それはひとつのスレッドから始まった[4]
美優はファッション系スレッドを見て、ショッピングに出かけます。
お目当てのものは見つかるでしょうか?
今日は土曜日。
私はとあるショッピングモールに居る。
レンは仕事が入ったとかで、忙しそうにしていた。それは私にとって、ある意味チャンスだ。
何故なら、昨日のyo-ko0713氏の書き込みにあった、ラメ入りニット。そいつを手に入れるのだから。
新しいファッションは、レンに対するささやかなサプライズ。そう思っている。
明日会ったら、レンは何て言ってくれるだろう。それが楽しみで、ついニヤけてしまう。
ふとスマホを手に取り、MTG-roomを開いてみる。
yo-ko0713氏の書き込み、続報だ。
yo-ko0713:
「昨日買ったラメ入りニット
友達からも評判いいよ」
シンプルな書き込みだ。この人はこんな感じなので、とてもわかりやすい。
だけどそれ、どこのブランドなの?
モール内を探してみる。あればラッキー程度に思っておいて、似たような商品を選ぶのも手だ。
O-moricha-han:
「>yo-ko0713 別に貴方が何着ようがどうでもいい
わざわざスレ立てないで下さい
時間の無駄です」
「え!? 何これ…」
まさかのyo-ko0713氏に対するアンチコメントだ。
しかし、何だろう。
時間の無駄なら見なければ良いだけ。
yo-ko0713:
「>O-moricha-han 時間の無駄と言いながらわざわざコメント書き込まないで下さい
あなたにとってそれが時間の無駄なんじゃないですか?」
次の瞬間、コメントが削除された。
消したのはyo-ko0713氏ではなさそうで、このO-moricha-hanという人物が思わぬ返しに負けたのだろう。たぶん…だけど。
時間の無駄と言うのなら、アンチコメント書いてる方が余程時間の無駄。それは間違いないし、そう返されると次の一手も出ないものだろうと思う。
「なるほど! こんな風に返すのかぁ」
変に感心してしまった私は少し気が楽になって、ショッピングを続けるために歩き出した。
昼を過ぎると、通路にも各店舗内にも溢れんばかりの人。
良い物を見つけると、争奪戦となる事が目に見えるようだ。
気は焦るけど、これはこれでショッピングを楽しむ充実感に浸れるひと時。
「あった! これやわ!」
きっとyo-ko0713氏の物とは違うブランド。だけど、画像と見比べてみれば実によく似ている。
「これはゲットしやなあかんわ!」
すぐさま手に取り、鏡に向かってみる。
私なんかに似合うのかどうか…そんなのどうでもいい。
Lサイズは私には少し大きいけど、それも許容範囲。
買うしかないっ!
人知れず心の中でハイテンションになった私は、スマホを片手にレジに並んだ。
アクセスありがとうございます。
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