Battle1 s_n_boy [5]
範子は、鬼の私に恐れ慄いて、逃げるように帰宅した。
たぶんs_n_boy からの何らかのレスがあるだろうが、自分1人でMTGを開く事など出来ないでいるだろう。
s_n_boyを倒すのは私だ。yozakuraminminなのだ。誰にも譲らない。
yozakuraminmin:
「近所の大通りなんだけど、2車線から1車線になるって標識が出てるのに、右側車線を猛スピードで走って行く車って多いんです。そういう車に限って指示器も出さずにいきなり割り込んで来るんですね。さっきもそれで友達が急ブレーキかけたんです。ホント危ないからやめて欲しい」
さあ! ミンミンワールドへカモン!
tackbon-tack:
「>yozakuraminmin 嘘やろ」
「はあっ???」
嘘も何もない。事実だ。
yozakuraminmin:
「> tackbon-tack いきなり嘘ってなんなん?」
あ、ブロックしよった。
ホンマ、なんなん? 人のスレを勝手に嘘扱いして、レスればブロック。こんなウザい奴も居るんだ。
兎に角、ブロックさせたらそれは“勝ち”としている訳だから、私はtackbon-tackを秒殺した事になる。
「おいっ!」
あ?
誰や、背後から頭小突く奴…って?
「やン! レンやん♡ 久しぶりぃ〜♡」
「久しぶりって何や? MTGばっかり見てんと、たまには俺のメッセージ見てくれよ。既読にもならへんって…」
慌ててメッセージを開いてみると、確かにレンから3件も入っている。
「ごめぇ〜ん♡ 何だろ? 通知が来ぃひんくなってるしぃ」
「通知オフしてへんか? しかも何やねん。たまたま会うたら♡だらけやん」
♡って見えるの?
レンは用事で地下鉄に乗り、出かけていた。その帰り、ショッピングモールから自宅へ続く通路を歩いていると、カフェに私の姿を見つけたと言う。
「喧嘩したんか?」
「え? 何で?」
「ミンミン、めっちゃ怖い顔してたし、友達は逃げるように帰って行ったやん」
あちゃー、全部見られてる。
「い、いや…喧嘩はしてへんえ」
「はっはーん」
こりゃ、範子が逃げ帰ったのもMTGが原因なの、バレたかな。
「怒らへんの?」
「怒られるような事したん?」
そして墓穴を掘る。
「悪い書き込みしたんやろ?」
「エヘヘヘヘへへへへへへへ」
兎に角笑って誤魔化せた? 誤魔化せてない? どうだか分からないが、久しぶりに会ったレンとは不穏になる事もなく、お互い顔を見合って笑った。
「今日はこれからどうすんの? 友達追い返して…」
「追い返したんじゃなぁいっ」
レンの左腕を掴んだ。
あぁ、なんて温かいの? ついさっきまでの私って、一体何をしていたのだろう。こんな癒しがあるというのに、メッセージすら目も通さずにいたなんて。
「しばらくこうしてていい?」
レンは、私をチラリと見て微笑んだ。
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