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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:年末年始編
175/322

クリスマス会をしよう!

12月25日。

ステラソフィア機甲科1年生はサリナ主導でクリスマス会を開催していた。

各々の用事があると言うことで未参加の1年生も何人かいるが、大勢の機甲科1年生で賑わっている。

「い、イザナさん――このシフォンケーキ食べてみてください!」

チーム・パフェコムラード1年パプリカ・セス――通称ヒメ。

「……結構美味いんじゃない?」

「ありがとうございます!!」

自分が作ったシフォンケーキをイザナに褒められ、見るからに嬉しそうな様子。

もっとも、イザナは全く意に介していないようだが。

「きょーおっはたっのしぃーいクゥーリスーマスーゥ♪」

「クリスマスにはパーリーしてー! トリをー食べてーあっそびっましょー♪」

「お、お正月かな……?」

チーム・リリィワーズ1年アルク・アン・トワイとチーム・プリティーキュート1年エスポワール・マインがどこか聞いたことあるメロディで、だがどこか奇妙な歌を歌っている傍で、チーム・シーサイドランデブー1年のディーコン・ジャンヌがポツリと呟いた。

「やれやれ、騒がしいね」

苦笑しながらスズメの傍に1人の1年生が近づいてくる。

「ミドリさん? どうしたんですか?」

後ろ手に縛った緑色の髪にどこか温和そうな雰囲気のチーム・アブダクション1年オーガニア・ミドリ。

ミドリはスズメに用があるような様子。

スズメの言葉にミドリは言った。

「スズメちゃんとまたサッカーがしたくてね。また機会があったらよろしく頼むよ」

そう、彼女はステラソフィア女子サッカーに所属しており、以前スズメとイザナと共に試合に出たことがある。

「はい! また呼んでください!」

そんな会話をする傍で、2人の生徒がお皿に食べ物を盛っていた。

「ねえねえシエロ! これも美味しいよ! この鶏肉も! 豚肉も! 牛肉もぉ!!」

「クーヒェン。野菜も食べて」

「分かってるよ! あ、見て見て角煮!!」

それはチーム・ドキドキ マンゴープリン1年バオム・クーヒェンとチーム・マンチャドーレス1年アスル・シエロ。

取り皿にどんどん肉料理を盛って行くクーヒェン。

その傍でシエロが素知らぬ顔でクーヒェンの皿に野菜を差し込んでいく。

「あの2人って変なコンビネーション力あるわよね……」

そんな様子を見ながらサリナがポツリと呟いた。

いろいろと賑わう中、スズメが1人の知り合いの姿を見つける。

「ルノーさん!」

それはチーム・エターナルネバー1年エータナ・ルノー。

またの名を快盗エテルノ――――普段であれば彼女はチーム・ジャスティホッパー1年イスキ・エルダと一緒にいるのだが……。

「エルダさんは来てないんですか?」

「エルダは仕事だよ! 本当は来る予定だったみたいけど、急に依頼が来たって飛び出していったよ」

「探偵って結構大変なんですね」

「そーなのそーなの」

イスキ・エルダ探偵事務所を営むエルダは今日は依頼が入っており来れないらしい。

「おお、イルヤース殿! この冬の新色、チェックしたでござるか?」

「もちろんだばーよ! オキサイドレッドがでーじ気になるばーよ」

「オキサイドレッドでござるか!」

そんな会話をしているのはイヴァとチーム・ヴァイスシュベールト1年トリュウ――本名カリウス・ハンナの2人。

何か感じるものがあるのか、イヴァはトリュウに「イルヤース」と言うソウルネームを貰っていた。

「この徹甲榴弾とか流行先取りな感じでじょーとーさ!」

「うぬ。拙者も同感でござる! しかし、この対装騎刀も捨てがたい……」

