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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの夏休み
122/322

プールに行こう!

「ねぇねぇ見て見て!」

「どうしたのスズメちゃん?」

集まって早々、やけにテンションの高いスズメ。

その理由は、ある4枚のチケットだった。

「どじゃ~ん!」

「それって――アクア・ガルテンの特別招待券!?」

「よくCMしてるやつだばーよ!」

「えへへ、チャイカ先輩から貰ったんだぁ。だからみんなで行こうと思って!」

神都カナン郊外にオープンしたばかりの大型の室内遊泳施設アクア・ガルテン。

広大な敷地を目一杯使用しており、そこに様々な種類のプールやアトラクションが存在している。

その中でも1番の売りは海と砂浜を再現した海水プール。

マルクトにも北部に海はあるのだが敵地との境界線に位置する為、危険度が高いと言う事もありその代わりにと作られた。

「プール行こうとは言ってたけど、まさかアクア・ガルテンとはね」

「だからよー!」

そんな話をしながら、アクア・ガルテンへと向かう四人。

何故か、特別招待券をジーっと見つめているイザナをよそに会話が弾む。

それからしばらく、スズメ達はアクア・ガルテンへとたどり着いた。

受け付けで特別招待券を提示すると、スタッフの人にとある一室に案内される。

そこはどこか高級な感じのする部屋――――そうここは……

「何このVIPルームみたいな場所……」

「はい、VIPルームでございます」

サリナの呟きにスタッフの女性がそう答えた。

話によると、ここはテレシコワ家関係者用のプライベートルームであり、プライベートプールを楽しめる他、一般のプール、アトラクションへも移動できるという。

スタッフの女性が去った後、スズメ達4人は着替えをしながら、

「まさかVIPルームに通されるとは思わなかったわよ」

「このプール、テレシコワ財閥が作ったヤツだからね」

「え、そうなの!?」

イザナの放った言葉にスズメを含め、全員が驚きの表情を浮かべた。

「特別招待券に書いてあったのよ。あの券、身内用みたいだし」

「さすがテレシコワ先輩お嬢様ね……」

「泳ぎに行くさー!!」

そんな話をしている間に着替え終わったイヴァが部屋を飛び出していく。

「早速ね……あたし達も行きましょうか」

「そうだね!」

「そうね」

その後を追いかけるように、水着に着替え終わったサリナ、スズメ、イザナの3人もプールへと出た。

「みんなどうする?」

「私はとりあえず色々見てみたいかなぁ」

「スズメに従うわ」

「イヴァはウォータースライダー行くさー!!」

「それじゃあ……あたしはイヴァちゃんと一緒に行こうかしら」

「じゃあ、また後で合流しよう!」

と、言う事でスズメとイザナ、サリナとイヴァで分かれ、それぞれはそれぞれで目当てのプールへと向かう。

誰も居ないプライベートプールと対照的に、スズメとイザナが行く一般プールはさすがに凄まじい人の数だった。

出来たばかりで物珍しさがあるというのも含めて、なかなか歩くだけでも大変な様相だ。

ちなみにプールにおいてもヒラサカ・イザナが周りの目を引くのは変わりなかったが、そこは割愛することとする。

一方、プライベートプールに備え付けられたウォータースライダーを楽しむイヴァと、ボートで揺られながら飲み物を飲むサリナ。

イヴァは飽きもせず、何度も何度も何度も何度も、登っては滑り登っては滑りを繰り返している。

最初は普通に滑り、次は跳び蹴りをするような恰好で滑り、そして頭から滑り、本当に飽きない。

それからしばらくして、スズメとイザナもプライベートプールへと戻ってきた。

「どうだった?」

「人が多すぎて身動きができないよ」

「本当、バカみたいな数だったわ」

「まだまだ目新しいもんね」

2人の言葉にサリナは苦笑する。

「ちょっと気になるプールはあったけどね」

「気になるプール?」

