表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィア編:大きな変化
157/322

新型が来た!

10月29日木曜日。

X装騎と呼ばれる新型機甲装騎が配備されたことにより、マルクト神国は対マルクト連合国に対しての反抗作戦を発動。

“ケッテングリート作戦”と名付けられたその作戦――新型装騎の力によって各方面の膠着状態を打開するというだけの作戦ではあるが新型装騎の性能であれば容易であると判断された。

そして、そんなケッテングリート作戦に、スズメたちチーム・ブローウィングも参戦することになった。

『ススススズメちゃん! スパローのちょーしはどうですか!?』

「うん、調子いいよヒバリちゃん! 実戦は初めてだけど――大丈夫そう!」

『ツバサ、新型装騎――スパーセルも進化だ』

「お、レクス。今日は冴えてるじゃん!」

『チャイカ~、調整はバッチリよ~』

「ありがとうございますマラード。いつもお世話になっていますわ」

『マッハ、サンショーは小粒でモぴりりとカライってイウな』

「全く意味わからないんですよ!」

今、ブローウィングの新たな4騎が戦場に出る。

「カスアリウス・マッハと装騎ジェイペッパーが突撃しやがるんですよ!」

「テレシコワ・チャイカ、スネグーラチカЛエル行きますわ」

「装騎メゾサイクロンはワシミヤ・ツバサで行くぞ!!」

「サエズリ・スズメ、スパロー2Rセカンドレイド行きます!」

「「「「GO、ブローウィングGO!!」」」」

そして、戦端は開かれた。

チーム・ブローウィングが担当するフゼティン地区の敵は駆逐装騎ペルーン20騎、ベルフェゴール20騎に魔術装騎ツァウベル3騎という4騎編成チーム1部隊に3騎編成1チームの構成。

計40騎の駆逐装騎の砲撃が、激しくチーム・ブローウィングら5チーム20騎編成であるマルクト神国軍へと襲い掛かる。

「しっかし、本当にあの敵を倒せるのかね」

「シミュレーターでは、余裕、と言っても差し支えない結果でしたけど……」

ツバサの言葉に、スズメが呟く。

だが、所詮シミュレーションはシミュレーション。

どこかしら不安を感じているのはスズメも同じだった。

「ゴチャゴチャ言うのはやめやがるんですよ! マハがぶっ飛ばしてきてやるんですよ!!」

「ちょ、マッハちゃん!」

イマイチ煮え切らない様子の2人に、マッハは自らが先駆けにならんと装騎ジェイペッパーを駆ける。

1騎だけ飛び出せば、それは駆逐装騎の格好の標的。

装騎ペルーンの魔電霊子砲が、そして装騎ベルフェゴールの霊莢式電磁投射砲が装騎ジェイペッパーへと向けられ――発砲。

「うぉぉぉおおおおおおおお、ガンガン撃ってきやがるんですよ!!」

「当たり前だ!!」

何とか回避しているマッハの装騎ジェイペッパーだが、そう何度も避けられるものでもない。

「全く、仕方ないのですわ――新しくなったスネグーラチカの力を見せてあげますわ!」

そこで、装騎スネグーラチカЛが右腕と一体化したようなスナイパーライフルを構え、敵へと狙いをつける。

「シミュレーション通りなら、このリディニーク・ザ・ヴァースに装騎のシステムを併用すればこの距離でも届くはず――」

それは新たなスネグーラチカの持つ新しい武器、魔電霊子砲リディニーク・ザ・ヴァース。

そして、スネグーラチカЛも含め、X装騎と呼ばれる新型装騎が持つ1番の特徴がこれだった。

「行きますわ。インディゴ・ドライブ……!」

刹那、スネグーラチカの体の一部にスリットが開く。

そのスリットへと、大気中から何やら青白いものが吸い込まれていくのが見えた。

これが、X装騎に搭載されたマルクト神国の最新技術――インディゴシステムだった。

待機中に僅かながら存在する霊力セジを吸収し、アズルへと変換――――周囲の大気から持続的にほぼ無限のアズルを作りだすことができるその機能。

いうなれば、誰でも「限界駆動クリティカルドライブ」が使えるようになる、といえばわかりやすいだろうか?

