09学園パーティ
「今回も豪華なパーティですね」
「王宮のパーティだからな、国の体面がかかっている」
「それじゃ、早く踊って。国王様たちに挨拶して帰りましょう」」
「そんなに早く帰りたがるな、ゆっくりと楽しもう」
私は早くも帰りたいと思っていたが、せっかく来たのでウエイン王太子の言う通り、ゆっくりと楽しんでから帰ることにした。本当に飾り付けも豪華だし、魔法の灯は浮いてるし、一体どれだけの予算を使ってるんだろうと思った。そんななかアクシス第二王子がやってきた、今度パートナーとして連れてきている子を紹介した、茶色い髪に同じ色の瞳をもつユーテリア伯爵令嬢だった。
「兄上が羨ましい、私もティアをパートナーにしたかった」
「そう言って譲ってくれるあたり感謝してるぞ弟よ」
「お二人とも早く婚約者を決めたらどうですか?」
「そうは言ってもね、星の乙女は兄上にとられてるし」
「ティア、とうとう俺の婚約者になる気になったのか!!」
「私以外で早く婚約者を決めて下さい」
私たちが話している間のユーテリア伯爵令嬢は、一言もしゃべらずただにっこりと笑っているだけだった。前回もアクシス第二王子のパートナーからは碌な目にあっていないので私は警戒していた。そうしてさっさとウエイン王太子を連れて逃げ出した。それからウエイン王太子とも踊って、国王陛下たちへの挨拶もすませた。後は帰るだけと思っていたらウエイン王太子が女性に囲まれたので、これは良いことだと思って自分はバルコニーにでて涼んでいた。そうしたらいきなり突き落とされた、落ちていく中見たのは突き落とした犯人、歪んだ笑みを浮かべたユーテリア伯爵令嬢だった。
「――ッ!! 『浮遊』!!」
私はとっさに『浮遊』の魔法を唱えた、そうしていなかったら頭から地面に落下して死んでいたかもしれなかった。やれやれと思いつつもうこのまま帰ろうかなと思っていた、そうしたら慌ててウエイン王太子がやってきた。アクシス第二王子はユーテリア伯爵令嬢を捕まえていた、ワインをかけるくらいなら可愛い、突き落とそうとするなんて彼女がとても怖かった。そうして私はウエイン王太子と馬車に乗り寮へ帰ったのだ。だがもちろんそれで終わらなかった、ユーテリア伯爵令嬢は星の乙女を殺そうをした罪で裁判にかけられ縛り首になった。私は今度はユーテリア伯爵令嬢の幽霊が出るのかも思ったが、幸いにもそんなものは出なかった。
「大変だったなぁ」
「そうよ」
学園に帰ったらサシュがそういって労ってくれた、ついでに『飛翔』の魔法で空を飛ばせてくれたりして、私はキャーキャーいいながら空の散歩を楽しんだ。
「しばらくは僕の授業へ未参加を認めましょう」
キルシェ先生はそういって先生の授業にはでなくてもよくなった、しばらくじゃなく在学中にしてくれればいいのにと思った。
「大変でしたね」
ロイドくんも私のことをかなり心配してくれた、ありがとうでも君の恋愛イベントは起こしたくないから近づかないで欲しかった。
「この本がおすすめです」
リーリア様がおすすめの本を教えてくれた、私はリーリア様に感謝して図書室で自己学習に励んだ。リーリア様がすすめてくれた本は私の自己学習にとても役に立った。
いろんな人から労ってもらったが、これが全員攻略対象という悲しい現実があった。私もいい加減好きに行きたいんだ、もう攻略対象との接触はいらないのだ。と言ってみたところでアストリア学園にいる限りスフィア大神官様以外の攻略対象との接触はさけられないのだ。私は現実を受け入れて大人しくアストリア学園に通うことにした、もう少し経てば冬休みそうなればスフィア大神官様とだけ話していればよかった。
「はやく冬休みこないかなぁ」
冬休みがくればその前に試験があるので、私はリーリア様のいる図書室で大人しく自己学習に励んでいた。そうしたらまた学生パーティをするという話が聞こえてきた、前回はリーリア様にパートナーをお願いしたけど、今回もそれでいいかなと思って申し込んでみた。
「ええ、いいですよ。それではドレスを贈っておきます」
「そんな、この前のドレスで十分ですよ」
「ティア、流行というものがあります。ドレスは新しく贈らせていただきます」
「ありがとうございます、リーリア様」
くぅ、相変わらずリーリア様は紳士でいらっしゃった。その後にウエイン王太子とかアクシス第二王子がやってきたが後の祭りだった。サシュやロイドにも誘われたが丁寧にお断りした、キルシェ先生はパーティの監督役ということでお誘いがなかった、それもとても良いことだった。
「アストリア学園パーティへようこそ」
キルシェ先生の掛け声でアストリア学園パーティは始まった、私はリーリア様をパートナーにして出た。リーリア様は今回も綺麗なドレスを贈ってくださった、ウエイン王太子からのドレスはバラバラに分解して宝石を頂いたが、リーリア様からのドレスはそのままとっておいた、あまりにも綺麗で切り刻むとかとてもできなかった。そうして学園パーティで私はリーリア様と楽しくお喋りした、話すことは本のことばっかりだったけど楽しかった。リーリア様は司書だけあって、いろんな本を知っていた、私にもまた本を紹介しますと言われた。
「リーリア様、また私と踊ってくださいね」
「ええ、ティア。何度でも踊りましょう」
こうして私は学園パーティを楽しんでいたが、その他の攻略対象はパートナーも作らず、窓の近くにあるソファで何かを話していた。せっかくの学園パーティなんだから可愛い女の子を誘えばいいのにと思ったが、それ以上は口に出さず何もしなかった。余計なことをして地雷を踏むのは避けたかった、私はパーティが終わると寮までリーリア様に送ってもらった。
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