマリアに声を掛けるが、心なしか微妙な表情を浮かべている。

「あ、もしかしてタイミング悪かったですか……?」

「そう言うわけでは、無い」

静かにそう微笑むマリアの姿にスズメは少し安心する。

「あ、マリア、やっほい!」

そこに突如としてマリアにかけられた声。

マリアはその声の主へと目を向けた。

「――――ローラ」

「マリアさんのお友達ですか?」

「……そんな感じ」

ローラと呼ばれた女性は、マリアと一緒にいるスズメの姿をマジマジと見つめる。

「もしかして貴女――――サエズリ・スズメ? ステラソフィアの?」

「はい、そうですけど……」

「へぇ」

ローラの声からは彼女の考えが読み取れない。

だが、スズメはどこか彼女の眼差し、声音に奇妙な不安感を抱く。

「ま、待ち合わせしてたんですか? それじゃあ、わ、私はこれくらいで失礼します!」

「――――うん」

どこかローラに威圧されてるような気分になったスズメは、そう別れを告げるとその場を去った。

スズメの姿が見えなくなった後、ローラが口を開く。

「彼女がスズメちゃんかぁ~。強いんだって?」

「……とても、強いわ」

「…………マリア、あまりステラソフィア生とは仲良くしない方が良いと思うんだけど」

ローラの言葉にマリアは静かに頷いた。

だが、頷きながらも、

「大丈夫。私は弱くなんか、ならないわ」

とローラの言葉の裏に含んだものへと反論する。

「そうね、マリアは強いもん」

わたしと違って――――そう言おうとしたローラはその言葉を飲み込んだ。

「もうそろそろ、3月も終わっちゃうね」

「…………4月は、くるのかしら」

「来るに決まってんじゃん!」

「マリア、ローラ――――行くぞ」

不意に1人の男性が声を掛けた。

「わかったわ」

「行きましょう!」


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