2人は「春を先取り! これが機甲装騎だ!」と目立つ煽り文が乗せられた装騎雑誌を見ながらそんな会話を交わす。

「しっかし、アイツはどうにかならないの?」

イザナがそう言いながら視線を向ける相手はチーム・ミコマジック1年アーチペラゴ・ミュティレネ。

明らかに恍惚とした表情で、口元に涎を光らせながらクリスマス会の様子をカメラに収めていた。

「ヒラサカ殿はサンタコスはしないんですかー?」

「死ね」

挙句、イザナに対してそんなことを聞いてくる。

今回のクリスマス会――調子に乗って、もとい張り切ってサンタクロースやトナカイのコスチュームに身を包んでいる生徒の姿も何人か見える。

意外にも、チーム・アヤカシ1年イノメ・イクサも全身タイツに角を付け、鼻には赤い飾り――トナカイの姿で部屋の隅に座っていた。

「イノメさん、食べ物持ってきましたぁ。食・べ・ま・しょです!」

そんなイクサの元にミニスカサンタコスのチーム・ヤソガミガハラ1年アクアクリアス・ミヅハが食べ物を運んでくる。

「……多謝」

部屋の隅で二人食事をとるサンタとトナカイ。

だが、二人の間にはどこか楽しそうな雰囲気が漂っている。

「そう言えば、ルイースヒェンさんはいませんね」

「ルイースヒェンさんはお家のクリスマスパーティーがどうしても外せなくて来てないみたいなの」

ふと呟いたスズメの言葉に、チーム・オラシオン1年ザンクト・ヨーハン・アーメンガアドが答えた。

「ルイースヒェンさんの家は最高級の香水を扱う店なんだって。こういう日にはお家の方でもいろいろやることがあるみたい」

「ああ、そう言えばチャイカ先輩もパーティーがあるみたいな事言ってましたね」

チーム・アマリリス1年フィルマメント・ルイースヒェンの家はアーメンガアドの言った通りセレブ御用達の最高級香水ブランドを営んでいる。

そういう人に取ってこの日はいろいろと駆け引きのある日、だとテレシコワ財閥の御令嬢であるチャイカが言っていたのをスズメは思いだした。

「アンタ達楽しんでるかしら?」

不意にそんな声が響き渡り、会場に現れたのは機甲科1年担任のウィンターリア・サヤカ先生。

「先生!? どうしたんですか……」

このクリスマス会を取り仕切っているはずのサリナでさえ驚くサヤカ先生の存在に、明らかにサプライズとして現れたようだった。

「いや、クリスマス会してるって聞いてちょっかい出したくなってね」

そんなちょっかい要らないです――という1年生の心の声が聞こえてきそうな空気の中、サヤカ先生はチキンを一つつかみ取り頬張りながら言った。

「アンタらにクリスマスプレゼントを持ってきたわよ!」

「え」

「プレゼントー!!!」

「サヤカ先生が……? 怪しい」

「トワイは相変わらず良い反応するわねぇー。まっ、とりあえず、プレゼントよ!」

サヤカはそう言うと、何やら小さな袋をみんなに配り始めた。

「これは……?」

「アタシの子ども達が一生懸命作ったカップケーキよ」

「まともだ!!」

「誰よ今の!」

誰かが思わず口にした言葉に、サヤカは1年を見回すように睨みつけるが、モチロン言った本人は名乗り出ない。

「ま、いいわ。アンタら良いクリスマスをね!」

そう言いながら、クリスマス会の会場を後にしようとするサヤカだが、部屋を出る間際に一言。

「あ、年末の大掃除の準備よろしくね~」

サヤカのその言葉が、一気に1年生の精神を削ったのは言うまでもないだろう。

そんなこんなあったが、クリスマス会は楽しく幕を下ろした。

「ビンゴ大会で靴下貰ったんだけど……」

「わー、クリスマスっぽい! イザナちゃんいいなー!!」

「貰う?」

「いらないけど」

挿絵(By みてみん)

ミヅハ&イクサ

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