それはひとつのスレッドから始まった[6]
美優はひと言言いたかった。
そのひと言へのレスは?
その相手は美優をメンションし、とんでもないリプライが書き込んだ!
yozakuraminmin:
「>O-moricha-han 貴方は何故yo-ko0713さんにそんなに噛み付くんですか? yo-ko0713さんのファッションが気に入らないのなら、ご自分のファッションでスレ立ててみてはいかがですか?」
我ながら、かなり面倒くさいリプだ。
すかさずO-moricha-hanの反撃が始まった。
O-moricha-han:
「>yozakuraminmin お前何様? FF関係でもないのに、何偉そうに言ってんの? 俺の事知ってんの? 知らないなら黙っててくれないかなぁ」
何で「お前」なん!?
yozakuraminmin:
「>O-moricha-han あなたこそ何様? 何で私を「お前」呼ばわりするんですか? 私は、あなたのyo-ko0713へのリプが酷いから、ひと言言わせてもらっただけです。「お前」呼ばわりされる筋合いはありません」
送信した後、すぐに気付いた。
そう、またやってしまっていたのだ。
問いかけは、アンチからの返信を誘発するに過ぎない。こんな奴、さっさと終わらせなければいけないのに、また言葉の間違いで自ら傷付こうとしている。
案の定、すぐにリプが書き込まれた。
O-moricha-han:
「>yozakuraminmin それは申し訳ない
でもまだ貴様からの返事聞いてない
俺の事知ってんの?」
yozakuraminmin:
「>O-moricha-han 貴様って何!!
そんな見下される筋合いはありません!!
私はあなたの事は知りません
あなたも私の事は知らないんでしょう?
貴様は撤回して下さい」
O-moricha-han:
「>yozakuraminmin 知らないの?
貴様って敬語じゃん」
yozakuraminmin:
「>O-moricha-han 敬語って
何言ってんのかわかんない」
ハッ!?
URLが貼ってある。
「室町時代末期頃から『あなた様』の意味を示す言葉として使われ始めた? ホンマやわ…」
これは分が悪い。
私が無知なだけだった。
少し恥ずかしい気持ちになって、私はMTGを閉じようとした。
その時…。
「DM? yo-ko0713 さんからやわ」
恐る恐る開いてみる。
『ヨザクラさん
相手しちゃダメですよ
こういう人って何言っても屁理屈で返してきます
メンタルやられますよ』
ああ……。
時既に遅し。
もうかなり消沈してしまっている。
今、私はこのO-moricha-han なる人物の思う壺に嵌っているのだ。
『ヨザクラさん、この人はブロックした方がいいと思います』
その通り。
その通りなんだ。
だけど、このままブロックしても後味の悪さはかき消す事が出来ない。何としてもこの人物に謝罪させたい。
―何を謝罪させるんだろう?
側から見れば、そんな疑問が湧く事だろう。
でも、今の私にはそんな冷静さは欠片もない。ただただ此奴、O-moricha-hanを貶めたいだけだ。
気付いていないだけ。
そう、気付いていないのだけど、もう私の脳内はMTGに支配されてしまっているのだ。
元は敬語だったって言われても…ね。
貴様って呼ばれて喜ぶ人、現代には居ないですよね。
アクセスありがとうございます。
更新は、X および Instagram にて告知致します。