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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:交流編
166/322

ステラソフィア交流授業

「わぁ、ここがイーリス女子中!」

サヤカ先生が担当する実技授業のその日。

スズメ達ステラソフィア1年生は、神都カナンにあるイーリス女子中学へと来ていた。

それは何故か?

「今日の授業はこの中学の機甲科との交流よ。アンタ達は“憧れのステラソフィア女学園生”だという自覚を持って関わりなさい」

と、言うことで、このイーリス女子中との交流が今回の授業内容だった。

主に交流をするのは、イーリス女子中機甲科の1年生。

イーリス女子中の装騎用グラウンドで、ステラソフィア1年生とイーリス女子中1年生の面々が相対する。

「ようこそ、イーリス女子中へ」

そう丁寧に挨拶するのはイーリス女子中機甲科1年の代表。

「わたくしはレカルア。この機甲科クラスのクラス委員をしていますわ」

レカルアの前に歩み出たのは、サリナの姿。

勉学、実技共に上位の成績を誇り、両者の平均ではクラス1であるサリナは、こういう場でよく代表として活躍していた。

「あたしはサリナよ。イーリス女子中の皆さんよろしくお願いします」

2人が握手を交わし、その交流授業が始まる。

交流授業のメインイベントと言えば、やはり装騎バトル。

そこで、それぞれ代表者を出しバトルをすることとなった。

「イーリス女子はモチロンわたくしが出ますわ」

そう勇み足で出てきたのはレカルアだ。

イーリス女子1年生の中ではトップクラスの実力だというレカルア。

その自信と性格から、他の生徒は誰も口出しできない。

「ステラソフィアからは誰を出そうか……?」

「私がやるわ」

「ヒラサカさんが!? でも、どうして……?」

「何かムカツクからアイツ」

サリナが投げかけた言葉に、まさかのイザナがやる気満々で名乗り出る。

サリナの視線を感じたサヤカ先生は、静かに頷くとイザナに言った。

「一瞬で終わらせちゃっていいから」

「そうするわ」

「っていいんですか!?」

声を上げるサリナをよそに、イザナはずんずんと前に歩み出る。

「アナタの相手は私よ」

「ヒラサカ・イザナさんですか。わたくしはサエズリ・スズメさんと戦いたかったのですが……」

「私に勝てたらスズメとも戦えるかもね」

何か、根っこの部分で相性が悪いのか、初対面にも関わらずどこか火花を飛ばしっているような雰囲気を感じるこの2人。

少しばかり不穏な雰囲気の中、イザナとレカルアのバトルが始まった。

今回は交流試合と言うことで、両者とも使用装騎はカスタム無しの民間騎を借用している。

イザナはヘルメシエル型、レカルアはミカエル型。

2人ともそれぞれの装騎に乗りこみ、武器を整えると、そのバトルが始まった。

イザナ=ヘルメシエルの武装はナイフ・クサナギのみで、対するレカルア=ミカエルの武装はバーストライフルに超振動大刀と言う佇まい。

「行きますわよ」

レカルア=ミカエルは両手で超振動大刀を構えると、イザナ=ヘルメシエルへと斬りかかる。

「ふぅーん」

その一撃を軽々とかわすイザナ=ヘルメシエル――次の瞬間。

「ほい、オロシノカゼ」

ひょいと飛び上がったイザナ=ヘルメシエルが、そこから叩きつけるようにナイフを閃かせ、レカルア=ミカエルを切断。

レカルア=ミカエルはあっという間にその機能を停止した。

「つ、強い、ですわ。流石に」

「一丁上がり」

呆気なく打ち倒されたレカルアの姿に、イーリス女子中のメンバーもさすがに呆気にとられる。

ある意味1番呆気にとられたのは、全く手を抜く気のないイザナの態度だったのかもしれいが。

「これでもちょっとは手を抜いたんだけどね」

「本気だったら射撃武器サブマシンガンを撃つだけで終わらせちゃうもんね……」

それもそうだった。

「でも、やっぱコレだと尺が足りないかなぁ」

自分で「一瞬で終わらせちゃっていい」と口にしたサヤカが、困ったような呟きを漏らす。

「ま、もう1戦やればいっか! イーリス女子中の子でもう1人、ステラソフィアと戦いたい人は居ないの?」

サヤカ先生の言葉に、だがイーリス女子中トップが一瞬で負けたことに身が引けてるのか何なのか、名乗り出る者はいない。

