Battle 2 O-moricha-han [2]
岸本さんが、私の顔を覗き込んでいる。
それもそのはず。また私は、考え事をしている。
O-moricha-hanといえば、範子のアンチでもある。ただ、此奴自身沢山のアンチを抱えている。
「勝手に潰れるかなぁ…」
「え!?」
あ、何で声に出してんの? 私。
「ちょぉっと! 潰れたら困るわ! 変な事言わんといてっ!」
私の口から溢れた言葉は、単なるひとり言。故に岸本さんがいくらレスポンスしても、何で困るのか分からない。
潰れるのはO-moricha-hanであって、この職場で潰れそうなのは、やっぱり私達が使っているこの機械ぐらいしか思い付かない。
確かに、この機械が壊れたら仕事にならない。
変な事…?
潰れたら困るって、変な事言ってるのは岸本さん、貴方じゃないの?
え? 違う? 変って…?
ぁあっ!! 私の事かーい!!
―ギャハハハハハ
「もう…最近の佐倉さん、ヤバ過ぎ。ペア組んでる私の事も考えてぇやあ」
めちゃくちゃ怒られるかと思った。だけど岸本さんは、これをジョークに変えて笑ってくれた。
こんな風に明るく気さくに振る舞っている岸本さんも…?
ふふふ…、この女も、きっとMTG-roomのどこかで炎上しているはず。
探してやろうか? ヒッヒッヒ!!
「熱ある?」
私のおでこに触れた岸本さんの手のひらは、柔らかく温かい。
まるで仕事してないかのように…。
「お疲れ様でした〜」
「お疲れ様〜」
そんな危険な?1日の仕事が終わり、皆、帰宅の途につく。
私も会社の門を出て、いつものように“何なん?”に溢れている道を、自宅に向かって歩く。
歩きスマホは危険なので、社内では禁止されている。
社外に出れば…、タイムカードを押してからならいいのか?
いやいや、決してそうではないが、MTG-roomの炎上具合が気になって仕方なく、ついスマホを手に取って「M」のアイコンをタップし、ガン見してしまう。
「おいっ!」
「あ、すみません」
ほーれ言わんこっちゃない。いきなりガタイのデカい“おじ”と衝突寸前だ。
歩きスマホには、こんなリスクが潜んでいる。だからやってはいけないんだ。
ガタイのデカい…と言えば、そうそう、私の高校時代の同級生である範子。
背は高めだが、スラッと細身なのに、スレッドの言葉足らずから「巨漢女」のレッテルを貼られてしまった。
範子が巨漢女だと? あくまでもMTG内で言われてるだけに過ぎないが…。
―ぷぷぷっ! 何とも香ばしいではないか!!
そんな風にMTGを面白くしている奴。
その張本人こそ、O-moricha-hanなる人物だ。
私は、同級生である通称“巨漢女”の範子のために、O-moricha-hanをMTGから葬ってやらねばならないのだ。
しかし、範子の事を「巨漢女」と呼ぶ連中が居なくなるのは淋しい。
だから、O-moricha-hanの身辺をしっかり探り、見定める必要がある。
この、「巨漢女」ネタが消えないためにも…むっふっふ!
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