[壱]話(9.9)後日談とオチ
~とある病院にて~
木崎は病室の窓から外を眺めていた。
外傷はほとんどなかったが、体内の器官がいくつか壊れていた。
黒系統を使った反動で体の中がボロボロになっていた。
「ハッ、……結局オレが弱かっただけかァ」
ため息をつきながら視線を落とす。
“ガラァッ”
そこで病室のドアが開いた。
「――よぉ、大丈夫か」
樹里哉夢が入ってきた。
「少しは調子が良くなったかな」
そうして木崎に近づく。
「何でオマエはもろにオレの一撃をくらっておきながらそンなに回復早ェンだよ」
木崎はうんざりしながら、入ってきた哉夢へ尋ねる。
「あぁ、僕の幼なじみに回復系の異能を使うのがいてな。人間嫌いだけど僕の傷なら全て治してしまうんだ」
「そォかよ」と呟いて木崎は目線をまた落とす。
「なぁ、お願いがあるんだけど」
木崎は何も言わない。
哉夢は木崎の目の前に手を突き出しこう言った。
「僕と友達になってくれませんか?」
木崎は驚愕した。
そしてそこで悟った、自分が完全に哉夢に敗北したことを。
『今日は、どこへ行こうか』
『僕たちは友達だもんね』
ふいに昔を思い出しながら、何も言わずに視線を落としたまま木崎はその手を握った。
そんなわけで[壱]話完結です。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
さて物語は[弐]話へと続きます。
なんと謎の美少女転校生が登場します。
哉夢は一体どうなるのか?