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04王宮パーティ

 バシャリと私の頭の上から汚水が降ってきた、続いて笑いながら逃げる女の子たちの声が聞こえた。私はやれやれと思って『洗浄(ウォッシング)』と『乾燥(ドライ)』の魔法で体を綺麗にした。これは明らかに私に対する嫌がらせだった、でも犯人は逃げてしまったから捕まえられなかった。それもこれも攻略対象が私に寄ってくるせいだった、私を放っておいてくれればいいのに攻略対象は何かあると私に寄ってきた。


「仕返ししないのか?」

「キルシェ先生、仕返ししようにも相手が分かりません」


「さっきのをやったのはソレイユ伯爵令嬢たちだ」

「それはどうも、でも私は平民で貴族には逆らえません」


「職員会議にかけておく、ああいった卑劣な真似は許せん」

「あのー、あんまりやりすぎないでくださいね」


 私はそう言ったがキルシェ先生は激怒していた、その動機が私への恋心からなんてことがないように祈った。そうして私は図書室に逃げ込もうとしたのだが、サシュが現れて魔法の授業を受けることになった。仕方なく私は図書室でする自己学習を教室ですることになった、一応授業には出ているのいだから何も問題はなかった。それが終わると図書室へと逃げた、司書のリーリア様が相変わらずの無関心ぶりで本にだけ集中していた、私はまた自己学習に必要な本を借りた。


「しかし一年が過ぎたわけだけど、誰のルートにも入ってない。私偉い!!」


 まだ隠しルートがあるという可能性があるので、完全に安全とは言えなかった。そうして図書室で自己学習をしていたら、ウエイン王太子とアクシス第二王子にそこから連れ出された。


「頼む、ティア。次の王宮でのパーティのパートナーになってくれ」

「兄上は婚約者がいなくなっちゃったから、パートナーがいなくてね」

「お断りします」


「そこをなんとか頼む、ドレスも宝石もそれを着せる侍女も全て手配する」

「パーティが終わったら、ドレスも宝石も君のものだよ。ティア」

「うぐっ、そ、それじゃあ仕方ないですね」


 こうして私は王宮のパーティに行くことになった、ダンスが踊れないといけないのでウエイン王太子と練習することになった。それでも私がこの件を引き受けたのは宝石が貰えると聞いたからだ、私も学園を卒業したら働かなきゃいけない、ちょっとでも財産になるものがあるのは良かった。それでウエイン王太子とダンスの練習をしたわけだが、これがなかなか難しかった。私は寮の部屋でもステップの練習をした、そしてとうとう王宮でのパーティの日になった。私はドレスを着せられ宝石で飾られて化粧を施され寮を出た。そんな私を見たウエイン王太子とアクシス第二王子が固まっていた。


「これは兄上が羨ましい、女神のように美しいよ。ティア」

「お、お手をどうぞ。ティア、俺のパートナーよ」

「はい、それではよろしくお願いします」


 そうして行った王宮のパーティは凄かった、会場全体がキラキラと輝いていた。魔法の灯が飾られているのだとよく見れば分かった。そうして私はウエイン王太子のパートナーとして王宮パーティに参加した。アクシス第二王子もパートナーを連れていたがよりによってソレイユ伯爵令嬢だった、私は王宮パーティ中に嫌がらせされないように祈った。


「ティア、ダンスが上手くなったな」

「毎日練習すればまぁそれなりに」


「これでダンスは終わりだ、父上や母上に君を紹介しよう」

「それは聞いておりませんが、でも今更逃げられませんよね」


 私は恐れ多くも国王陛下と王妃様に拝謁することになった、国王陛下たちは良い方たちで私のことを星の乙女と聞いて喜んでおられた。緊張する国王陛下たちとの対面も済んで私はお役目はそろそろ終わったはずだった、そう思っていたらソレイユ伯爵令嬢にワインをかけられそうになったので避けた。そうしたらそのワインはティーノ公爵夫人にかかってしまった、ソレイユ伯爵令嬢は黄金の髪と青い瞳をしていたが顔色が真っ青になった。艶やかな黒髪に赤い瞳を持つティーノ公爵夫人は呆れたように言った。


「なんという無作法もの、どうしてこんな者が王宮のパーティにいるのかしら」

「お許しください、貴女ではなく平民の愚か者を狙ったのです」


「それってまさかウエイン王太子のパートナーの星の乙女ティア様のこと」

「は、はい。ですからどうかお許しください」


 ソレイユ伯爵令嬢はティーノ公爵夫人に詫びてはいたが、彼女はこのことを許さなかった。ティーノ公爵夫人は怒って帰ってしまった、公爵家を敵にまわせば伯爵家とはいえただでは済まなかった。


「はぁ、あんな女をパートナーにしていたおかげで私まで怒られてしまったよ」

「アクシス第二王子」


「俺のティアにワインをかけようとするなど許さん、あの伯爵家は処分してやる」

「ウエイン王太子」


 えっ、ワインを一つ零しただけで伯爵家が処分されちゃうの、貴族の世界ってなにそれ怖いもう近づきたくなかった。幸いにも王宮パーティは滞りなく終わり、私はようやくウエイン王太子から寮へ送って貰えることになった。


「怖い思いをさせてすまなかった、ティア」

「はぁ、王宮パーティはこれっきりでお願いします」


「そんな今日は春のパーティ、まだ夏秋冬と王宮パーティは残っている」

「夏と冬は私は神殿に帰りますから駄目ですね」


「ならせめて秋のパーティを共にいこう」

「できれば辞退させてください」


 私はウエイン王太子からしつこくパーティに誘われたが辞退を申し出ておいた、これで私はパーティに出なくていいはずだった。そうして私はかなりの数の宝石を手に入れた、身を飾っていた分とドレスについていた分だけで相当の宝石があった。私はそれを『魔法(マジック)の箱(ボックス)』に入れて隠し財産として持ち歩くことにした。スフィア大神官様からも夏の帰省を楽しみにしていると手紙がきていた、それにしても本当に伯爵家を潰すつもりだろうかと私は思った。


「アズワルド伯爵家がおとり潰し、ソレイユ伯爵令嬢は四十歳も年がちがう伯爵家へお嫁いり!?」


 私はそのことを風の噂に聞いた、ソレイユ・アズワルドは泣く泣くお嫁に行ったそうだ。これだから貴族の世界は怖いわと思って、これ以上関わらないようにした。

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