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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:サービス編
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それゆけ、プラヴダ3人娘

「とまぁ、ここまで来たらあとは実戦だな。とりあえず、3対3で装騎バトルでもしてみるか」

「誰が出ますの……?」

「そうだな……あの子たちのタイプを見た感じだと……」

「うぉぉぉおおお、マハは突っ走りたいんですよォ!!」

騒ぐマッハをよそに、ツバサは言った。

「やっぱり、アタシとチャイカ、それとマッハちゃんかな。タイプ的にも似てるだろ?」

「やっぱりそうなりますよね……分かりました! 私は外から3人の動きを見てみます!」

「ああ、頼むぜスズメちゃん」

と、言うことでニスイ、リオン、ニカド対ツバサ、チャイカ、マッハの装騎バトルが幕を開いた。

「ニスイちゃん達は、リオンちゃんをトップに、そのサポートをニスイちゃんが。ニカドちゃんは指示と援護射撃――そんな感じでやってみて?」

スズメの言葉に3人は頷き、フォーメーションを組む。

リオン=シェムハザをトップに、ニスイ=アサリアが後に続き、さらにその背後からニカド=ラグエルが後を追う。

対するツバサ達のチームも、装騎チリペッパーをトップに、その背後から装騎スーパーセル、そして後方からの援護として装騎スネグーラチカ。

両者ともに同じような陣形を組んでの戦闘開始となった。

「よっしゃ、頑張るぜ!」

「ひゃぁっはー! ぶっ飛ばすんですよォ!」

まず初めに接敵したのは、先頭を行くリオン=シェムハザと装騎チリペッパー。

先手必勝とばかりに放たれた装騎チリペッパーの蹴りを何とかかわし、リオン=シェムハザが腕部ブースターによって加速された超振動バグナウによる一撃を閃かせる。

「甘いんですよォ!!」

だが、その1撃を装騎チリペッパーは易々と回避した。

その瞬間、リオン=シェムハザの背後から装騎チリペッパーを狙った銃撃が放たれる。

「おおっと!?」

「ニスイか、ナイスだぜ!!」

援護射撃を放ったのは、後方から追いついてきていたニスイ=アサリア。

ニスイ=アサリアの援護射撃でふらつく装騎チリパッパー。

そこにリオン=シェムハザの超振動バグナウによるクロー攻撃が閃いた。

「おお、結構やるじゃないか!」

どこか嬉しそうな声を上げながら、そう言ったのはツバサ。

ツバサはやや後方でリオン=シェムハザ、ニスイ=アサリアが装騎チリペッパーと交戦する様子を観察していたのだ。

「……ん?」

不意にそこに1撃の銃弾が撃ち込まれる。

「うおっ!? 痛っ」

慌ててバーストライフルを投げ捨てる装騎スーパーセル――瞬間、バーストライフルが火を噴いて爆発した。

その1撃を撃ち放ったのはニカド=ラグエル――そう、ニカドの狙撃が装騎スーパーセルの持つバーストライフルを撃ち抜いたのだ。

「に、ニスイさん! リオンさん! こ、後方に潜む、ジェレミエル型を発見しましたっ!」

そしてニスイは素早く狙撃位置を変えるように走りながら、2人に通信。

「諒解! って言いたいところだけど……」

「チッ、さっすがにしぶといぜ……!」

ニカド=ラグエルからの情報を貰ったニスイ=アサリアとリオン=シェムハザだが、2人はいまだ装騎チリペッパーを突破できずにいた。

ニスイとリオンの連携は十分――のはず。

だが、それ以上にマッハの操る装騎チリペッパーは強かった。

いくらカスアリウス・マッハがステラソフィアでは最弱などと言われていても、マルクト国内では有数の実力。

まだどこか迷いのある3人の力では及ばない部分があった。

そうこう手をこまねいている内に、ツバサの装騎スーパーセルが装騎チリペッパーと合流。

「良い腕してるなー。マッハちゃんの代わりに誰か1人欲しいよ」

「そんなことないんですよォ!!!」

そう言いあいながら、装騎スーパーセルのチェーンブレードの1撃が閃く。

「ぐぐっ」

その一撃をウェーブレイピアで受け止めるニスイ=アサリアだが、ブレードとレイピアではさすがに重みが違った。

「そこだっ!」

