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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアな夏休み
130/322

ステラソフィアで夏祭り

8月の朔日。

その日はステラソフィア学園都市で行われる夏祭りの初日だ。

8月1日土曜日と2日日曜の2日間にかけて行われるその祭りは、夏休み中で人の減った学園都市を活気づけようと言う事で始まったというこの夏祭り。

今回は、ゲストにサクレ・マリアが登場するとあって大賑わいだ。

そんな夏祭りの場に、スズメたちの姿も勿論あった。

「わー、こんな沢山グラウンドに人が居るのって新歓以来だね!」

スズメの言葉通り、ステラソフィア機甲科のグラウンドに多くの人々が集まっている。

「やっぱり、マリアさんが来るとなるとすごいわね」

その人の数を見ながら、サリナがポツりと呟いた。

「でも、マリアさんがゲストで何をするのかな……?」

「バトルパフォーマンスとかなんじゃないの?」

「やっぱりそうですよね」

実際、マリアの性格的にそれ以上のことは出来そうにもない。

「イヴァはひもじぃさ……」

「イヴァちゃん、ちょっとだけ我慢してね」

色々な出店も出ている夏祭りで、どういう訳かスズメたちは何も手を付けないで真っ先にグラウンドへと来ていた。

時刻は17時。

サクレ・マリアの特別ステージが始まる時刻だ。

そして、グラウンドに1人の女子生徒が姿を現す。

「みなさん元気ですかー!?」

女子生徒の声に、観客の人々が歓声を上げた。

「毎度お馴染み、チーム・ソルフェージュのミウラ・リタでーす!!」

そう、毎度司会、実況でお馴染みミウラ・リタの姿だった。

「今回のステラソフィア夏祭り、ゲストはあのサクレ・マリアさんです!! では、お呼びしてみましょう。サクレ・マリアさん!!」

人々の歓声と共に、1騎の機甲装騎がその場に姿を現す。

サクレ・マリアが操るアブディエル型装騎マグダラだ。

「そして、今回サクレ・マリアさんをゲストに何をするかと言うと――――」

勿体ぶるように思いっきり溜めると、言った。

「なんと、サクレ・マリアさんと装騎バトルが出来ちゃいます!!」

リタの言葉になお一層歓声が沸き上がる。

「マリアさんと――装騎バトル!?」

そんな観客たちと一緒に、スズメも沸き上がる。

「みんな、サクレ・マリアとバトルしたいかー?」

「したーい!!」

「サクレ・マリアに勝ちたいかー!?」

「勝ちたーい!!!!」

「それでは、マリアさんと戦いたい人は挙手してください!!」

「はいはいはーい!!!!!」

「スズメちゃん元気さー」

「それじゃあ、そこの君!」

ミウラ・リタの指がスズメ達の方へと向けられる。

まさか――と思ったスズメだが、よく見るとその指はスズメ達より少し上の方へと向けられていた。

「そこの髪が長い眼鏡の君、前においで」

「わ、わたしですかっ!?」

ミウラ・リタに呼ばれて前に出たのは、若干顔に黒髪がかかる長髪で赤縁眼鏡の少女。

「わぁ、ユウレイ感激です!」

ユウレイだった。

「ユウレイちゃん!? ええ、ズルい!」

「アイツ自由ね……」

「だからよー」

「って言うか、他の人にも見えてるのかしら……?」

だが、周りの反応を見る限りどうやら見えているらしい。

普段はステラソフィアの制服を着ているのだが、今回はどういう訳か白のワンピースに身を包んでいた。

装騎はどうやらある程度の種類から好きな装騎、武装を選べるらしい。

ユウレイちゃんが選んだのは、ライトガトリング・テアトルを装備したメタトロン型装騎。

そして、サクレ・マリアとユウヤミ・レイミの装騎バトルが幕を上げた。

「ユウヤミ・レイミ、行きます!」

「――――――ッ!」

結果は、サクレ・マリアの圧勝だった。

ユウレイ・メタトロンの放つライトガトリング・テアトルの雨を簡単に凌ぎ、突撃槍ロンの1撃で機能停止。

その後もイベントは続いたのだが、今回のイベントはどちらかと言うと子ども、外部向けのイベントのようで、スズメは指名されないままイベントは終わった。

そのイベントでのサクレ・マリアの戦いはと言うと、その多くの対戦相手が小中学生でありながら容赦のない戦いを披露。

圧倒的な強さを見せつけたのだった。

その後、スズメ達4人にユウレイ、マリアを含めた6人でステラソフィア学園都市のセントラルエリアに来ていた。

「まさか、サクレ・マリアと一緒に祭りを回ろうだなんてね……」

「良いじゃないですか! ね、マリアさん!」

「そう」

「後、ユウレイ」

「何ですかぁ?」

「今日は幽霊ネタ禁止よ」

「ええ、そんな!?」

「幽霊?」

「あ、マリアさんは気にしないでください!」

「そう」

「な、なんかでーじなメンバーさ……」

「いろんな意味でね」

そんな会話をしながら、セントラルエリアに出ている出店を6人で回る。

「こういうお祭り会場の出店って高いよねぇ」

「だからよー」

「ほとんどは雰囲気代ですよねぇ~!」

「みんな、何食べる?」

こういう状況だと、サリナが居ないと纏まらないこの子たち。

それぞれが思い思いの物を出店で買い、食べ始める。

「イヴァはくじ引きもしたいさー」

「私も! 夏の運試しだぁ!!」

「ユウレイもやります!」

そう勇んで、子どもたちが多く並ぶくじ引き屋の列に並ぶスズメ達。

「マリアさんもやりましょうよ!」

「私も――?」

「はい!」

そして、くじ引きを引いたスズメ、イヴァ、ユウレイ、マリアの4人。

その結果は――――

「G等……あー、じゃあそのニャオニャンニャーのカードください!」

「F等さー。エアガンが欲しいさー!」

「E等は、ちっちゃい装騎の人形ですねぇ~」

「マリアさんは――!」

「G等――」

そう言いながら、マリアは受け取ったニャオニャンニャーのカードを見つめている。

「マリアさん、そのカードってゲーセンのゲームでも使えるんですよ!」

「そうなの?」

「はい、今度ゲーセンにも行きましょう!」

「…………うん」

スズメの言葉に頷くマリアは、少し嬉しそうに頬を染めた。

その傍でイヴァが頭を抱えて膝をついている。

「うあー、今回も敗北さー」

「こういうのは当たると思ってやるものじゃないからね……」

「だよねだよねぇ! そもそも、当たりなんて無いんじゃないかとか思っちゃいますよね! これは霊視するしかないです! ユウレイだけに!」

「幽霊ネタ禁止って言ったわよね?」

「これくらい良いじゃん!」

イザナとユウレイが言い合うのをよそに、

「でも、私の妹が昔A等当てた事あるんですよ」

「あい、本当ね!?」

「本当ですよ。当たったのは3世代前くらいのビデオゲームでしたけど」

「3世代前? 16ビットとかだば?」

「うん、それくらい」

そんな話をするスズメとイヴァ。

それからも、6人で食べ歩きをしたり、屋台でゲームを楽しみ、更けてきたころ……

「そろそろ花火の時間よ」

「花火があるんですね!」

「だからよー!!」

「ふーん」

「花火、花火っ♪」

「…………」

打ち上がる花火を見ながら、その1日は終わった。


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