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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ウィリアムバトラーの十字架
10/322

スタートダッシュ

「ひゃっはぁぁあああああああああ、風になりやがるんですよぉぉおおぉおぉおおおおおおおおお!!!!」

戦いの始まりが告げられたその瞬間、カスアリウス・マッハの装騎チリペッパーが最高のスタートダッシュを切った。

元装騎レースの選手だったカスアリウス・マッハ。

もしもこれがレースゲームだったのなら、これ以上の走り出しは無いだろう。

「うっわ、あの野郎今日に限ってこんな快速!!! みんな続けぇ! マッハちゃんに振り切られないようにな!!」

「あらあら、今日は一段とお元気ですわねぇ」

「ひぇぇええええ、本当にこんなんで大丈夫なんですかぁ――!?」

ブローウィングそれぞれのメンバーも装騎を走らせ、ブースターを吹かせ、チリペッパーの後へと続く。

チリペッパーが駆け抜けながら、細い木々を膝部に装備されたレーザーブレード、通称キックブレードで切り倒しながら駆け抜けていく。

「あ、あのー、ツバサ先輩……これって私達の位置バレバレなんじゃ」

「言うな。それ以上何も言うなスズメちゃん……」

「リーダー、このまま12時――恐らく装騎が1体待ち構えていますわ」

サエズリ・スズメの装騎スパローと共に最後尾を走るテレシコワ・チャイカの装騎スネグーラチカが前方で待ち構える装騎の姿を感じる。

「マクブライドか――?」

「ええ、恐らく」

「で、でも、レーダーには何も映ってないですけど……」

「この速度でしたら、もうすぐレーダーにも映り――ましたわ」

レーダーに敵性を表す光点が一つ示される。

そして、光点の解析情報として、PS-M-A2S:MacBrideの表示が現れた。

「本当にマクブライド――!!」

「チャイカの勘はよく当たるからなぁ」

「か、勘なんですか――!?」

「この子の索敵機能と魔力増幅機能のお陰なだけですわ」

パン! パン!

不意に散発する銃声が木々の葉を揺らす。

どうやら、チリペッパーがモード・ヘレネの装騎マクブライドと戦闘に入ったらしい。

「アタシらもさっさと追い付いて、マッハちゃんを――――」

「うぎゃぁぁあああ!!??」

耳をつんざくようなマッハの叫び声と共に、チリペッパーの反応が消える。

「おい、マジかよ…………」

気付けば、いつの間にだろうか。

先ほどまでチリペッパーが居た場所に現れた1つの敵正反応。

解析情報PS-A4S:Fergus。

「ほい、一丁上がりーっと」

チリペッパーに対装甲溶断刀カラドボルグを突き刺し勝ち誇るのはエール・カトレーンの装騎ファーガス。

白銀の甲冑を思わせるアーマーに、剣を持つその姿はまさに騎士の出で立ちだ。

どういう訳か、チャイカの勘も装騎のレーダーも誤魔化し、チリペッパーを不意打ちをしたその装騎。

だが、姿を消していたのはファーガスだけでは無かった。

赤みがかった黒色に、薄いくすんだピンクのラインが装騎の体中を包んでいるマクブライド。

そんなマクブライドの周囲を奇妙なオーロラ色の揺らぎが包み込んでいた。

タタタタン

それを確認したワシミヤ・ツバサの装騎スーパーセルが12mmバーストライフルを連射する。

「解除、波力障壁……転用、魔力障壁、発現」

その弾丸はオーロラの輝きを解除したマクブライドが放った青い白い空間の歪みに阻まれ、弾き飛ばされた。

と、同時に、ファーガスの背後から、2つの騎影がそれぞれ別の方向へと飛び出す。

「イヴァちゃんは左側頼むで!」

「はい!」

「先ほどのオーロラは魔力やレーダーを遮る障壁――そんなことが出来るんですの!?」

そう、チャイカの勘もレーダーも騙したモード・ヘレネが編み出した魔術、波力障壁。

レーダーによる索敵も、魔力による索敵も、探知波と呼ばれる波の性質を利用して行っている。

それら波が持っている性質や情報をゆがませることで、探知を逃れたり、相手に伝わる情報をコントロール出来る魔術、それが波力障壁だった。

チャイカの勘も、自らが放った魔力索敵の結果から微妙な違和感を直感的に見つけ、その違和感を鮮明化させることで相手を特定するというもの。

この場合はブローウィングの装騎が放った探知波と、チャイカの魔力探知に対しマクブライド以外の装騎の反応を消すことで、マクブライド1騎で待ち構えているように錯覚させたのだ。

自分の周囲数m程度であれば波力障壁は有効であるが、それだけの意思集中を伴う事と、戦闘機動を取りながらでは使用がほぼ不可能な点は欠点だろうか。

「撃つ」

マクブライドがその両手に武器を構える。

それは14mmナイフブレード・サブマシンガン――小型の短機関銃上部にナイフの刃が突き出た歪な銃だ。

その弾丸がフルオートでばら撒かられる。

「あぶねえ!!」

「やらせないですわ――!」

慌ててバックステップを踏むスーパーセルと、入れ替わる様に最前面に出てくるスネグーラチカ。

スネグーラチカの左手から、青白い光が放たれる――。

激しい空間の揺らぎと、マシンガンの銃弾が激しくぶつかるその隙に、ファーガスとマクブライドが木々に紛れて消え去った。

「ツバサ先輩――!」

「くっ、分かってる!」

話に聞いていたルード・オブ・タイムが今まさにそれが実戦されようとしていた。

オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

【みてみんメンテナンス中のため画像は表示されません】

3年:チーム・ウィリアムバトラー所属

名前:Eire Kathleen

読み:エール・カトレーン

生年月日:聖歴151年2月24日

年齢:17歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国チューリヒ

身長:165cm

体重:60kg

使用装騎:PS-A4S:Fergus(ベース騎PS-A4:Abdiel)

好みの武器:対装甲溶断刀カラドボルグ

ポジション:アタッカー

公立メイガス女子中学出身。

近接格闘戦でのセンスを感じさせステラソフィアに自己推薦入学。

趣味は料理。

しかし、周囲からはやや不評をかっている。

個人的な声のイメージは伊藤静さん。

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