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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
悪魔の名を持つ新型
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マッハちゃん強化計画

前回の実地戦から2日後の6月27日土曜日。

チーム・ブローウィングの寮室でスズメとツバサの2人が話をしていた。

「今更ですけど、マッハ先輩って被撃墜率高く無いですか?」

「まぁ、確かに今更だな……」

「今まで――というか、新歓は試合ですから良いですけど、さすがに実地戦でアレじゃあ役に立た――――心配じゃないですか」

「ディープワンとか新型とか色々あったし……さすがに命に係わるしな」

「そうなんですよ。ていうか、マッハ先輩って前からああなんですか……?」

「いや、まぁ……去年の新歓頃は気になるほど――では無かったんだけど」

「そうなんですか?」

そう問い掛けられたツバサが昔を思い出し苦笑しながら口を開く。

「以前のマッハちゃんってすっごく口も性格も悪かったんだよ。今でも大概だけど昔よりはマシだしな。ただ性格が丸くなっていけばいくほど弱くなっていった感じはするな……」

「そんなことってあるんですか……」

半ば信じられないというような表情を浮かべるスズメ。

だが、すぐにスズメは話を本題に戻す。

「まぁ、それでマッハ先輩をどうにかしたいんですよね」

スズメの言葉に、だがツバサは難しそうな表情を浮かべた。

「尤もだけど、マッハちゃんはなかなか言う事聞いてくれないしなぁ……」

「とりあえず、マッハ先輩自身の問題は置いといて、私はチリペッパーの強化からするべきだと思うんですよ」

「チリペッパーを勝手に弄るのか?」

「はい! でも、やっぱ怒られますかね……」

「――――いや、やろう。やってしまえばコッチのもんだ!」

「流石ツバサ先輩です!」

と、言う2人の決断でマッハ強化計画――ひいては装騎チリペッパー改良計画がはじまったのだった。

「チリペッパーはヘルメシエルがベース。その弱点は言うまでも無く」

「防御力、か……」

「はい。軽量化を目指して装甲自体も薄めですし、小柄で細身ですから衝撃も伝わりやすいですしね」

「そうなると――やっぱり追加装甲? それだとマッハちゃんマジで怒りそうだけど」

「ブーステッドアーマーを作りましょう!」

「ブーステッドアーマー?」

「追加装甲にシェムハザ型の補助ブースターみたいなのをつけて加速しやすくするんですよ」

シェムハザ型装騎は両腕両脚に補助ブースターを装備し、そのブースターによって動作を加速させることが出来る機甲装騎だ。

「でも、シェムハザ型って結構扱うの難しいらしいぞ」

「そうなんですよね。でも、マッハ先輩の戦闘データとかからランニングフォームを割り出して、それに合わせて自動でブーストするように設定できれば」

「ってそんなこと出来るの!?」

「本格的にやるのは時間がかかりますけど、簡単にでしたらシャダイコンピュータでなんとかなりますよ」

「マジか」

「ていうか、ツバサ先輩ってそういうの触ったりしないんですか……?」

「いやもう全然」

そんな会話をしながら、スズメがSIDパッドでチリペッパーの戦闘データをダウンロードし始める。

「あら、お盛んですわね。何をしているんですの?」

食料品の買い出しに行っていたチャイカが、ぎゅうぎゅうに詰まったエコバッグを持ちながら姿を現した。

「マッハちゃんのチリペッパーを改良しようと思って、スズメちゃんと話し合いしてたんだよ」

「なるほど……確かに最近のマッハちゃんには目に余りますものね」

「そうなんだよな……だからとりあえずアタシらで勝手に出来るチリペッパーの改良からってな」

「仕方ないですわね。マッハちゃん本人の方はウチが何とか頑張ってみるのですわ」

「お、ソレは助かる。アタシも協力するしさ」

「大体完成ですね……ブーステッドアーマー自体も大体のデザインとかは考えていますし、これをシャダイコンピュータの方に申請すれば」

「完成か?」

「いえ、まだ大事な作業が残ってます」

「何だ?」

「名前を考えないと!」

「ああ、確かに……名前か、安直なのはレッドホット・チリペッパーとか?」

「ただいまなんですよ!」

そこに帰ってきたマッハに、スズメが尋ねた。

「マッハ先輩の好きなものって何ですか?」

「急になんでやがるのですか! マハが最近好きなのは……アレでやがるんですよ。カップの極み! 特に濃厚味噌が――」

カップの極み――それはファストクック食品が出しているカップ麺のシリーズで、カップ麺としての美味しさをとことん追求したシリーズだ。

濃厚なカップ麺らしい味わいと、十二分な量(当社比)に値段の安さから人気がある。

「なるほど、ありがとうございます!」

「と言う事は、名前は……」

「はい! カップの極みで決定です!」

「いや、そこはきわみとかにしようよ!?」

「チリペッパー・キワミアームズですか……?」

「いやいや、アームズとかは言ってないけど!」

「何の話をしてやがるんですかぁ?」

「こっちの話だ」

「楽しみですねぇ」

そんなことを言いながら、スズメが送信したデータには「強化案:チリペッパー・カップの極み」と表示されていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] キワミアームズ········ オレンジな戦国武将····? ???「ここからは俺のステージだ!!」
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