装騎スネグーラチカは一気にニスイ=アサリアのウェーブレイピアを弾き飛ばすと、そのまま機能を停止させる。

と、同時にリオン=シェムハザも装騎チリペッパーのキックブレードで切断されその機能を停止させた。

「あ、あああ、ニスイさんも、リオンさんも撃破!? あ、あとは、わたしだけ!?」

明らかに動揺を見せるニスイ。

そこに――――スナイパーライフル・リディニークの狙撃が撃ち込まれた。

「はい、一丁上がりですわ」

「さすがに……強い」

「そりゃそーだよなぁ」

「うぅ、ぎゃ、逆狙撃されちゃいました……」

バトルが終わり、3人がそれぞれ呟く。

「でも、良かったと思うぞ」

「ええ、あとは経験ですわね。今までとは少し違う動きも必要になると思いますし、そこに慣れていけば」

「ツバメちゃんも実力はあるから、アタッカーかレイダーとしてちゃんと動いてくれたらもっと良くなるんだけどなぁ」

「ガンガン行けばいーんですよォ!」

スズメ達の言葉を聞きながら、頷く3人。

「理想のフォーメーションはやっぱり、ツバメちゃん、リオンちゃんのツートップにニスイちゃんが援護、後方援護をニカドちゃん――の方がよさそうだな」

「コマンダーはツバメちゃんでもいいかもしれませんが、彼女には前に出てもらって――全体への情報提供やコマンダーへの提言はニカドちゃんが行った方が良いかもしれませんわね」

ツバサとチャイカの言葉にブローウィングは頷くが、3人は少し不安そうな表情。

「そうするにしても、ツバメが私達の言葉を聞いてくれるかどうか……」

ハァと呆れ顔のニカドに、他の2人も頷く。

「隊長は頭デッカチなところあるからなー! ガンコだし!」

「そんなにガンコなのか?」

「確かにガンコですね……私に対しては結構素直なんですけど……」

「ツバメはスズメ先輩のことを心から尊敬――と言うより崇拝してますからね」

「だったら、スズメちゃんから言ったらいいんじゃないか?」

ツバサの言葉に、だがスズメは腕組みをして考える。

「あの子、確かに私に対しては基本的に素直なんですけど、何故か装騎バトルに関してはあまり言うことを聞いてくれないんですよね……」

「なんでまた」

「お、恐らく、で、ですけどね……ツバメちゃんは、その、スズメ先輩を尊敬し過ぎてて、逆に自分のやり方で先輩に並ぼう――とか、そういう思いがあるみたいなんです」

「尊敬し過ぎるが故に、ですのねぇ」

ニカドの言う通り、ツバメはそういう少し困った性格があった。

ツバメが、姉であるスズメの得意武器ナイフに対照するような、大型のハンマーを武器として使用していることもその1つ。

「良い騎使というのは、人に言われたことも自分なりに吸収して、自分のスタイルを確立できる人だって何度も言ってるんですけどね。これはお姉さんの受け売りですけど……」

スズメの師匠であるブリュンヒルド・レミュールの言葉らしい。

「あ、あまり強く言えないのは、その、わたし達はツバメちゃんより、け、経験もないですし、ツ、ツバメちゃんがいるから、そ、装騎バトルをしてる――って部分も、ありますし」

「私は違うけど」

「え?」

「お!」

あっけらかんと言ったニスイに、ニカドとリオンが驚きの表情を浮かべた。

「ですけど、ツバメの実力は確かだという所は認めてますしね。頭は固いですけど」

「だから、今日スズメちゃんの所に来たんだろ?」

ニカドの言葉にツバサが言った。

「ここにいるうちに少しでも力を付けてさ、ツバメちゃんにも見せてやれよ。これだけ強くなれるってことをさ」

「アナタ達3人の力を心から認めれば、ツバメちゃんもアナタ達のお話を聞いてくれると思いますわ」

ツバサとチャイカの言葉に、3人は決心したように頷く。

そんな3人を見てツバサも頷いた。

「それぞれの戦い方とかも見えてきたし、いよいよ本格的に特訓するか!」

「そうですわね。ニカドちゃんにはウチが教えてあげますわ」

「あ、ありがとうございますっ」

「リオンはマハに任せるんですよ!」

「おう! 頼むぜ!!」

「そんじゃニスイちゃん」

「はい。宜しくお願いいたします」

それぞれの先輩達に引かれ、特訓を開始する3人。

そんな3人の姿を見ながらスズメが呟いた。

「……あれっ、私、なんにもしてない!」


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