Battle 3 konoha075@yokohama[15]
美優、ついに敗北か!
酷い顔…、酷い顔…。
あぁ、そうですよ。私の顔なんて。O-moricha-hanに“すずちゃん”って呼ばれたのが懐かしいわ。
「え? 違う」
「何が?」
「すずちゃん」
「誰?」
「私…」
「救急車呼ぼうか?」
―いっその事呼んで欲しいわ。
「じ、自分で呼びます…かね?」
また意味不明な事を言って、バッグからスマホを取り出した。
その後はよく覚えていない。ただ、今居る場所は…。
「佐倉さん、お熱測ってくださいねぇ」
「はい」
目の前に現れた、白衣というかちょっとピンクな服を着て、私に体温計を差し出す天使。
その横には、やはり白衣を着た王子様…じゃない。オッサンや。年齢にして50代後半ぐらいだろう。見るからに頭が良さそうで、しかも貫禄さえ感じさせる。
ちなみに髪の毛は薄い。
「熱はないですね」
「私、どうしたんですか?」
「覚えてへんの? まぁ、しょうがないか」
どうやら私、本当に救急車に乗ったらしい。
救急車に乗った事は全く覚えていないが、じっくり考えると、それまでの出来事や病院に運ばれる事になった経緯なんかが少しずつ思い出される。
―あぁ、私は…。
「ミンミン! ミンミン! 大丈夫か?」
「誰や!? 蝉みたいに」
「何言うとんねん。俺や。ミンミンって、ミンミンの事やん」
看護師→「は?」
「いやぁん♡ レンやん」
思いもよらぬサプライズ? 仕事を途中で切り上げて、レンが病院に駆け付けてくれた。
どうやら岸本さんが電話してくれたようだ。あの女、なかなかいい事するやん。
「自分で呼びます」
それは、単なるジョークのつもりだった。
そうだ。O-moricha-hanの事を思い出していたんだ。そこで独り言を呟いた時、岸本さんから変なツッコミが入って…、
「救急車呼ぼうか?」
「自分で呼びます」
―スマホ?
「あ、レン、それ…」
「見たらあかん。ミンミン、これは没収や。俺が預かっとく」
そうだ! スマホ! Mのアイコンに…?
1345もの通知! どんだけリプ受け付けとんねん、このクソアプリ。
私はこの数字を見て、過呼吸になって、そのまま意識を失ったんだ。
「句読点の話。
私はそれなりに使う所は使うんだけど、もっと若い世代は殆ど使わないんですね。改行するんだって。
逆に60代ぐらいから上の世代って、句読点多いよね」
こんなスレッドを立てた。
別に何らおかしい事もない、世間話めいたスレッドだった。
なのに、なぜ炎上?
そこには、ただの世間話とは違う私の意図が込められていた。つまり…。
kohji-yashiro215なるウンコおじが猛威を振るっている中で、奴を誘き出すためのスレだったのだ。
kohji-yashiro215のリプには、読みづらいでは片付かない程の句読点が打たれている。
その句読点についてを話題にしたのだから、此奴が乗って来ない訳がない。
そして句読点には、文章を書く上でのルールめいたものが存在し、ここで揉めたなら、konoha075@yokohama 、私達の呼び方でコノハ。此奴が一刀両断しに割り込んで来ると見込んでいた。
しかし、炎上はまさかのバトルロイヤル。収拾がつかなくなってしまった。
後始末は私自身でやるしかない。
―止められない。
―止まらない。
結果の、1345もの通知。
それが、それがこの一件の全容なんだ。
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