[壱]話(5)黒と優等生
鬼無里です
よろしくお願いします。
「木崎霧弥さんって学校全体の中でもトップ5にはいると言われる実力者で、模擬戦では負けたことがなくSクラスにおいて生徒会長さんと同じく登校義務が免除されるほどの優秀な方でしたよね?」
唯火が確認しながら丁寧に木崎についての説明を補う。
ちなみにSクラスの中でもさらにトップクラスの優等生になると登校義務自体が無くなってしまう。先程あげたように木崎や悠子など今までに学校全体で10人ほどが免除されている。
「学校での彼のことは知らないけれど、たぶんその子だよ。ヒョロッとしていてまるでもやしのような外見をしていた子だよ」
「…もやしって」
それを聞いた哉夢は吹き出していた。
「でもその木崎さんと【クロノウデワ】がどうして最悪の組み合わせなんですか?それより【クロノウデワ】って一体何なんですか?」
「んー、そっか。じゃあまず【クロノウデワ】から説明した方が良さそうだね。お嬢ちゃんは、黒系統の異能についてはもう習ったかい?」
「はい、黒や白系統の異能は、特殊な異能で司るモノが無くまず普通の人に発動しないと、それに黒系統は一番原点に近い召喚を使えるとも習いました。」
「その通り、百店満点の解答だよ。黒系統の異能はまず発現することはない。発現したとしてもそいつは人間以外の何かだ」
そこで大夜は意味ありげな目線を哉夢に向けた。哉夢は目を合わせない。
「人間で発現できたヤツもいないことはないがたいていはその力を使いこなせない。やっぱり人間には無理がある能力なんだよ」
そこで一度言葉を切る大夜。そして、「だけど」と続ける。
「もしその力を誰でも使えることができたら、特に対価や才能を使わずに使用できたら、一体どれだけの戦力になると思う?」
「まさか!」
「そう、使えちゃうんだよ。【クロウデワ】を付けるだけで。誰でも、どこでも、いつでも」
唯火は驚愕により絶句していた。
一番原点に近いとされる黒系統の異能。その能力は、召喚。
異次元から異能であれば何でも呼び出すことができてしまう。
異能の覇者とも呼ばれる力でもある。
そんなものが誰にでも使えることになればどんなことになるか、それを想像して唯火は言葉を出せなくなっていた。
「もちろんいくつか制約はあるよ。あのぐらいのモノじゃたいした物は呼び出せないだろうしさ、基本的に黒系統の異能は人間には使いこなせないしね」
「だが、使えるんだろう。
木崎霧弥は」
それまで沈黙を保っていた哉夢は口を開いた。
「ああ、彼は使いこなせるほどの才能を持ってしまっている。だから問題なんだ」
唯火は口を挟めずにいた。あまりのことにどう挟んだらいいのか解らなくなっていたのだ。
「何せ俺の店を見つけてしまうほどの力を持った才能人だからねぇ。しかも俺の追跡を軽々とかわすというおまけ付きだ」
深刻な話をしているはずなのに相変わらず軽薄に話していく。
「いや~怖い怖い、今の子供は本当に怖いよ~。木崎にしても哉夢くんにしても」
哉夢は表情を変えずに聞いている。
「しかし、何で俺らを頼ったんだ?お前なら取り戻すことなんてたやすいだろう?」
「まぁそうなんだけどさ、でも俺も忙しくてねなかなかこの時に居留まれなくてね。それに信頼してるから、――哉夢くんとその友達のことをさ」
~再び異能災害研究部(ISK)部室にて~
翌日の昼休みに哉夢たちは、部室に集まっていた。
「というわけで木崎霧弥についての情報を集めてくれ」
哉夢がこれからのことについて指示を出す。
「んじゃあグループわけはどうします~?」
尚人が訊いてくる。
「そうね、2・2・1で分ければいいんじゃないかしら。」
と、沙喜。
「ここはグッチョパーで決めますか」
今度は真太である。
「「「「「グッチョパーで合った人!」」」」」
「失礼するわ」
と、そこでちょうどドアが開いた。入ってきたのは……、
「サイくんはいるかしら?」
生徒会長逢坂悠子だった。
“ダッ”
哉夢が窓から逃げようとする音
“ガシッ”
逢坂が哉夢の首根っこをつかむ音
“ズルルルルルルル”
哉夢が引きずられる音
「さて、サイくん一緒に昼食を食べに行きましょう」
「ま、まて!僕はこれから大事な調査が――」
「じゃあサイくんは借りていきますから」
「オイッ、誰かこいつを止めて僕を助けてくれ!」
「今日は、私の手作り弁当よ」
「ま、待て!悠子お前の弁当は……、誰か助けてくれー!」
“バタン”
部室のドアが閉まった。
“プルルルル”
「あ、俺のだ」
【From】:哉夢
【本文】
tasuteke
変換と英数の押し間違いと微妙に助けてでなかったのが悲しかった。
どうもありがとうございます。
短くなってしまいすいません。