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災悩人への贈り物  作者: 鬼無里 蟹
始まりの[壱]話
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[壱]話(4)クロノウデワと木崎霧弥

鬼無里です


どうぞよろしくお願いします。

~二日後の休日・とある大通りにて~


 狭間からの依頼を受けた哉夢は、どういう訳か唯火と共に歩いていた。

「はぁ~、めんどくさい。家に帰って二度寝したいな。」

 そんな男子としては、幸運ともいえるその状況にありながら哉夢はいつも通りめんどくさがっていた。

「全く、せっかくの休日だってのに何でこんな朝早くに隣町へ電車使っていかなきゃならないんだか。」

 哉夢が、愚痴をこぼす。

「しょうがないですよ哉夢さん。これは哉夢さんへの依頼なわけですしですし、狭間さんの店の場所を知 っているのは哉夢さんだけなんですから」

 唯火はその愚痴の返答をする。

「はぁ~、今からでもいいからさぼろうかなぁ~」

「だめですよ~、ほかのみなさんだって今回の件に関する調査に動いているにいるんですよ。それなのに私たちだけ何もしないなんてみなさんに悪いですよ」

「まぁ、確かにそうだよな。はぁ~、しょうがないめんどくさいけど行くとするか」

そう言って止まりかけていた足を再び動かしていき、細い路地へと曲がっていった。

「はい!」

その後ろをついていく唯火は、何故かうれしそうだった。


 さて、彼らが店に向かっている間に異能について少し説明しておこう。

 異能とは、この世の理とは全く異なる能力であり人知を越えた力である。魔法や超能力といったものもこれの一つであり、数多くの種類が存在する。その能力によって分類されてされ、レベルによってランク付けされている。

 異能は大きく分けて赤・青・緑・黄・白・黒の六系統に分けられる。


 ――赤は[破壊]を司る異能で、物質を破壊したり強化するような能力は、これに分類される。


 ――青は[静止]を司る異能で、動きを静止したり弱体化させるような異能になる。


 ――緑は[創造]を司る異能で、物質を創造したり変化させることができる。


 ――黄は[加速]を司る異能で、動きを加速したり活発化させる異能である。


 残りの二色[白・黒]は他の四色のように司る動作がない。そのかわり他の四色にはできない能力がある。


 ――白は一番異能の原点はじまりから遠い能力と言われ異能そのものに変身できる。


 ――黒は一番異能の原点はじまりに近い能力と言われ異能を召喚することができる。


 この特殊な能力故に[白・黒]の二色は普通の人間にはまず発現されず、たとえ発現したとしても使いこなせる者はほぼ皆無だった。

 もちろんこれらのどの系統にも属さない能力も多々あり、それらはまとめて[無色]という分類分けをされている。

 さらにこれらの能力は、強さによって1~5までにランク付けされている。

 故に異能者を表すときには、何色系統の何ランク異能者となる。


 閑話休題


狭間大夜はざまたいやの店[夜行やぎょう]にて~ 


 哉夢たちが来る10分ほど前に同じくこの店に来ていた者たちがいた。

 入学式の時に話をしていた新入生三澤空と錫川香奈恵である。

「それにしてもおもしろいのがいっぱい置いてあるね。この道具とか何に使うんだろう?」

空が興味津々に道具を手に取る。

「この指輪とかレトロな雰囲気を出してて素敵ね」

そういって香奈恵も黒い石がはまった指輪を手に取り眺める。

「すいませんこの道具はどういった物なんですか?」

香奈恵が物静かそうな女性店員に尋ねる。

「その指輪は「別になんでもないよ」

しかし女性店員が説明しようとした言葉を遮って、店の奥から着物を着た若い顔つきの男性が現れた。

「その指輪は一応術具ではあるけれど、今はもうその能力をほとんど使えない。ほとんどがらくたと同じ だよ。名前は[クロノツキ]というんだ。黒系統の異能を発動できる術具だったんだけどね、今はもう雑魚中の雑魚を一体呼び出せるか出せないかぐらいしか力は残ってないよ。だから君がふつうにつけても大丈夫さ」

「…そうですか。じゃあこの指輪をください」

香奈恵は、あまりにも軽薄な口調の男性に少しばかり引いていたが指輪を買う決心をしたようだった。

「…いや、引かれていたのは正直傷つくな」

「ほぇ!?」

いきなり心の内を読まれて狼狽する香奈恵。

「いやいやこっちの話だよ」

表情は営業スマイルを保っているが、心の中でひどいショックを受けていた。それ故少しばかり説明してたときより声に明るさが消えていた。



「それでは、まいどあり~」

それから十分後に香奈恵と空は帰っていった。

そして逆の通りから間髪入れずに哉夢と唯火が歩いてきたのであった。

「遅いぜ~哉夢くん。待って待って待ちくたびれたよ~。君たちが来るからって、少しばかり結界をゆるめたら違う生徒が来ちゃったんだぜ。全くもう、あの子たちはここに入れるべき人じゃないのにさ」

「遅くなったことについては謝るが、その子たちの件に関してはお前の責任だ。それに別にいいだろう、商売客が増えるだけの話なんだからさ」

「まぁそうなんだけどもね~。……んじゃ立ち話も何ですから中でお話ししません?そちらのお嬢さんは初めて見る顔だし」

軽薄なしゃべりが続き、慣れている哉夢は別として唯火の方は哉夢の少し後ろえ若干引き気味で下がっていた。

「哉夢さん一体この人は誰なんですか?いきなり出てきてしゃべり続けますし……」

小声で唯火が尋ねた。

「ああ、狭間大夜はざまたいやさんだよ」

「ほぇ?」

普段からするとあり得ないような声を出す唯火。言葉が理解できていないのだ。

「このひとが夜行の店の店主で、今回の依頼人の狭間大夜さんだよ」

「あ、はぁ、……って、えええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」

――今日一番のリアクションをありがとうございます。



~夜行の店内にて~


 哉夢と唯火は和室に招待されていた。

 それなりの広さを持った和室で、机はなく座布団だけが用意されており奥の方に大夜、その向かい側に哉夢と唯火が座っている感じになっていた。

「先程は取り乱してしまってすみません」

「いいや大丈夫だよ」

頭を下げる唯火に返す大夜だが、心なしか声が小さく聞こえた。

「まさか大夜さんがこのような方だとは思いもしなっかたので……」

悪意のたぐいは全くないのだが唯火の一言は大夜を追いつめていった。

「それぐらいにしといてやれ、あまりいじめすぎるとこの人本気で落ち込むタイプだから」

哉夢がすかさず止めに入る。

「?」

唯火は先程と同じように言葉を理解できてないようだった。


閑話休題


「さてじゃ本題にはいることにしよう。今回の依頼についてはメールに書いた通りだけどもう一回だけ話しておくことにしよう。

今回の依頼は、俺の店夜行に置いてあった【クロノウデワ】が盗難されてしまったんだ。あれは結構な価値がある物でね、その盗難の犯人を見つけて【クロノウデワ】を取り返してほしいんだ。」

ぎりぎりに立ち上がれた大夜は、先の調子の通りに話し始めた。

「だけどお前のことだ、もうすでに犯人は分かっているんだろう?」

「ああ、もちろんついてるよ。霧ヶ峰高校二年Sクラス木崎霧弥きざききりやこいつが盗んで持っていったことは間違いないよ」

だけど、そう言葉を続ける。

「これは最悪の相性になってしまったよ。【クロノウデワ】と木崎霧弥厄介な物がそろってしまったもんだ」

どうもありがとうございました。

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