第3.1話 ふたたび解体小屋にて
第3.1話 ふたたび解体小屋にて
冒険者の二人が解体小屋にやってきてサクに言った。
「さっき来たB級冒険者、寺院にくるかもしれないぞ。」
二人はヘレナに「サクに伝えて、ちゃんとあやまっとくのよ!」
と言われ、ここに来たのだった。
サクは解体の手を止め、きょとんとして返す。
「へっ? なんで?」
「いやぁ、ギルドでな。この町で一番森に詳しいのは誰だって話になってな。
そこでお前の名前が出ちまったんだ。
たぶん、町で一番強い奴と勘違いしたんじゃねぇか。」
「なんで、そこで俺の名前が出てくんねん?そんで、なんでそいつが絡んでくんねん?」
「ここでは新規がいきなり森には入れん決まりがあるだろう。
ヘレナがなぁ、ストレートに言ったんだわ。
これがヤツのプライドを傷つけたんじゃないかぁ」
冒険者はつづける。
「そこでペロッと言っちまってなぁ。お前の名前。
それと、こいつがお前の定宿、言っちまった」
もう一人の冒険者が言う。
「すまん! つい物のはずみで。
それより、ヘレナにサクの方からとりなしてくれんか?
すごい剣幕で怒られて一週間、酒場出入り禁止なんよ」
「うわっ! メンドクサッ!」
サクは一言。空いた口を閉じることができない様子だった。
B級冒険者もヘレナをとりなすのも猛烈にめんどくさい。
後ろからギルドマスターが言う。
「ヘレナがそんなに言うんなら、とりなすのは無理だな。
おとなしく、酒場の出禁はくらっとけ」
それとサクに向けて言う。
「なにかあったら俺んとこ来い。とっちめてやる」
サクは寺院に帰った時、シアにこれこれこういう男がくるかもしれないが、
穏便に通して、自分に取り次いでほしい旨告げた。
「本当にメンドクサイ」
どうやって切り抜けようかと考えていると、夕食の味がしなかった。
結果的にいうとその日はB級冒険者は寺院に現れなかった。
むしゃくしゃする気持ちを酒で紛らわせているうち、酔いつぶれて寝てしまっていたのだ。
酒場としてはいい迷惑だった。




