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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:サービス編
187/322

先輩と悩める3人娘

「スズメちゃんに可愛いお客様ですわ」

「――お客? 誰でしょう」

それはある土曜日。

寮室で寛ぐスズメの元に、その少女たちが尋ねてきた。

「急に済みません。サエズリ先輩」

「連絡入れたかったけどメールの使い方分からなかったぜ!」

「お、お邪魔、ですかっ!?」

それはドヴォジャーコヴァー・ニスイ、ヤナーチェコヴァー・リオン、スメタノヴァー・ニカドの3人だった。

この3人はスズメの出身中学であるプラヴダ中学装騎部に所属し、スズメの妹であるツバメと“最強無敵のツバメちゃん軍団”としてチームを組んでいる。

そんな彼女たちが、突如スズメの元へと尋ねてきた。

「ニスイちゃん、リオンちゃん、ニカドちゃん!? どうしたのっ!?」

田舎町であるプラハ市から神都カナンまではそれなりの距離。

特に電車などの交通機関を使ってだとその移動時間やかかるお金はそこそこのものになるだろう。

そんな中、中学生である彼女たちがどういう訳かスズメを頼りに来ているという事にスズメは驚きの声を上げた。

「じ、実は今度、チェスカー・ヴァールチュカ大会に参加するんですけど……」

「わぁ、すごいね!!」

ニカドの言うチェスカー・ヴァールチュカ大会とは、四天王決定戦東部ブロックの出場学校を決めるための予選大会の内、チェスク区で行われる一番最後の大会。

この大会を勝ち抜けば、晴れて四天王決定戦東ブロックへの出場権を勝ち取ることができるのだ。

「オレたち、隊長カピターンに頼ってばっかでさ……今回の大会も少し不安があるんだぜ……」

リオンの言葉から、この3人は次の大会でツバメの足を引っ張らないかと言う心配をしているらしい。

「ですから、ツバメに内緒でスズメ先輩に特訓してもらうおうと思って来たんです」

「話は聞かせてもらった!」

そう言うニスイの言葉に反応したのはスズメ――では無かった。

声に振り返ったスズメが目にしたのは、何故かやる気満々で腕を鳴らすツバサ、チャイカ、マッハの姿。

「可愛い後輩の後輩なんだ。アタシ達も手伝うよ!」

「ええ、こう見えてウチは特訓とか大好きなのですわ~」

「なんだかおもしろそうなんですよ!!」

「ほ、本当、ですかッ!?」

「チーム・ブローウィングの方々が力を貸してくれるとなると百人力だぜ!!」

「よろしいのですか!?」

やる気を見せるチーム・ブローウィングの3人に、あからさまに動揺を見せるニカドとニスイ。

そして頼りにする気満々のリオン。

「……先輩たちヒマしてましたからね」

そんな様子を見ながら、スズメが苦笑しながら呟いた。

「さーって、早速特訓をつけてやるんですよ!!」

そう言うマッハに連れられ、3人が来たのは何かとお世話になる装騎試運転用のグラウンド。

ニスイ、リオン、ニカドの背後には、アサリア型、シェムハザ型、ラグエル型装騎が並んでおり準備は万端だ。

「こ、これから、何を、するんですか……?」

「走るんですよ!!」

「「「……走る?」」」

ニカドの問い掛けにそう答えるマッハ。

そんなマッハに対して、3人の声がハモる。

「そうなんですよ! 装騎に乗って走ることで、装騎と一体になって、そしてすんごいパワーが生まれるんですよォ!」

「すんごい、パワーだぜ!?」

「そーなんですよ!」

マッハの言葉に何やら食いついたリオンは真っ先にシェムハザ型装騎へと乗り込んだ。

リオンに続き、ニスイとニカドもアサリア型、ラグエル型へと乗り込む。

マッハも自身の装騎チリペッパーに乗り込み走る気満々だ。

そして、マッハの号令の元、ニスイ、リオン、ニカドの3人はマッハの装騎チリペッパーに続き各自の装騎を走らせた。

それから暫く……。

「はぁっ、はぁっ、ま、まだ走るんですか?」

流石に息が切れてきたのか、必死に空気を吸い込みながらもニスイがマッハへと尋ねる。

