Battle 2 O-moricha-han [17]
そして私のスマホは、意地悪にもその名前を画面上部に通知する。
『大森千夜子さんが新しく投稿しました』
Headbookだ。
誰かをフォローすれば、フォローした相手がアクションした際に通知が来る。
面倒なので通知をオフにしたいのだが、何故かその設定には反応してくれない。
おそらく通知をなくすには、アカウント削除が必要なのだろう。
私は思わず声に出して呟いた。
「O-moricha-han…」
コンテナカフェの話は、どこへ飛んでしまったのだろう。レンはこの呟きに、スカポンタン(※脚注)な反応をする。
「何や? 中華やったら、もうちょい歩いたら“ラーメン天下統一”があるで」
あ、あれれ? そんな事言うてへんのに。
「あ、あぁ、チャーハンの大盛ね。食い潰したいわ」
もう何を言うのやら。封印していたバトルの話は、レンの言葉によって呼び起こされた。
ん? 違うか。私の呟きをレンが勘違いしたからか。
違う。MTGなら、「勘違いされるような事言うお前が…」となるだろう。結局のところ、画面の通知を無視出来なかった私が原因なのだ。
コンテナカフェなどと言いながら、昼は中華に変わった。それはそれで良いのだが、どうやら私はチャーハン大盛を注文しなきゃいけないようだ。
「ホンマにこれ、食べれるんか?」
「食べきれんかったら、レンが残り食べてくれるやろ?」
「分かった。はは…ラーメン2つと、チャーハン大盛1つ、あと、取皿お願い出来ます?」
このチャーハンを食べ尽くさなければ、私はO-moricha-hanに勝てないのかもしれない。きっと、アンチリプだけをネタにしていては勝てない相手のはず。
単なるゲン担ぎに過ぎないが、兎に角食べれるだけ食べてやろう。
「ご注文、以上でよろしかったですか?」
いやいや、よろしくないわ! どちらかと言えば私のラーメンを下げて欲しいのだけど。
「はい!」
しかしこの男、何で勝手にラーメン頼んどるん? 私がそんなに食べられるとでも思ってるの? なんなん?
しかも、せめてアッサリスープにして欲しいと願う私の声など聞きもせず、天下統一ご自慢のこってりドロドロスープ。重すぎるやろ。
あぁ、どこからともなくまたアンチの声が聞こえてくる気がする。
「文句言うんだったら自分で注文すればいい」
「チャーハン大盛だけでも凄いのにラーメンまで頼んで草」
「食レポよろしく」
うあああ! 何だこれは。奴らの声は、幻聴となって私の脳裏を襲ってくる。
食べてやる。絶対食べて、奴らを撃退してやるんだ。
ラーメンをひと口。チャーハンをふた口。喉に滞れば、ラーメンのスープで流し込む。
スープでさえ、喉に滞る。
何や、このラーメンはぁっ!!!
食べた。
ただ無心に、私はチャーハン大盛とラーメンを食べ尽くした。
さすがにレンは驚いて、瞳孔が開いたかのような目で焦点も定まらないままに、私の食べっぷりを見ていた。
驚くのなら、頼まなければいいのに。
「レン? どしたの? ねぇレン?」
「あ、お、お前…」
「食べちゃった。チャーハン大盛も残さずに…」
大汗かいて、レンは叫んだ。
「ミンミン優勝!!」
※スカポンタン:昭和のアニメのセリフですね。間抜けとか、そっち系の意味で使われていたようです。
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