そのほぼ無尽蔵に供給されるアズルが、装騎スネグーラチカЛのリディニーク・ザ・ヴァースへと火を付ける。

「魔力――銃撃!」

チャイカの言葉と共に、リディニーク・ザ・ヴァースから魔電霊子アズルの迸りが一騎の装騎ペルーンへと走った。

その後――爆炎。

装騎スネグーラチカЛの砲撃が、装騎ペルーンを撃破したのだ。

「やりましたわ! シミュレーション通り。この距離でも十分有効射程ですわ!」

「やったなチャイカ! これは――イケるかもしれないな」

「そうですね……!」

「突っ込むんですよぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!」

敵の撃破に活気づくチーム・ブローウィング。

「マハもイくんですよォ!! インディゴ・ドラァァァアアアアアアアアイブッ」

マッハの言葉に従うように、装騎ジェイペッパーもインディゴシステムを発動する。

大気中からのアズルの供給を受け、装騎ジェイペッパーに搭載された“カップの極みアーマー”を参考にした、ブーステッドアーマーがアズルを吹き出す。

マッハの動きに合わせて、装騎ジェイペッパーが加速される――――驚異的なスピードで一気に敵部隊の懐に潜りこんだ装騎ジェイペッパーは、装騎ベルフェゴールをキックブレードで切断した。

