08殺人事件
「あー、良い朝。散歩でもするかぁ」
私は寮を置き出して朝食をとると散歩をはじめた、そのまま学園に行って図書室に逃げ込むつもりだった。そうしたらシンシア侯爵令嬢が私をまた突き飛ばそうとしたので避けた、するとシンシア侯爵令嬢はバランスを崩して階段を転げ落ちてしまった。そして起き上がったシンシア侯爵令嬢はこんなことを言いだした。
「星の乙女が私を突き飛ばしました!!」
そう言って泣くシンシア侯爵令嬢は美しかった、私は自分で転んだんじゃないかと思った。それにいると思った侯爵令嬢ウエイン王太子とアクシス第二王子が出てきた、そうしてシンシア侯爵令嬢に向かってこう言った。
「お前がティアを突き飛ばそうとするのを俺は見たぞ」
「私も見ました、シンシア侯爵令嬢が一人で転げ落ちるのをね」
シンシア侯爵令嬢は真っ青な顔になった、二人の王子の証言を覆す者は誰もいなかった。シンシア侯爵令嬢はウエイン王太子に縋りついたが腕を振り払われた、そうしてキルシェ先生やサシュがかけつけてきてシンシア侯爵令嬢は取り押さえられた。
「俺のティアに手をだしておいて、ただですむと思うなよ」
誰がお前のものじゃーいと私は心の中だけで突っ込んだ。そうしてシンシア侯爵令嬢は退学ということになった。さすがに同情もできなかった、もう関わならくて済んでよかったと思った。ところがシンシア侯爵令嬢は出て行く前に私の部屋にきた、嫌な予感がして下がったらシンシア侯爵令嬢はナイフを持ってきていた。
「貴方のせいでウエイン王太子にも嫌われた!! みんな貴女が悪いのよ!!」
私はシンシア侯爵令嬢にナイフで刺された、血も出たし何より痛かった。でも伊達にこっちも星の乙女をやっているわけじゃない、私は星の乙女の力で傷を治してしまった。でもシンシア侯爵令嬢のSAN値はゼロに近かったようだ、私はまたシンシア侯爵令嬢に刺された、そしてそれを星の乙女の力で癒すの繰り返しだった。寮の警備兵が気が付いてくれるまで、私はシンシア侯爵令嬢に何度も刺された。
「もういや、制服がボロボロじゃん。部屋も血みどろだし、もういや」
私は部屋の掃除をすることになった、血みどろになった制服は捨てて新しい物を買いなおした。シンシア侯爵令嬢は星の乙女を殺そうとしたということで、裁判にかけられて拷問された。噂では彼女は拷問に耐え切れずに死んだらしい、それが分かったのはシンシア侯爵令嬢の幽霊がうろつくようになったからだ。寮の皆はそれを目撃して恐れていた、もちろん一番怖かったのは私だ。私が眠るとシンシア侯爵令嬢の幽霊がやってきて腹を刺すのだ。私はスフィア大神官様に助けを求めた、スフィア大神官様はすぐ学園にやってこられて呪文を唱えた。
「『大いなる浄化の光』」
シンシア侯爵令嬢は光の中に消えていった、そして私はスフィア大神官様に抱きついて泣きじゃくった。本当にシンシア侯爵令嬢の幽霊が怖かったのだ、スフィア大神官様は学園の警備の状態など学園に陳述書を提出して帰っていった。帰り際に私に浄化の呪文を教えてくれた、私はそのおかげで立ち直れた。幽霊がでても浄化してしまえばいいんだとやっと寮の部屋で眠れるようになった。
「久しぶりの学校だ、魔力枯渇で寝込んでたからな」
あんまりシンシア侯爵令嬢がぶすぶす私を刺すので、傷を治すために魔力を使った。最後は魔力枯渇状態でもう少しで死んじゃうところだった、死ななくて良かったと私はとりあえず感謝した。
「よぉ、ティア。元気になったようで安心した」
「ウエイン王太子はもっと自分の周囲の女性に気を使うべきです」
そもそもシンシア侯爵令嬢がウエイン王太子に惚れてたから、私は刺されまくることになったわけで、結論はウエイン王太子の女性に対する態度が悪いということになった。
「下手に女性に構ってみろ、王太子妃を狙って寄ってくるんだぞ」
「お好きじゃないなら、一人一人お断りしてください。私もう刺されるのは嫌です」
「できるだけ努力はしてみる、俺も誠実にこれからは断る」
「それは良いことですね」
「だからティア、俺の嫁に来い」
「絶対に嫌です」
私はウエイン王太子を振って図書室へと向かった、やっぱりここは癒しの地だと思った。リーリオ様が自己学習に必要な本を貸してくださった、何も聞いてこないのも良いことだった。
「ウエインのせいで刺されたんだって、ティア」
「僕の生徒から犯罪者がでるなんて、全く何ということでしょう」
「お前刺されたんだってな、もう大丈夫なのか」
「大丈夫ですか、ティアさん。僕心配で」
上からアクシス第二王子、キルシェ先生、サシュ、ロイドくんである、こいつら攻略対象はしつこく根掘り葉掘り聞いてきやがった。はい、ええ、そうですって私は適当な返事で返した。学園では殺人事件が起きたのだという噂でもちきりだった、いや私死んでないから勝手に殺人事件にすんなと思った。しまいにはシンシア侯爵令嬢の幽霊がまだ出るって肝試しが始まったから、サシュに頼んでシンシア侯爵令嬢の幽霊の幻影を作り出して貰った。肝試しにきた連中は驚いていた、なかには失禁したものもいて男の株を大きく下げた。
「今日はご機嫌みたいね」
サシュに引っ張られて魔法の授業に出たのだが、教室の風景が雲の上のようだった。眩しい太陽まで再現されていて、天使が空を飛んでいた。私はそんな風景を見ながら勉強に励んだ、刺されてまで学園にいるんだ。だったら勉強しないわけにはいかなかった、癒しの空間である図書室で自己学習にふける私だった。そして秋の王宮のパーティの誘いが凄かった、ウエイン王太子とアクシス第二王子が毎日のように参加を促してきた。
「ちょっとティアを俺の許嫁として紹介するだけだ」
「止めて下さい、本当にマジで」
「私の許嫁でもいいよ、ティア」
「アクシス第二王子も早く婚約者を見つけてください」
とにかく二人が煩くて更に国王陛下からの招待状まで頂いてしまった、こうなると私に断るという選択肢はなかった。ウエイン王太子と私はパーティに出ることになった、また宝石のついたドレスを贈られたが返却は無用と太っ腹だった。その日、私は地獄に行く覚悟でメイドさんにドレスを着せてもらいウエイン王太子と同じ馬車に乗り込んだ。
「ティアは本当に美しい、俺の許嫁にならないか」
「絶対に嫌です」
そうして秋の王宮パーティは始まったのだった、私はウエイン王太子のパートナーとして一応出席した。
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