[壱]話(1) 新入生と二年生
鬼無里です。
よろしくお願いします。
今日は霧ヶ峰高校の入学式であった。初々しい新入生たちが緊張しながら生徒会長の話を聞いている。
「はぁ~……、面倒くさい」
明らかにやる気のないため息を出して聞いている男子生徒がいた。
彼の名前は樹里哉夢、この霧ヶ峰高校の二年生である。
男子高校生としては、平均的な体格で少しスラッとしている。髪は黒く顔はいたって普通で、制服の乱れなどから適当な性格だと思われる。
「それはいつものことだと思うけどな~、哉夢」
哉夢のとなりから話し掛けてきたのは、同じく二年生の葉志和真太。哉夢より少しせが高く、優しい顔つきをしている。きちんと制服を着ているところから哉夢とは反対の性格だと窺える。
「でも面倒くさくね。正直こうやって立ってるの飽きてきたし……。僕もう帰っていいですか?」
「まあまあ、せっかく生徒会長が話しているんだからちゃんと聞いてあげないと。それと一年生の前でいきなりサボタージュするのは流石に止めておいたほうがいいと思うけど」
哉夢のサボりをやんわりと阻止する。
「……生徒会長と言ってもね~、こうなんつ~か、……面倒くせ」
やる気が一向に上がらない哉夢に真太は苦笑する。
「まぁ、こういうのも良いだろう?授業ない訳だしさ。それに去年の俺達を見ているようで面白いし」
「去年ね~、思い出すのも面倒くさい……。ああ~、帰りたい」
全くスイッチが入らなそうな親友の姿にまた苦笑する真太だった。
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人物変わって新入生。
「うわ~、生徒会長の逢坂さん格好いいですね~。」
と、小柄な新入生が感嘆を漏らした。
「そして綺麗ですね。」
と、もう一人も同じように言葉を漏らす。
先の小柄な男子生徒が三澤空。
後のショートヘアの女子生徒が錫川香奈恵である。
「それにしてもすごいね!霧ヶ峰高校。体験入学の時も思ったけど設備が整ってるし、どれもが高性能だよ。流石はエリート高校格が違う」
「確かにあの設備には驚いたかも……まさか実戦場まであるなんて」
二人が話しながらも、生徒会長逢坂の話は続く。
「やっぱり格好いいね~」
「本当に綺麗だね」
そしてまた二人は同じように感嘆を漏らすのであった。
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「んっ、……ああ~。やっと終わった」
背伸びをしながら歩いていく哉夢。
「今日はいつもより気合いが入ってたね~、生徒会長。活き活きとしてたもんね~。」
哉夢と一緒に真太も歩いていく。
「それとさ、哉夢。このあとどうする?食堂に昼食でも食べに行く?」
「う~ん、どうすっかなぁ~。別に食堂でもいいんだけどさ、今日は全生徒(二・三年)が一斉に来て混みそうだし購買で何か買って部室で食べない?」
「確かにそれもそうだな。じゃあ部室の鍵取ってくるからさ、俺の分適当に買っておいて。お金は後で払うからさ」
歩きながらこのあとの予定決めていく。
「ホイホ~イ。で、何かご要望はお有りでしょうか?」
ウエイターの真似をしながら、注文をとる哉夢。
「――そうだな、じゃあいつものコーヒーとコロッケパン、それにサラダあると嬉しいかな」
そんな微妙な真似を苦笑いしながら返答する。
「砂糖の方はお付けしますか?」
ノリノリで続ける哉夢。
「…ああ、微糖で頼むよ」
また苦笑いで返す真太。
「承知致しました」と言って走り出す哉夢。
「サラダに微糖かけておいてあげるよ」
「えっ!ちょっと待って、今のどういうこと。コーヒーのことじゃなかったの?待って、お願いコーヒーに入れて~」
真太の声虚しく、哉夢は購買にかけて行くのであった。
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これくらいの文字数で書いていきたいと思います。
誤字脱字等がありましたらご指導よろしくお願いします。