「当たり前なんですよ! そんなんじゃ装騎マラソンの新記録は目指せねーんですよォ!」

「別にマラソンに出たいわけじゃ……」

ぼやくニスイの言葉はマッハの耳には届かない。

「よっしゃぁぁあああああ、目指すぜ新記録ゥ!!」

そしてマッハの激励に何故かやる気を見せてるリオン。

「……バカ」

呆れたようにニスイが呟いた。


「戦いと言ったらやはり連携。チームメイトのことを改めて知ることも大切なのですわ」

朗らかな笑みを浮かべ、そう言うのはチャイカ。

3人はグラウンドの地べたに腰かけながらチャイカの話を聞いている。

「それぞれの得意なことを再確認してみるのですわ。まずはニスイちゃん」

「私は近中距離戦闘が得意です」

「ニスイちゃんはウェーブレイピアとヴゾル65を使ってるよね」

スズメの言葉にニスイは頷き、

「はい。チームではアタッカーとしてやっています」

と言った。

「指揮をしないと言うこと以外はツバサ先輩と似た立ち回りが良さそうですわね」

「お、そうだな。射撃、格闘、両方を的確に使い分けて、主力としても戦えるし、味方の援護もするってね」

SIDパッドに何やら入力しながら言うチャイカの言葉にツバサが反応する。

「ですわね。ただ、ニスイちゃんから感じる性格ですと、ツバサ先輩みたいにアタッカー寄りよりは少し引いた位置から状況に合わせて動くサポーター寄りの動き方が良さそうですわね」

「オフェンシブサポーター――と言う感じでしょうか?」

「そうだな!」

ニスイの言葉にツバサが頷いた。

「次はリオンちゃん」

「おう! オレは見ての通りガンガンのアタッカーだぜ!」

「リオンちゃんは超振動バグナウを使った格闘戦が得意なんですよ」

「なるほど。典型的な格闘型のアタッカーですわね」

「どんな敵も一直線だぜ!」

「マッハちゃんとも似たタイプですわねぇ」

「そーなんですよ! 将来有望の後輩なんですよぉ!!」

「先輩にそう言ってもらえると、光栄だぜ!!」

「誇りに思いやがるんですよ!」

そんな会話を聞きながら、チャイカはまたSIDパッドに情報を入力。

「最後にニカドちゃんね」

「わ、わたしは、その……狙撃が得意だから、その、サポーターをしろ、と」

「750ライフルの長距離仕様を使ってますしね!」

「ニカドちゃんはスナイパーでもあるのですね~」

「チャ、チャイカさんもそ、そうですよね……!」

「ええ。それにニカドちゃんのラグエル型は味方の情報支援が得意な装騎――――ウチも魔力を使ってですが似たことをしてますし、いろいろ教えられることもあると思いますわ」

「ほ、本当ですか!?」

「ええ――とりあえず、今はチームとしてのバランスを見てから、ですけどね」

これで一通り全員の特徴をメモし終え、チャイカが口を開く。

「ふむふむ。これで全員ですわね。それで、アナタ達のチームリーダーのツバメちゃんは」

「ツバメちゃんが指揮官コマンダーだよね。よく使う陣形は、ニスイちゃんとリオンちゃんのツートップに、サポートとしてニカドちゃん。後方指示でツバメちゃんって形が多いかもね」

「……そうですね」

スズメの言葉にニスイが頷いた。

「ツバメちゃんはどんなタイプの騎使ですの?」

「ツバメちゃんはバリバリのアタッカータイプですね。使ってる武器もウーデルですし」

「ウーデルと言いますと――――大ハンですかぁ」

「大ハンですよ」

「それで後方指示、ですの?」

「それで後方指示、なんですよ。状況を見てレイダーとして一気に相手を叩くのがあの子のスタイルではあるんですけど」

こう話しているとどこか見えてくるツバメちゃん軍団のフォーメーションのスキ。

「あの……も、もしかして、この陣形……わたし達に合ってない?」

「ええ、そうですわね」

恐る恐る聞いたニカドの言葉に、チャイカはそう言いきった。

「これはそもそも陣形も考え直さないといけないかもしれませんわね……」


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