「レカルアだっけ? アンタの次に強いヤツとかいないのかしら」

「ナンバー2、出てきなさい」

サヤカの言葉にレカルアがそう声を上げた。

レカルアの呼び出しに応じて、1人の少女が姿を見せる。

赤縁眼鏡が特徴的などこか地味で、おどおどとした様子の少女。

「セ、セッカです……よろしくお願いします」

セッカと名乗る彼女が、このイーリス女子中のナンバー2騎使だということだった。

「さっきイザナが出たし、今度はスズメがお願いね」

「私ですかぁ!?」

サヤカ先生の指示で、スズメはハラリエル型装騎に乗りこむ。

対するセッカの装騎は長腕長足の超軽量装騎シェテル。

そして、次なるバトルが始まった。

「それじゃ、サエズリ・スズメ、行きます!」

「ス、スズメさんが相手だなんて……」

自分に向かって駆けてくるスズメ=ハラリエルの迫力に圧され、戸惑いの声を上げるセッカ。

「でも……や、やらなくちゃ!!」

セッカ=シェテルが静かに構えたのは、両刃の直刀――超振動直刀イテン。

だが、その瞬間に跳躍し、セッカの視界から消えるスズメ=ハラリエルの姿。

「ッ――――上!!」

「この子――――反応が良い!」

どこかおどおどとした様子のセッカだが、装騎バトルに於いての反応速度はスズメも目を見張るものがあった。

セッカには跳躍したスズメ=ハラリエルの軌跡が見えていた。

その軌跡を追うように、すぐにその目でスズメ=ハラリエルの姿を捉えると、素早く武器を持ち替え、背部にストックしていた18mm徹甲ライフル・ツィステンゼンガーを構えるとその照準を落下するスズメ=ハラリエルへと向ける。

それは宙を舞っているときは自由に動けないということを狙っての行動だったが、スズメ自身も中空にいる身動きができない間が跳躍戦闘の弱点だと把握しているのは言うまでもない。

「キャッ、これは――――!?」

スズメ=ハラリエルを狙おうとしたセッカが不意に悲鳴を上げる。

それは何故か――それはスズメ=ハラリエルの背後から眩しい輝きが差し込んできていたからだ。

スズメ=ハラリエルは跳躍するとき、ただ跳躍した訳ではなかった。

太陽の輝きを背負うように、太陽の輝きを利用してセッカの目を眩ませるように――それを狙い跳躍していた。

「行きます! ジャンピング・アタック!!」

スズメ=ハラリエルの跳躍が、頂点に達したその時――目が眩みながらもセッカ=シェテルはその手に持った18mm徹甲ライフル・ツィステンゼンガーの引き金を引いた。

18mm徹甲ライフル・ツィステンゼンガーから放たれる18mm徹甲弾。

その一撃は――――

「うわっ!?」

スズメ=ハラリエルの左肩へと命中した。

空中で衝撃を受け、スズメ=ハラリエルは錐揉みしながら地面へと落下する。

ズシィイィイイイインと激しい落下音が鳴り響き、土煙が吹きあがった。

「ど、どうですか――――!?」

セッカがそう呟いたその瞬間――――強烈な風が土煙を振り払い、セッカ=シェテルへと迫りくる。

「シャープムーン・オービット!!」

その風は、コマのように回転しながらナイフを閃かせるスズメ=ハラリエルだった。

回転したスズメ=ハラリエルはセッカ=シェテルの傍をすれ違いざまに切断――そのまま楕円を描くように、セッカ=シェテルの周りを公転運動するようにして軌道を変えるとセッカ=シェテルを再度切断。

左右から超振動ナイフによる切断攻撃を受けたセッカ=シェテルは、その機能を停止した。

「セッカちゃん、だっけ?」

「はい。そうです……」

バトルが終わり、スズメがセッカへと駆け寄る。

「セッカちゃん、すっごく良い動きだったよ!」

「ありがとう、ございます。お世辞でもうれしいです」

「お世辞じゃないよ。セッカちゃんはもっと自信を持ったらもっと強くなれると思うんだけどなぁ」

「自信、ですか」

「まぁ、自信を持ちすぎても問題だったりするんだけどね」

そう言ったスズメの言葉は誰に向けられたものか。

「今日はセッカちゃんと戦えて良かったよ!」

そう言いながらスズメは握手を求める。

「わ、わたしも――――わたしも良かったです」

その握手に応じながらセッカもそう声を絞り出した。

その後もレクなどが繰り広げられ、交流授業は幕を下ろした。

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