「アタシも行くか! インディゴ・ドライブだ――!」

装騎メゾサイクロンに流れ込んだアズルの輝きは、その大型ブースターへと流れ込む。

ブースターに取りつけられたウィングが展開し、まるでこれから空でも飛ぶかのよう。

実際問題、飛行は不可能ではあるものの装騎メゾサイクロンはブースターの勢いに任せ、わずかに脚部を地面から浮かせたまま滑空した。

「そして――ワイヤーエッジ!」

ツバサの言葉に従い、装騎メゾサイクロンの両腕からナイフのようなものが現れると、ソレが敵に向かって飛び出す。

ワイヤーにつながれたアズルを纏ったエッジナイフが、装騎ベルフェゴールのコックピットに突き刺さり、

「弾けろ!」

ワイヤーを伝って流れ込んだアズルが装騎ベルフェゴールを破壊した。

「スパロー2R、インディゴ・ドライブ!」

仲間に続かんと、装騎スパロー2Rもインディゴシステムをドライブさせる。

スリットから流れ込んでくるアズル――それが展開されたブレードエッジへと流れ込み、アズルブレードを発動させた。

「すごい――こんな簡単に霊子剣が……!」

インディゴシステムのすごさに驚きが隠せないスズメ。

このまま、スズメは装騎スパロー2Rの足をぐっと踏み込む。

弾けるように飛び出した装騎スパロー2Rは、そのまま敵の放火の中へと飛び込んだ。

敵の放つ弾丸、霊子砲を回避し、ブレードエッジで切り飛ばし、弾け飛ばし、一気に距離を詰める。

「スィクルムーンレイ・ストライク!」

そのまま、魔電霊子を両腕のブレードエッジへと流し込み、引き伸ばしたレイ・エッジソードでシィクルムーン・ストライクを放った。

アズルの輝きが綺麗な月光のように、だがその月光は鋭く冷たく、一騎に2騎のペルーンを破壊した。

「やっぱスズメちゃんはアタシらよりも魔電霊子アズル武器の扱いは慣れてるなぁ」

「ウチらも頑張るのですわ!」

「ぶっ飛ばしてぶっ飛ばしてぶっ飛ばせばいいんですよォ!!」

「チャイカ、残騎は?」

「ペルーン17、ベルフェゴール18、ツァウベル3ですわ」

「……ツァウベルに動きが無いが――――そろそろ来るな」

「ええ」

チーム・ブローウィングの攻勢に勢い付いた他校のチームも続々と進撃していく。

インディゴシステムにより装騎に流入するアズルの輝きが戦場を満たす。

そして、アズルを纏った攻撃が敵へと流れ込んでいった。

だが、そこでついに魔術装騎ツァウベルがその魔術式を発動させた。

「来ましたわ、魔力障壁陣です!」

チャイカの言葉通り、それは陣を組んで生み出す巨大な魔力障壁。

その障壁に、いくらアズルを纏った攻撃とはいえ阻まれてしまう。

しかも、その障壁はただの壁ではなかった。

「敵の放火が通ってるぞ!? 魔力障壁の後ろから!」

「なるほど――3騎で陣を組んでいるのはそのため――でもあるのですわね」

「コッチの攻撃を防いで、あっちからは攻撃できるなんて――ズルいです!」

「なんとかぶっ壊せないんでやがりますかァ!?」

「魔力障壁の弱点は背面――――ですが、この障壁は……」

複数騎で陣を敷くこの魔術障壁は、傘のように展開されている。

その背面と言うのはつまり、地面の下――と言ってもいいだろう。

「チャイカ先輩……インディゴ・ドライブはいうなれば無限の力を生み出し続けるシステム」

「敵の魔力を上回るだけの1撃で突破――――できると言うのですの?」

「大気から力を吸収する――っていうのが本当ならば」

「やってみよう、チャイカ」

ツバサの言葉に、チャイカは頷いた。

「分かりましたわ。ウチの全力――見せてあげますわ」

装騎スネグーラチカЛがリディニーク・ザ・ヴァースを構えると、インディゴ・ドライブによりアズルを集中。

それに加え、チャイカ自身の魔力を混ぜ込み狙いを定める。

「あの魔力障壁――――1番障壁が薄そうな場所は…………真上……になりますわね」

だが、真上からの砲撃などもちろん不可能だ。

いや、できない訳ではないだろうが、その威力で突破できるかどうかは分からない。

「それなら……スズメちゃん!」

「分かりました、ツバサ先輩!」

「ああ!」

「えっ、マハはどーしやがれば良いんですか!?」

「突撃準備しとけ!」

「アイアイマムでやがるんですよ!」

チャイカはリディニーク・ザ・ヴァースの銃口を魔力障壁の天井付近へと狙いを定めた。

チャイカの魔力、インディゴ・ドライブによるアズルの無尽供給により、そのエネルギーを最大まで高める。

「魔力砲撃……シェルクンチク!」

チャイカの放った鋭い1撃が、魔力障壁の天井を撃ち抜いた。

魔力障壁の一瞬の綻び、それをすぐに修復せんと魔術装騎ツァウベルが魔力を注ぎ込む。

「スズメちゃん、今ですわ!」

「頼みます!」

「ああっ!!」

インディゴ・ドライブで強力な加速をする装騎メゾサイクロンの疾走に、装騎スパロー2Rが飛び乗った。

「いっけぇスズメちゃぁぁあああああん!!!」

加速する装騎メゾサイクロンをカタパルト代わりに、装騎スパロー2Rが空を飛ぶ。

そのまま、装騎スネグーラチカЛが穿った魔力障壁の穴から敵陣へと飛び込んだ。

まさかの奇襲で敵部隊に動揺が走る中、装騎スパロー2Rは駆逐装騎部隊を蹴り、踏みつけ、一気に魔術装騎ツァウベルの1騎へと接近。

「ムーンレイ・ストライク!」

装騎スパロー2R全身のブレードエッジから伸びたアズルブレードが、装騎ツァウベルを貫いた。

「もう一発――シェルクンチクですわ!」

そこに、装騎スネグーラチカЛの一撃が障壁の殻を砕き割る。

「よっしゃ、突撃ぃぃいいいいいいいいいい!!!」

ツバサの号令と共にチーム・ブローウィングを含めたマルクト神国軍は一気に敵陣へ攻め込んだ。

この作戦で各方面のマルクト神国軍は膠着状態を打破。

再び、マルクト神国優勢の運びとなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