「ジェットバスみたいなプールがあったんですよねぇ。あれってココにもあるかな……?」

「あるんじゃないかしら?」

「探してみる!」

スズメはそういうとフロアマップを眺め始めた。

「私も普通に泳ぐわ」

イザナもそう言うとプールへと飛び込み、普通に泳ぎ始める。

「じゃあ、私は泡が出るプール行ってくるね!」

スズメはそう3人に声をかけると、やや離れた場所にあるお目当てのプールへと向かっていった。

「ここにも海水プールってあるみたいね」

アクア・ガルテンのガイドブックを読んでいたサリナが、ふとそんな事を口にする。

「そっちも行ってみるさぁ!」

いつの間にか戻ってきていたのか、サリナのそばで犬かきをしていたイヴァが言った。

「そうしようかしら。ヒラサカさんも行く?」

「そうね……行くわ」

「それじゃあ、スズメちゃんも呼んで行きましょうか」

そして3人はまず、スズメが居る泡が出るプールへと向かう。

そこでは、やけに気持ちよさそうにプールを満喫するスズメの姿があった。

いつの間に持ってきたのかドリンクをプールサイドに置きながら、吹き出る泡と水の流れに揺られるまま恍惚とした表情を浮かべている。

「スズメちゃん気持ちよさそうね……」

「はい、なんかすっごく気に入っちゃいましたぁ……」

「あたしたち、海水プールの方に行こうと思ってるんだけどスズメちゃんも来る?」

「えー、どうしましょう。行きたいような行きたくないようなー」

結構マジメに考えている辺り、スズメは本当にこの泡が出るプールが気に入ってるようだった。

暫く、考えに考えた結果、スズメは口を開いた。

「今日は行こうかなぁ」

そう言う事で、4人みんなでプラベートプール内の海水プールへと足を運ぶ。

「これが海――――風のプール!」

白い砂浜、寄せては返す波、開放式の天井からは、蒼空と太陽の輝きが差し込んでいる。

「すごいですねぇ、海って感じです!」

スズメは海に行ったことは無い。

「だからよー」

イヴァも海に行ったことは無い。

「中々忠実ね」

もちろんイザナも。

「まぁ、悪くは無いんじゃないかしら」

ちなみにサリナは海に行ったことは有ったりする。

「サエズリ・スズメ、行きまーす!」

「リサデル・コン・イヴァ、いくさー!」

早速、海水プールへと駈け出すスズメとイヴァ。

「痛っ、目ぇ痛っ!!」

だが、海水に慣れてないからなのか、スズメがそう叫びながらすぐに戻ってきた。

「スズメちゃん大丈夫……?」

「うー、普通のプールより塩分高くて波もあるから、水が目に入って……」

スズメは普通のプールでも、水中では目を開けられないタイプだった。

「スズメ、浮き輪」

「ありがとうイザナちゃん!」

イザナから浮き輪を受け取ったスズメは、また海水プールへと戻っていく。

「あたしも泳ごうっと」

その後に続いて、サリナも海水プールへと足を進める。

散々遊び倒した後、ビーチへと戻ってきたスズメ、イヴァ、サリナの3人。

そこではイザナがいそいそと砂山作りに勤しんでいた。

「ヒラサカさん何それ……」

その砂山は、四角が2つくっついたような形や、円が2つくっついたような形、円に四角がくっついたような形とバリエーション豊富だ。

「この丸いのが円墳、こっちの四角いのが方墳。これは前方後円墳でこっちが前方後方墳でそして双方――」

「いやナニよソレ……」

「スズメパーンチ!」

「イヴァキーック!」

「ちょ!?」

そんなイザナが作った古墳もスズメとイヴァによって破壊されてしまった。

「今日は楽しかったねー」

「機会があったらまた来たいさー」

「そうよね。テレシコワ先輩にもお礼を言っとかなくちゃ」

「まぁ、たまには良いかもね」

それぞれがそれぞれの感想を口にしながら、ステラソフィア学園都市への帰り道を行く。

「ステラソフィアに着いたらセントラルで何か食べない?」

「良いね!」

「だからよー!」

「――――フッ」


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