青いペンのメモ
記録形式:手書きメモ(拾得場所:第7封鎖区域・旧集合住宅跡)
筆跡:不安定/書き直し多数/青インクボールペン使用
[メモ本文:紙面一面に記された内容]
■忘れないために書く。誰も信じないと思うけど。
■もう名前がうまく出てこない。あの子の、あの子の名前。
■一緒に住んでいたのに、部屋の写真に写ってない。映ってないのに、一緒に笑ってる気がする。
■冷蔵庫の中身が減る。俺が食ってない。誰が食ってる?
■昨夜、夢であの子と話した。
■夢の中ではちゃんと声が聞こえた。起きたら、忘れてた。
■だけど、あの子は言った。「ぜんぶここにあるから」って。
■目が覚めたら、枕元にこの紙があった。俺が書いた覚えはない。
■俺が書いてるこれも、さっきまでの内容を思い出せない。
■思い出せないことが怖くて、書き足してる。でもどこまで書いたかがわからない。
■順番がおかしい? いいや、おかしいのは俺の方か?
■今、隣の部屋から水の音がする。誰もいないはずなのに。
■でもあの子が言ってた。「そっちじゃなくて、こっちで待ってる」って。
■俺は今、どっちにいる? 誰か、覚えててくれ。
■このメモのことを。あの子のことを。俺のことを。
(※メモの最下部に赤いペンで記された別人の走り書きがある)
→“これ、俺のじゃない。こんなの見た覚えない。”