[弐]話(1)いつもの非日常へ
どうも~鬼無里です。
さて始まりました[弐]話です。
今回は主に主人公たちと転校生の過去を描いていきたいと思っています。
それ故に今回から視点は一人称となります。
では、どうぞよろしくお願いします。
~とあるアパート~
AM6:30、いつもより早い時間に僕は起きていた。
一昨日の木崎霧弥との戦闘の後、病院に行っていた。
霧弥に会うことも目的だったのだがそれだけではない、――そう、はっきり言ってしまえば僕は治療をしてもらったのだ。
つまり、悠子に傷を治してもらったなど嘘だ。
異能の力により平静を保っていたにすぎない。
服の下には包帯が幾重にも巻かれている状態だ。
傷を治していない理由は二つある。
一つ目の理由としては、悠子に頼りたくなかったからである。
それ故に今回の件は悠子には教えていない。
悠子は、僕を心配している心配しすぎているほどに。そのため僕が傷つくたびに彼女は昔にまして人間を憎悪し、拒絶し、そしてこれ以上ないほどに嫌悪する。
僕は、それが嫌いだ。悠子がそうなってしまうのが嫌だった。
二つ目の理由としては、最後にくらった霧弥の【鎌鼬】(カマイタチ)の傷は完全には治らないからだ。
最後の斬撃だけには、【地獄の業火】(ヘル・フレイム)の効果を受けてしまった。
もともとあの炎は、全てを滅却する炎である。それによって一度消えたモノは二度と復活しない。
もちろん僕は例外で、その効果を僕の能力により消してしまうことができる。
だが、それでも時間がかかるのだ。
そんな傷を悠子に診せたらよけいに人間嫌いになってしまうおそれもあるからである。
そんなこんなで一昨日の傷口が痛み早めに起きてしまったというわけである。
いつもなら7:00に起きてゆっくり学校に行くところなのだが今日は時間ができてしまった。
そんなわけで撲は今クッキングタイムなうであった。
僕は基本いつも朝食を作っているが、今日は時間があるのついでに弁当を作っていると言うところである。
ちなみに僕は一人暮らしをしていて、学校から徒歩30~40分ぐらいの木造三階建ての古いアパートを借りて住んでいる。見た目はかなりボロく古くさいアパートだが、中身はガス・電気・水道完備で、台所にお風呂も付いて、そこそこの部屋の広さを持ち、家賃も安いというかなりいいアパートなのである。
昼食も購買のパンや食堂が普通なのだがこの前の悠子の襲撃もあったので弁当を作ることにした。
そんなこんなで鼻歌を歌いながら料理をしていると、
“ピンポーン”
とチャイムが鳴った。
置き時計を見ると7:00ぴったりという頃でまだ早い時間だった。
大家さんかなと思ったが、僕はもう一年分の家賃を先払いしているしアパートの修繕費用にもかなりの額を渡していた。
では一体誰だろうか?
「はーい」
そんなことを考えながら僕は玄関のドアを開いた。
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~逢坂悠子~
人間には本性や、本質と呼ばれるモノがある。それはその人そのもので、一番その人に近いモノである。
かくゆう私のもそういった本質がある。人間嫌いだ。
またその本質を持つ人間は大概2種類に分けられる。
一つ目は、その本質のままの自分を出すタイプ。
特に隠さず、偽らずに、ありのままの自分をさらけ出す。
私は、どちらかというとこちらに入る。人間どもにそんなことを隠す必要などない。
二つ目は、本質を隠して偽りの自分を演じるタイプ。
人には言えないような大事を抱えている場合が多い。
彼――、サイくんはこちらだろう。
そうだいつだってそうだ。サイくんは自分をほとんど見せてくれない。いつだって自分を犠牲にして、いつだって作り笑いをして、いつだって「大丈夫」と偽って、そして逃げるよう行ってしまう。
昔から、――あの時から。
そう、私はサイくんの本質を知っている。彼はあの時からずっと戦ってきた。敵に対して、仲間に対して、周りの他の誰かに対して、そして自分自身とその災いに対して。
どんなことだって彼は背負い込んでいってしまう。
私のことさえも……
気が付けば彼はボロボロに傷だらけの状態で帰ってくる。いつ死んでしまってもおかしくないような状態で彼は戦っている。
その傷を治すのは私の仕事だ。たとえ心の傷でさえも治してみせる。
サイくんは強い。そしてそれ以上に優しいのだ。優しすぎるくらいに。
だから私は――、
そんなことを思っていると時計は7:00を指していた。
サイくんはいつも7:30に家を出る。
私の家からサイくんの住むアパートまで約15分ぐらいだ。さてそろそろ急がなければ。
私はサイくんの本心をいつか見てみたいと思う。
彼の笑顔の裏にある本質、その心の中を……
「さて今日はどんな顔をしてくれるだろうか?」
そんなことを考えながら私はゆっくりと家を出た。
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~再び哉夢の住むアパートより~
僕がドアを開けた先には、一人の女の子が立っていた。
見た目からして年は僕と同じくらいで、たぶん女子高校生だと思われる。
身長は僕より少し小さいぐらいで、体格はすらっとした細身だ。
顔は優しく落ち着きのある顔をしていてとても可愛い。
「初めまして。引っ越してきた常葉緋美と言います」
その女の子は頭を下げて一礼をし、自己紹介をしてきた。
そこで僕の疑問は解決する。
「僕の名前は樹里哉夢だ。よろしく」
僕も頭を下げ自己紹介をする。
「えっとお隣さんかな?」
たぶん決定事項だと思われることを尋ねる。
「いいえ違います。」
返事は意外にも『否』。
「じゃあ、三階の方かな?」
ちなみにこのアパートには僕以外に住人はいない。一階には大家さんが住んでいて、僕は二階だった。
「いいえ違います」
これも『否』
僕の頭の中にいやな可能性が浮かんできた。
「えっ、一体君はどこに引っ越してきたんだい?」
「ここ」
彼女は僕の部屋を指しながら言う。
「本日よりこの203号室に引っ越して来ました。」
僕の考えた中での一番嫌な可能性がヒットした。
そして僕の非日常がまたスタートするのであった。
と言うわけで非日常へと巻き込まれていきます。
いつもこんな拙く痛い小説を読んでもらい本当にありがとうございます。
約二日に一回の更新で進めていきたいと思います。
できれば感想等をどうぞよろしくお願いします。