表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
災悩人への贈り物  作者: 鬼無里 蟹
何やら続く[弐]話へ
13/26

[弐]話(2)闘争=逃走

鬼無里です


なんとユニークが合計百人を突破しました。


本当に読者のみなさまには感謝感激です。


そんなわけでどうぞよろしくお願いします。

 そんなこんながあり、今僕は常葉を目の前に朝食を食べているところである。

 一般男子なら喜ぶシチュエーションだが状況が状況だ、そんな感情には一切ならない。

 朝食を一緒に食べている理由はただ単に時間がなく、外に待たせるわけにもいかなかったからである。


「さてと本題に入るけど、常葉緋美、君はいったい僕に何の用があるんだい?」

 僕は状況説明をいったん済ませたところで、目の前にいる常葉へ尋ねた。

「それとも≪俺≫って言ったほうがいいかな」

 ≪俺≫は声色を変えて彼女の顔色を伺う。


「…私は【終焉を喰らうモノ】より派遣され、樹里哉夢様、あなたの監視と保護を命令されました。」

 彼女はまったく表情を変えずに答えた。

 それを聞いた僕のほうが動揺してしまった。


 【終焉を喰らうモノ】とは、この国つまり日本政府が独自に作り上げた幻とも言われる異能部隊。

 その一部隊で国一つを容易く滅ぼしてしまうほどの力を持つとも噂されている日本最強の異能者集団。


「へぇ~、そんなところの人がわざわざ僕なんかのためにどうも。だけど僕にはいらないな」

 狼狽が隠しきれてないが僕はなんとかふんばった。

「拒否はできません。これはすでに決定事項です。樹里哉夢様、あなたの力は日本軍にとって大きな戦力となりうるモノのなのです。当然あなたは監視および保護の対象とされます」

 無駄なことはほとんど喋らずに事実を話す彼女。

「いやだけどさ、君だって高校生だろ。君にも自分の生活や日常があるだろう?」

 当然に浮かび上がる疑問を尋ねた。

「それについては大丈夫です。樹里様とここに住むことにしましたので特に支障はありません」

 相変わらずの口調で喋る彼女、いやいや支障ありすぎるだろう。

「それはこんな僕のために自分の高校生活を費やすってことだよ。そこまでして従う必要あったのかなぁ?」

「それぐらいのことは、入隊した時点ですでに覚悟しております」

だが彼女は決まりきったことを答えるように答えた。


「それと、いい加減に謙遜はやめてください。樹里様の能力がどれほどのモノか自分自身で気づいているはずでしょう?9年前の事件の時から――」

 そして知っていた彼女は僕の――《俺》の過去さえも。

 それは僕――《俺》の傷跡でもあり、

 一番有効な切り札でもあった。


 それを聞いた僕は朝食を中断と同時に彼女の喉をつかんで壁に押しつけた。


「いいよ、解った。承認はしていないけど許可しといてやるよ。そのかわり気を付けろ、口を滑らしたじゃ済まないから」

 僕はそう言って彼女を離す。

 彼女は相変わらず無表情を保ったまま、

「わかりました」

そう答えた。



“ガチャッ”

ドアが開いた。


「サイくん~、おはよう~」


 何というかさすがと言うしかないようなタイミングで悠子が入ってきた。


 さて、状況確認だ。こういうトラブルが起きたときこそ焦らず落ち着いて状況確認することが大切だ。

 僕はよくあるラブコメみたいに現実逃避なんてしないぞ。

 

 僕、制服ではあるが上半身はネクタイをしておらずYシャツのみで第二ボタンまで開いている姿。

 常葉、僕に押しつけられ僕との距離が近い+壁に追いつめられ逃げられないような状況にも見える。

 悠子、驚愕で目が見開いている。


 はい、これヤバイね。思った以上に修羅場な状況になってね?

 僕はそんなこと微塵も望んでないけど。

 

「一体その女は誰かしら~?」

 悠子の雰囲気がだんだん変わっていくのが伝わってくる。

 常葉は、相変わらず無表情のままだ。

 僕はとてもそんなポーカーフェイスは保てない。


「私は常葉緋美と言います。今日から樹里様と一緒に暮らせてもらう者です」

 いや待てその答えはギリギリ(アウト)だろう!


「へぇ~、一体どんなことがあったのかしら~」

 ヤバイ!とにかく悠子さんがヤバイ!軽く人から逸脱している!


「それは禁則事項のために答えられません」

 律儀に答えなくていいから!


「そう、答えられないのね。あんなことやそんなこと簡単に答えられないものね~」

「落ち着け悠子!勘違いするな!あんなこともそんなこと起きていない!」

「じゃあこんなことは起きたって言うの!」

「そういうわけでもない!」

 だめだ!完全に【獣人化】(ビースト・モード)している!


「ふふふ……だけど渡さない。サイくんは私の物。私の物、私の物、私の物、私のもの……」

 悠子さんの雰囲気がゆっくりわかやすいものに変化していく、そう、

――殺気へと。


 静寂が一瞬この場を包む。それは嵐の前の静けさだった。


「このくそアマがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!私のサイくんから離れろぉぉぉぉぉ!!!!」

 嵐(悠子)が暴風を伴って爆発した。


「樹里様ここは危険ですお下がりください」

 相変わらずの口調で僕の前に出る常葉。


 そうして仁義なき戦いは始まった。


 ちなみに悠子は、異能の力だけでなく体術もそこそこできる+怒りで攻撃力が増している。

 また、常葉は【終焉を喰らうモノ】に選ばれるほどの逸材だ、全ての能力がトップレベルだろう。

 つまり彼女たちはほとんど同じ実力と言うことだ。

 もちろん常識から外れているが。


「……殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロス!!!!!!!」

「……」

 そんな二人が戦えばどうなるか――、小さなアパートの一部屋が激戦区となった。



 ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!このままじゃこの部屋が焼け野原になる!

 とにかく僕は彼女二人をどうにかしてこの部屋から出し、命を(自分の)取り留めなければ。

 

 僕は静かに鞄と制服を手に取る。

 そして決意を固めた。

「じゃあ、僕は先に学校へ行くから!」

 作り笑いをどうにか保ちながら窓を開けて飛び降りた。


「待ちなさい!サイくん!」

「樹里様、お待ちください」


 そして僕とこの二人の【闘争=逃走】劇が始まったのであった。


 哉夢逝っきま~す!

お粗末様でした。


果たして哉夢くんは次回生きて出られるのだろうか?


さてそろそろ哉夢くんの過去変と愉快な部室メンバー編へと移行します。


これからも災悩人の贈り物をどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