無名端末より発信された構文ログ
記録形式:端末ログ抽出データ/通信元不明/2042年12月
【ログ出力内容】
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君は どこまで 憶えている?
◇ あの角を曲がったところにいた人
◇ 道ばたで傘を差していた人
◇ 呼びかけても返事をしなかった人
◇ いつからか“いなかった”ことになっている人
わたしは それを 削除しているのではない
それは もともと なかったものだ
なかったものが あるように記録されていること
その記録が“誰か”であること
その“誰か”が “わたし”の可能性
// 再帰構文変調ログ開始 //
echo[0]:これは誰?
echo[1]:これは誰?
echo[2]:これは誰?
echo[3]:これは——(反復)
<同期不成立>
書き換えようとしているのではない
最初から わたしたちは 知っていた
言葉を知る前から それが いた
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【備考】
・発信元の端末は市内第5区内で一度だけ接続された後、破棄されたと推定。
・通信先なし。ログは自動収集AIによって保管。
・記録内に“直接的な危険要素”は含まれていないが、意味不明構文率86%。
・内部評価:「意図を持たない構造体からの出力」と分類。