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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ウィリアムバトラーの十字架
12/322

反転攻勢(ムーンサルト・ストライク)

タタタタタと放たれる10mmストライダーライフルの弾を木々を使いながら回避する。

「スズメちゃん、そろそろだ――」

「はい!」

レーダーには斜め後方から迫りくる2つの光点。

現在交戦中のゴア=ブースを12時に、8時の方向からイニスフリー、4時の方向からマクブライドが迫りくる。

チャイカが反転し、スパローとスーパーセルを、イニスフリーとマクブライドから守る壁のように構えた。

スーパーセルは12mmバーストライフルを、スパローは16mmファイティングショットガンを撃ちながらゴア・ブースを牽制する。

「お待たせぇー!」

「真打、登場」

10mm銃剣標準装備型突撃銃を構えるイニスフリーと、14mmナイフブレード・サブマシンガンを構えるマクブライド。

その2騎が一斉に放つ銃撃を、スネグーラチカが必死で防ぐ。

銃撃を行いながら、ジリジリと近付いて来るイニスフリーとマクブライドの2騎。

「くぅっ……あぅっ!! ああっ!!!」

激しく撃ち込まれる弾丸に、チャイカの精神力が削がれていく。

「あと少し――あと、あと少しだけ…………!!」

スズメは左手のショットガンを単調に撃ちながら、レーダーで2騎との距離を測っていた。

「くぅぁ……もう、だめ、ですわ――――」

チャイカが限界に達し、スネグーラチカがその機能を停止したその時――

「今!!」

スズメが駆る装騎スパローが宙を舞った。

「何や!?」

「えっ」

「あいえなぁ!?」

バク転をするように高く飛び跳ねたスパローが宙をくるくると舞う。

攻撃するのも忘れ、呆気にとられて目で追いかけてしまうウィリアムバトラーの3人。

だが、その3人の内、1人の視界からスパローの姿は消えた。

「――しまっ」

スパローはマクブライドの頭上を跳ね越えるとその背後へと着地。

「ムーンサルト・ストライクっ!」

右手に持っていたナイフの一閃で、マクブライドの機能を停止させた。

「残念無念――」

「な、何が起こっちょるっとね――!?」

一瞬遅れてその場にたどり着いた装騎ファーガスの騎使エール・カトレーンが驚きの声を上げる。

そしてそのまま、スパローはファーガスに向かって駆け抜けながら左手に持った16mmファイティングショットガンを撃ち放つ。

「うわととと、こっちに来るんじゃないとよ!」

ファーガスはカラドボルグを構え、スパロー貫こうとする――しかし、スパローはその身を沈めファーガスの突きをかわす。

そのまま、弾の切れたショットガンを投げ捨てながら、ナイフでファーガスの胴体を切り裂いた。

「な、なんて鋭さしとるん……」

一方、ツバサの装騎スーパーセルも宙を舞っていた。

装騎スーパーセルの両腕には、ワイヤーアンカーが仕込まれている。

そのアンカーを使うことで、敵の装騎の動きを止めたり、壁や木々に突き刺して、独特の機動をすることが可能となるのだ。

スパローのバク転宙返りに呆気にとられた一瞬の隙に、ツバサはスーパーセルのアンカーを手近な木に突き刺し、飛んだ。

「あいやっ」

スーパーセルの機動にイヴァが気付いた時には遅かった。

スーパーセルは丈夫な木々にアンカーを突き刺し、その巻き取る力で擬似的な空中機動を実現する。

ロープスイングのような動きで一瞬でゴア=ブースとの距離を詰めると、腰に差していた剣を引き抜いた。

その剣は、スーパーセルの電力供給を受けて、連なった鎖状の刃が大きな声を上げながら稼働するチェーンブレードと呼ばれる武器だ。

「一閃――!! なんてね」

ギィィィィイイイイイイイイイン

けたたましい音と、盛大な火花を散らしながら、スーパーセルのチェーンブレードはゴア=ブースの体を引き裂き、機能を停止させた。

「んな――こんな一瞬で3騎もとかジョーダンやろ!?」

「いーや、ミカエラ。これがリアルだから~♪」

「えへへ、すみません。これでミカエラ先輩だけですね」

「全く……恐ろしい人たちですわ…………」

激しい駆動音を奏でるチェーンブレードを掲げたツバサのスーパーセルと、大腿部のストックから予備のフォールディングナイフを取り出し空いた左手に持つスズメのスパロー。

2騎の装騎は、最後の1騎となったミカエラのイニスフリーへとにじり寄る。

「うぅぅううううううだぁあぁぁあああああああもう!! こーなりゃ当たって砕けろや!!!!!」

「2対1でも容赦しねーぞ?」

「よろしくおねがいしますー」

タタタタ!!

イニスフリーが放った銃剣装備型突撃銃の銃声が戦闘の開始を知らせるように、スーパーセルとスパローの間を引き裂く。

「くらえっ!」

スーパーセルはチェーンブレードを構えたままイニスフリーへと駆け抜け、その刃を振りかざす。

「甘いでっ」

ギギイィィイイイイイイイイイイイイン

スーパーセルのチェーンブレードと、イニスフリーの銃剣がぶつかり合い、激しい音が響く。

「其処ですっ!」

スーパーセルとの打ち合いによって動きが止まったイニスフリー、そこにスパローのナイフが閃く。

「そうくるんは当然やな!」

「うおっ!?」

その瞬間、イニスフリーはスーパーセルの攻撃を受け流すように身をかわす。

引かれるようにバランスを崩したスーパーセルが、スパローの払った右手に持ったナイフに切り裂かれる。

「ああっ、先輩ごめんなさい!!!」

「マジかぁああああ!!??」

「ふっふーん、さぁスズメちゃんも――とったでぇ!!」

ナイフを振り払い、隙が生まれたスパロー。

そのがら空きになった胴体に、イニスフリーが突撃銃の銃剣を突き立てようと構える。

「させるかぁ!!」

だが、辛うじて機能停止を免れていたスーパーセルの右腕がイニスフリーの突撃銃の銃剣を掴みあげる。

「――いまだっ」

「させんで!!」

イニスフリーは必死でスーパーセルに掴まれた突撃銃の標準をスパローに向け引き金を引く。

しかし、放たれた弾丸はスーパーセルによってあらぬ方向へ飛び散らされた。

散らばる弾丸の雨を掻い潜り、スパローは左腕に持ったナイフをイニスフリーへと突き立てた。

「バトルオーバー!!! Bブロック3回戦の勝者が決まりましたっ! 激戦を制し勝ち上がったのは、チーム・ブローウィング!!」

観客席からの歓声を聞きながら、スパローはナイフを持った右手を高く天へと振り上げ、十字を切った。

オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

挿絵(By みてみん)

1年:チーム・ウィリアムバトラー所属

名前:Lissadell Con Eva

読み:リサデル・コン・イヴァ

生年月日:聖歴152年9月2日

年齢:15歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国バラトン

身長:149cm

体重:46kg

使用装騎:PS-Sa1S:Gore-Booth(ベース騎PS-Sa1:Sandalphon)

好みの武器:20mmフュンフトマティ砲

ポジション:ガンナー

バラトン公立ヘーデルヴァーリ中学出身。

装騎が好きなので、装騎を自由に扱えるステラソフィアに推薦をだし、自己推薦入学を果たした。

趣味は装騎のプラモを組み立てること。

個人的な声のイメージは花澤香菜さん。

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