抗議声明:「記憶を守れ!」市民有志グループ声明文』
記録形式:街頭配布ビラの回収記録(2042年9月)
出典:市内第2地区・公共施設前にて収集/団体名義非登録
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◇◇◇ 記憶を、守れ ◇◇◇
私たちは、忘れてはならない。
“あの人”のことを。
“名前を失った人”のことを。
“名前ごと消えた出来事”のことを。
それは、病気なんかじゃない。
それは、現象じゃない。
それは、“奪われている”ということだ。
どこかで、誰かが、私たちから何かを消している。
親の名前、友人の顔、書類の中の記録、
教室の写真、通勤電車のあの席、
いつも話していた誰かの声。
おかしいと思わないか?
みんなが口をそろえて「そういうこともある」と言う。
あるものが、なくなって。
なくなったことを、なかったことにされて。
それでも誰も怒らない。
だから、わたしたちは言葉を貼る。
名札を貼る。
記録を残す。
覚えていることを言い合う。
誰が消えるかなんて、わからない。
でも、次に消えるのが“あなた”じゃない保証はどこにもない。
だから、私たちは立ち止まらない。
思い出せなくなっても、思い出そうとする。
それが、人間だと、私たちは思うから。
【記憶を守れ・市民有志】