Battle 3 konoha075@yokohama[20]
なくてもいいと思ったスマホ。その思考は、一瞬のうちにものの見事に覆された。
なけなしの小銭をはたいて購入したミルクティーの、なんと美味しい事!
だけどスマホ決済なら、500mLのペットボトルが買えたのだよ。
あっという間に飲み干したミルクティーのペットボトルをゴミ箱に押し込むと、トボトボと歩き出す。
今、何時だ?
時計なんて持っていない。アレさえあれば…。アレさえ…。アレ…。アレ?
「スマホなかったら時間も分からへんわ」
何という世の中になったのだろう。通信から決済、時計代わりにもスマホ。
何かに困ったら、AIがすぐに教えてくれる。
こんな便利な物なんだ。やっぱり現代においては、スマホはなくてはならない相棒なのだよ。
便利さは止まる事を知らない。
ストレスがピークに達した時、スマホはその捌け口になってくれる。
たとえば、MTG-roomなどというクソSNSがある。気に入らないスレッドを見付ければ、そのスレ主を論破した時の快感がストレスを全て掻き消してくれる。
―私も“悪”よのう。おっほっほ!
さて笑ってる場合ではない。世の中から隔絶された状況を、いかに打破するか。自宅に帰って、今はそれを考える必要があるだろう。
しかし、電話だけは応対出来る。この憎っくきシールも、電話を受ける事は出来るよう、その部分は予め切り抜いてある。
これはレンの優しさや配慮といったものではなく、とりあえず連絡は取れるようにしておかないと危険だという判断のもとに、そうしてあるのだと思う。
そしてこのやり方、時に逆効果になり、私を逆上させる。
「サクラぁ! 何やの!? 連絡取りたいから、ダイレクトメッセージ何回も送ってんのに」
「は? 見れへんねん。それやったら最初から電話しぃや」
「何やねん! 見れへんって何やねん!」
「何やねんって何やねん!」
「………」
「はい論破!」
「クソ女め…」
電話では話しにくいからと言って、この後範子が私の自宅にやって来た。
なにやら香ばしい話を持って来たと言う。満面の笑み。期待するではないか。
「何何? 言うて」
「まぁ待ってぇな。その前に…」
「え? 何かあったかな?」
範子の手が、何かを要求している。
「ジョッ…キ…え?」
「せっかくやし。ひひひ…」
「勝手にしっ」
「おもてなし。お客様が来たんやし、お、も、て、な、し」
―この女、確かに裏しかないわ。けど?
「お客様て? 何それ。お客様気取りかいっ!」
「ズバリ言うてんねんけど?」
「……」
「論破!」
「この巨漢女…」
「は?」
で、その香ばしい話って何だ?
「これ見て」
範子はスマホを差し出した。久しぶりに見るその画面は、香ばしいどころか苦味しか感じない。
私は思わず顔を顰めたが…。
bunbun@cbx:
「kohji-yashiro215ってさ、どうも裏垢みたいだぜ」
「裏垢ぁ?」
「このウンコがね。まだ噂の段階やけど」
bunbun@cbxなる人物。どうやら何か掴んでいるようだ。
この“句読点おじ”というキャラクターは、作り物なのだろうか。
「ほらぁ、サクラ。スマホ! MTG開いて」
「それは…出来ん」
「何でぇな。アカウント凍結?」
「違うねん。ほら、これ」
―あ、あ、笑ろたらあかん。でも、サクラ…面白すぎ! あ、は、きゃ、は、は、ぎゃ…、ぎゃっはっはっは!!!
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