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02攻略対象

「大丈夫、私はウエインルートなんかに入ってない!!」


 私は誰もいない女子トイレで現状を確認していた、私が知っている限りウエインとの恋愛イベントは一度も起きていなかった。だから大丈夫と自分に言い聞かせて私は女子トイレを出た、そうして新たな攻略対象に捕まってしまった。


「星の乙女、僕の授業をサボるとは良い度胸をしている」

「まぁ、キルシェ先生。私は自己学習で十分ですわ」


「確かに君はいい点を試験でとっている、だが授業とは参加するものだ」

「試験結果が全てですわ、授業にでなくても勉学はできます!!」


「とにかく今日は僕の授業に出て貰うぞ」

「そんな横暴な!!」


 そう言って私は白銀の髪と赤い瞳を持つきるキルシェ・アーベンハートに引っ張って行かれた、そうしてキルシェ先生の授業に無理やり参加させられた。教室にはウエイン王太子もいて私の参加を喜んでいた、私は血反吐と吐くんじゃないかなと思いながら授業を受けた。そうして授業が終わるとすたこらさっさと逃げ出した、ウエイン王太子が何か言いかけていたが無視した。そうして私は安息の地、図書室へと逃げ込んだ。いつものように司書のリーリア様が私を無表情で見つめて、また視線を本へと落として静かにしていた。


「また攻略対象に会ってしまった、もうこれ以上はいらないぞ」


 私はいつものように自己学習を始めた、リーリア様が一度自己学習に良い書籍を置いていかれた。リーリア様マジで天使、攻略対象だけど私に無関心っていうのが良かった。そうして自己学習も終えて私が寮に戻ろうとしたら誰かにぶつかった、私はひぃっと悲鳴を上げそうになった。ぶつかった相手は攻略対象の第二王子アクシス・アストリアだった、私は慌ててぶつかった非礼を詫びた。


「やぁ、君が噂の星の乙女か。美しい銀の髪に金色の瞳だ」

「アクシス様こそ、美しい緋色の髪に同じ色の瞳をお持ちじゃないですか」


「レディにぶつかってしまったお詫びに寮まで私が送り届けよう」

「そこまでされなくても結構です」


「まぁまぁ、いいから君はエスコートされたまえ」

「…………はい」


 私はエスコートを断り切れずに寮まで送ってもらった、そしてまた話したいと言われたが曖昧に誤魔化しておいた。また二人の攻略対象に出会ってしまった、これで攻略対象は残すところ一人だった。できれば会わないで過ごしたかった、最後の攻略対象は大魔法使いで魔法の授業にでなければ会わないはずだった。サリュという男性で唯一の平民の出だった、私は魔法の授業をサボり続けた。そうしていれば安心だった、でもある日私は中庭を横切ろうとして、樹の影にいた人を踏んでしまった。


「ご、ごめんなさい!!」

「ふあぁ~、おや星の乙女じゃないか」


「それじゃ、私急いでますので!!」

「待ちな、俺の名前はサシュ。君は俺の授業に一度も出てないねぇ」


「はぁ、自己学習でもいい点はとれますので」

「なかなか面白そうな子だ、俺の授業においで」


 そうして私は黒髪に茶色い瞳をしたサシュ、彼に引っ張られて魔法の授業にでることになった。ウエイン王太子が話しかけたそうにしていたが、授業中は私語厳禁だったから助かった。そうして見せられたサシュの魔法は凄いものだった、教室を海の中のようにしてしまい、魚や亀が私たちの傍を泳いでいた。


「魔法を極めるとこういうこともできる、見たところ星の乙女が膨大な魔力を持っているようだな」


 そこで教室中の視線が私に集中した、私は机の下に隠れてしまいたいと思った。確かに魔法学は面白くてためになることもあった、でも私は魔法使いになる気はなかったし、今後はこの授業はサボる気だった。でも私が授業をサボろうとするとサシュがいつの間にか現れて私を攫って行った、だから私は魔法の授業を受けることになってしまった。いろんな魔法が使えるようになった、それは良かったがサシュとの距離が近いのが心臓に悪かった。


「はぁ、幸いにも恋愛イベントは回避してるわ。誰の攻略も進んでない、よっし!!」


 私は攻略対象と恋愛イベントを起こさなかった、でも攻略対象はしつこく私に絡んできた。絡んでこないのはリーリア様か、大神官のスウィア様くらいだった。そうして時は過ぎて冬の休みがやってきた、休みの前に行われる試験も結果が出た。また私が一番だったので、二番のウエイン王太子に絡んで来られる前に神殿に逃げた。


「スフィア大神官様、学校でこんなことがありました」

「そうかい、ティアの話はいつ聞いても面白いよ。孤児院の子たちにも話してあげるといい」


「そうですね、スフィア大神官様」

「ところでティアは神官が妻を持つことについてどう思う?」


「魅かれる女性がいれば仕方がないことではないでしょうか」

「そうか、ティアはそう考えるんだね。うん、とても参考になったよ」


 私は冬の休みを神殿で病人を治療しながら過ごした、孤児院の子どもたちにも学園の話をいっぱい聞かせた。スフィア大神官様にお姫様だっこされたりもした、あんなに小さな子どもだったのに大きくなったと褒めてもらえた。私は誰の恋愛イベントもこなしていなかったし、ここは神殿でとても安全なはずだった。だがある日、魔物の群れが首都に押し寄せてきた。門を閉めて侵入されることは防いだが、多くの者が魔物退治に行くことになった。私は神殿でその人たちの傷を癒したりしていた、ウエイン王太子が運びこまれた時には驚いた。


「やぁ、ティア。君の治療の術は温かいな」

「ウエイン王太子、お喋りは止めて下さい。治療に集中できなくなります」


「残念だ、こんな時でなかったら君を口説きたいのに」

「冗談を言えるのなら大丈夫ですね、はい治療も終わりました」


「それじゃ、魔物退治に行くとするか」

「王太子の貴方がすることではないのでは」


 ウエインは王太子だからこそ皆を率いる必要があると言った、それにたとえ自分が死んでも第二王子がいるから安心だとも言っていた。私は攻略対象じゃなかったら惚れてまうだろと思った、どうしても攻略対象の人間は愛せなかった。

お読みいただき、ありがとうございました!!


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★★★★★にしてくださると作者は喜びます!!


どうか、よろしくお願いいたします!!

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