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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:年末年始編
177/322

ステラソフィア5G'sの忘年会

「今年1年、おつかれさまでしたー! かんぱーい」

「「「「かんぱーい!!」」」」

サリナが掲げたマグカップに、スズメ、イザナ、イヴァ、ユウレイのグラス、ジョッキ、盃、湯飲みがぶつかり合う。

場所はチーム・ミステリオーソの寮室内、イザナの自室だ。

他のメンバーの部屋は未だ大掃除中と言うこともあり汚れているため、イザナの部屋が忘年会の会場として選ばれた。

「今日はこの綺麗な部屋を汚しまくって帰っちゃいましょう」

「ユウレイ、ぶっ殺すわよ」

「もう死んじゃってますけどね」

湯飲みにソーダを注いでから、どこかハイテンションなユウレイ。

「ユウレイちゃん、酔ってるのかしら……?」

「だからよー」

テンションが上がってきているからなのか、顔もどこか赤らんでおり酔っているかのよう。

「アルコール入ってるのかな……?」

そう呟きながら、自分のグラスに飲み物を注ごうとしたスズメの手がサリナに掴まれた。

「何? サリナちゃん」

「スズメちゃん、アムリタソーダはダメ」

そう、スズメが手に取ろうとしていたのはスズメが唯一炭酸飲料の中で愛してやまない飲み物。

アムリタソーダだった。

「私これ大好きなのに!!」

「これはダメ」

サリナはチーム・バーチャルスターの先輩であるソレイユを通じて、スズメが起こした“あの出来事”を知っていたのだ。

「いいじゃない。酔っぱらうわけじゃあるまいし」

その出来事を知らないイザナがそう言うが、サリナは首を横に振る。

「酔っぱらうのよスズメちゃん。それも……結構悪い方で…………」

以前、アムリタソーダを飲んで酔っぱらったスズメは、ナイフを振り回しながらマッハを襲ったことがあった。

その時のことはスズメは全く覚えていないという非常に性質の悪いものだった。

「じゃあ何でアムリタソーダがあるんですかぁー!!」

「…………申し訳ないわ」

どうやら、アムリタソーダを持ってきたのはイザナだったらしく、スズメに対して頭を下げる。

深く深く下げる。

「かわりにひのきの林をたくさん買って来たから落ち着いて。ね?」

「むぅ……しょうがないです」

アムリタソーダを諦めたスズメは、代わりに炭酸抜きのアムリタをグラスに注ぐと、ひのきの林を口に頬張り始めた。

「スズメちゃん、ご飯もあるからそっちも食べなさいよ?」

そんなお母さんのようなことをいうサリナに、スズメは頷きながらもひのきの林の2箱目を開ける。

「今日はイヴァが地元の御馳走くわっちーを作って来たさー」

「なーる!! どうりで馴染みのない料理があるとおもいましたよー。イヴァちゃん、供えてください!」

「うさがみそーれー」

そう言いながら、イヴァはユウレイちゃんの目の前に料理を並べ始めた。

料理を並べながらイヴァがポツリと呟く。

「この料理の中に、カトレーン先輩が作った料理を入れ――」

「ブ――ッ!!!???」

イヴァの言葉を聞いてユウレイが思いっきり吹き出した。

スズメ、サリナのみならず、イザナも一斉にその視線をイヴァに向けたことから、リーサルウエポン料理人カトレーンの名がステラソフィア中に轟いていることが伺える。

「ようかと思ったけどシャレにならないからやめたさー」

イヴァの言葉に4人は安堵の表情を浮かべた。

「しっかし、以外にも料理が豪勢ね」

イザナの言葉通り、テーブルの上に並べられた料理のバリエーションは豊富でちょっとしたパーティーのよう。

「ちょっと居酒屋みたいなメニューですけどね」

そして、どういうわけかスズメの言う通り、そのほとんどが酒のつまみのようなメニューだった。

「この茄子の壺焼きが美味しいさー」

イヴァは黙々と箸を進める最中にそう口を開いた。

「そう言ってもらえると嬉しいわ」

「もしかして、サリナちゃんが作ったの?」

スズメの言葉にサリナは頷く。

「へぇー、こっちの肉巻きおにぎりは私が作ったんだよー」

「えっ!!??」

そう言いながらスズメが指差した肉巻きおにぎりに素早く手を伸ばしたのは言うまでもなくイザナ。

「美味しい……サイコーに美味しいわ」

「あ、ありがとう……」

「チャイカ先輩から教えてもらったの?」

「うん、夏休みくらいからたまに料理を教わってるんだー」

「スズメちゃんはお菓子作りもしちゃってますよね!」

ユウレイの言葉にスズメは頷く。

「トロピカ先輩に教えてもらってるんだ」

チーム・ドキドキ マンゴープリン4年グラノーラ・トロピカ――スズメはたまに彼女のもとでお菓子作りも教わっていた。

「そんなに女子力上げてどーするからよ」

「!! もしかして、彼氏でもできたんじゃ……」

「ないないないない」

突然、虚空を睨みながらイザナが発した言葉をスズメは否定する。

「そう言えば、スズメちゃんってたまにおしゃれなバスケットを持ってカナンに行くことがあるわよね」

「えっ!?」

サリナが不意に投下した爆弾に、スズメは「見られてた!」という表情を浮かべ、イザナ、イヴァ、ユウレイは「やっぱり!?」という表情を浮かべた。

「たまたまカナンで友だちができて、会いに行ってるだけだっ!」

「男じゃないの?」

「女の子だよ!!」

スズメがカナンへ行く用事と言えば、大体はニャオニャンニャーのゲームをしに行くか、地下街の少女アナヒトに会うためだ。

「でも、カナンのゲームセンターでかわいい男の子と仲良さそうにしていたと言う噂も聞いたことがあっちゃいますけどそれは?」

「かわいい男の子……!? もしかして、スズメは年下好き……」

「それってゲッコーくんかな……年下だけど下すぎますよ!」

ゲームセンターで出会った少年、ヒノキ・ゲッコウ。

スズメは彼に好かれているようで、スズメがニャオニャンニャーのゲームをしていると、ちょくちょく寄ってくる。

「ゲッコーくん?」

サリナの問いにスズメは頷く。

「ニャオニャンニャーが好きな男の子だよー」

「そうなの。いくつくらい? 10歳くらいかしら」

「確か、3歳って言ってたと思うよ」

「13歳差さー」

「でもでも、将来的にはアリだと思っちゃいますよっ」

「そんなつもり無いから!!」

「とりあえず、成人するまで待ってみるさー」

「あと12年かしらね」

「もうやめなさいっ!」

そこで何故か耐えられなくなったイザナが声を上げた。

「ス、スズメが誰と付き合うとか結婚するとかそんな話は聞きたくない、聞きたくないわ」

どうやら、イザナは色々と変なことを想像し過ぎて混乱状態になってしまったようだ。

「何でイザナちゃんが……」

スズメはイザナの様子に苦笑しながら呟く。

「それで、スズメちゃん以外にもこういう話は無いのかしら?」

サリナの言葉に、一同は一気に押し黙る。

「……もしかしたら、この中でスズメちゃんが一番進んでるんじゃないかしら」

悲しいかな、このメンバーは恋バナやそれに関係する話とは無縁なのであった。

「……それで、スズメのタイプについてだけど」

「さっき自分で止めといてそこに発展させる気!?」

若干虚しい空気を秘めながらも、愉快な女子会(?)は夜が更ける中続いていった。


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