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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:溢れ出る個性編
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体、心、鍛えあげよう

「スズメちゃん! 一緒に体を鍛えてみないか?」

「あの、失礼ですけど……誰ですか?」

とある放課後、いつものメンバーで雑談をするスズメにそう声を掛けてくる1人の生徒がいた。

「俺はチーム・ジャスティホッパーの4年、ムラサメ・E・レントだ」

「ジャスティホッパー……エルダさんと同じチーム」

「ああ」

スズメの言葉にレントは頷いた。

「っていうか何なのよアンタ。いきなりスズメに変なことを言って」

そこでそう冷たく言い放つのはイザナ。

相手が上級生だろうと容赦はしない。

「体を鍛える? スズメが?」

「ああそうだ。スズメちゃんは毎朝ランニングをしているだろ?」

「はい、確かにしてますけど……」

スズメは毎朝、マッハと一緒に軽いランニングをするのが日課だ。

「その姿を見ていたら思ったんだ。君には才能があるって」

「何の……ですか?」

「筋トレのだ!」

ドン! と言い放ったレントの言葉に、スズメをはじめ一同は首を傾げる。

「すみませんけど、筋トレの才能ってよくわからないんですけど」

流石のサリナもレントにそう言ってしまう。

「俺には分かる――――スズメちゃんは体を鍛えれば最高に美しい筋肉を手に入れることができると! そして、それを手に入れるまで継続できる力がある――――それが、筋トレの才能だ!」

「何バカなこと言ってんのよ。スズメがそんなこと承諾するはずないでしょう」

明らかにイライラした様子で言い放つイザナだが、

「返事はスズメちゃんから聞きたい。どうだ?」

レントの言葉にスズメは少し考えるような素振りを見せる。

そんなスズメにレントが言った。

「体を鍛えれば、心も鍛えられる。君の筋肉も望んでいるぞ!」

「筋肉が、望んでる……! 筋肉がそう言うなら……」

「なんでちょっと惹かれちゃってるのよ」

「あ、でも」

そこでふとスズメが何かを思い出したように声を上げる。

「体を鍛えてムキムキになったら、装騎の操縦桿を壊しちゃいそうで怖いんですけど」

「操縦桿を……?」

スズメの言葉にレントは首を傾げた。

それはイザナやサリナ、ユウレイも同じく。

ただ、イヴァだけは「ああ」と手をポンと叩いた。

「この前、マッハ先輩と映画を見に行ったんですけど、そんなシーンがあって……」

「何なのよその映画……」

「メトパンさー! イヴァも見てきたわけよ」

「名前は聞いたことあるわね……」

「いやいや、それは映画だろ? 現実でそんなことはないぞ!」

実際問題、体を鍛えた女性の力で操縦桿が壊せるのならその装騎に問題があるとしか思えないわけだしレントの言い分は尤もだ。

「でも、何が起きるか怖いですし……やっぱり筋トレは……」

「そうか……」

スズメの言葉にレントはがっくりと肩を落とす。

「呼び止めて悪かった。じゃあな」

そして、レントはその場を去っていったのだった。

「危うくスズメがムキムキになるところだったわね……危ない危ない」

レントの姿を見送って、イザナがポツりと呟く。

「私はインナーマッスル鍛えられてるし! 見て見てこのインナーマッスル!」

「いや、インナーだから分からないわよ……でも、確かにスズメちゃんって引き締まった体してるわよね」

少し羨まし気にそういうサリナ。

「サリナは体重増えたんだっけ? 何キロ増えたんだっけ? 確か、5キロ?」

「うっさい!」

サリナは茶化すイザナの頭をはたく。

「ムキムキはどうかと思うけど、やっぱり痩せたいんだったら軽くでも筋トレした方が良いよー」

そんなサリナにスズメがそう言った。

その言葉にイザナも頷く。

「ま、私はサリナと違って食べても太らない方だけどね」

と同時にそんなことを口にし、サリナに再度はたかれた。

「でも、筋肉が付いたら体重増えるじゃない! ソレが嫌!!」

「サリナちゃん、ただ体重だけ落とせば良いってものじゃないよ……」

「それは分かるけど……わかるけど嫌なものは嫌」

キッパリとそう言うサリナに、スズメは苦笑する。

「イヴァは体鍛えたいさー」

そんな中、イヴァは言った。

「最近、体力の無さを実感するわけよ……。それにメトパン映画を見て、体を鍛えたくなったばーよ」

「装騎の操縦桿を壊すの?」

「そこまでは望んでないばーよ」

そして、今まで黙っていたユウレイも口を開く。

「筋トレですかぁ。わたしも体を鍛えれば筋肉がついちゃったりするんでしょうかぁ」

「幽霊が筋トレしても意味ないんじゃ……」

「わかりませんよ! 精神的なナニかが鍛えられて、ムキムキになっちゃったりするかもしれないじゃないですか!」

「まぁ、確かにアンタならありえるわね」

「そうね……」

「ユウレイちゃんなら……」

「だからよー」

今までも、何かとやらかしたことの多いユウレイ。

そんな彼女なら何が起きても不思議ではないと4人は思った。

気づけば時間も遅くなってきて、陽も沈みかけている。

「これからどうする?」

サリナの問い掛けにイザナとイヴァとスズメが続けて言った。

「そうね、売店行って」

「アイス食べて」

「筋トレしよっか!」

「筋トレはしない!」


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