表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/71

Battle 2 O-moricha-han [18]

 私は優勝した。

 ――は? 何に?

 兎に角、勝てそうな気がする。


 お腹いっぱいでろくに歩けない状態で、ノロノロと湖岸のベンチに辿り着くと、その上に仰向けに寝転がった。

 さっきまで瞳孔が開いていたレンの目は、今はまるで汚い物でも見るかのように細くなり、眉間にシワが出来る。その表情は、所謂顰めっ面というやつだ。まるで般若の面の面持ちだ。


 私が優勝したのがそんなに見かねるものか?

 てか、「優勝」って言ったの、お前やん。

 いえいえ、大食いと優勝は別件。そんな事は分かっているけど、どこかモヤモヤしてしまう私は、レンに、重いひと言をぶつける。


「ラーメンまで頼んだの、レンやで」

「いや、だからぁ、無理やったら俺が食うって言うたやん。それを全部ミンミンが食ってまうから」

「女の意地よ」

「は? ちょっと何言ってんのか分からない。意地って、何の?」

「絶対に負けられない試合」


 優勝したのは私だが、明らかにレンの方が優勢な気がする。

 って、優勝って何なのよ? そっちの方が、何言ってんのか分からない。

 兎に角、動けない私が不利なのは言うまでもない。



 ちょっと待って!!


 闘う相手はレンじゃない。言うまでもなくO-moricha-hanだ。

 仰向きなまま私は、地面に雑に置いたバッグからスマホを取り出した。


「またMTGかぁ?」


 こんな私の行動を見て、呆れた口調で言い放つレンに、私はひと言「違う」とだけ言ってスマホを空にかざすように持ち上げた。


佐倉美優:

「ラーメンと大盛りチャーハンを食い潰す!」


「え? 本名?」

「うん。Headbookやねん」

「ビックリしたぁ。MTGなんか本名でやったらヤバすぎやもんな」


 本名・フルネーム表示のHeadbookである事を知り、安心したのだろう。レンの表情は般若から戎さんへと変わった。

 しかし刹那、今度は怪訝そうに眉を顰める。


「ちょっと待て」


 その手が私のスマホを触ろうと伸び、頭の距離感がなくなる程に近付いて来る。


 ―まさかこんな状態でキス?


 アホか、私。そんな事、ある訳がない。食ったモン出るわ。

 違う。レンは、私が打った文に違和感を持ったようだ。


「いやっ! 覗き込まんといてっ」

「いや、ちゃうねん。それ…」


「食い潰す」じゃなく、「食い尽くす」だ。正しい日本語で話すとなると、この場合は「食い尽くす」になる。レンはそれを言いたかったのだ。


 だけど、敢えて表現を変えたこれには意図がある。そう、大森千夜子にトラップをかけたのだ。大盛チャーハンを食い潰す…と。

 これに千夜子がどうレスポンスして来るかで、此奴がO-moricha-hanであるかどうかの判断要素が生まれるのだ。


「食い潰す…で、いいねん」


 レンに不敵な笑みを見せると、私はそのままスマホをバッグに仕舞った。あとは千夜子がどういうレスポンスをしてくるのか、リプライはあるのか、そこを楽しみに待つ事にする。


「さ! もうちょっと歩こっ!」


 何だか気持ちが盛り上がってきた私は、ベンチからピョコンと起き上がった。

 刹那、体の中から込み上げるものを感じた。


「え? え? ミンミン…」

「あぁ、ヤバ。マジで食べたもん出そう…」

「ヲイッ!!」

アクセスありがとうございます。

更新は、X および Instagram にて告知致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