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Battle1 s_n_boy [3]

 まずはネタ探しに走る。

 アンチを(おび)き寄せるには、他人のスレッドを徘徊するより自らがスレッドを立てる方が早い。


 最初のターゲットは、交通系アンチ、s_n_boy に決めた。

 私達は範子の車に乗って、意味もなく街を徘徊する。

 いや、ちょっと待てぃっ! 意味もなくとは言うが、私達にとっては大きな意味を持つのだっ!


「交差点は目ぇつけとかんとね」

「うん。それと、信号のない横断歩道。コレは絶対何かあるはずやわ」


 走り出すとすぐに、4車線の中央分離帯のない大通りに入る。

 私は目を凝らしながら、ネタを拾うために左右を交互に見る。


「うっわ! 右折出場やのに! 本線の流れ止めてるやん」


 早速出たか?

 いや…もう少し欲しい。


「範子、これやったらどう書き込む?」

「そやなぁ。『車の流れ止めてまで無理矢理出て来る右折出場の車ってなんなん?』ってとこかな?」

「それにクソレスするんやったら…『譲ってあげればどうですか?』かなぁ」

「それ、普通やん。クソレスやったら、『あなたが譲ってあげれば済む事でしょう?』っていうぐらいのリプ来ぃひん?」


 的を得ている。此奴、出来る女だ。

 そしてs_n_boy が、同じかそれに近いリプライを書き込んで来ればしめたものだが。


「わっ! 此奴、指示器出さんと割り込んで来たっ」


 2車線が1車線に減少して、そのまま分岐となるトンネル出口。

 右車線がなくなる寸前にワンボックスカーが猛スピードで割り込んで来て、範子はブレーキをかけざるを得なかった。


「2車線から1車線に減る所でギリギリまで右車線カッ飛んできて指示器出さんと割り込む奴、なんなん?」

「あなたが譲れば良いだけの話でしょう?」


「「おおーっ」」


 このパターンは大いに予想される。私達は、その先の先までシナリオをシミュレーションしてみた。

 予想通りに事が運べば、すぐに論破だ。


 さあ! これを私と範子のどちらがスレッドを立てる?


「「じゃんけんほいっ!!」」

「うあーっ! 私や」

「ふふふ…よろしく」

「な、何かあったら、ちゃんと助けてや」

「ふふふ……」


 範子は伏見方面へとハンドルを切った。

 少し買い物をしておきたい。駐車場のあるコンビニなら、車を停めて、手軽かつ短い時間で買い物が出来る。

 京都駅周辺の交通量は多く、ネタを集めるという意味では、それらは拾いきれない程に転がっているだろう。しかし、駐車場があるかという話になると、街の中心部ではまず期待出来ない。

 それなら伏見区に行くのが正解だと思う。伏見区だって、一方通行の道が多く張り巡らされていて、多少は香ばしい香りがする。


「大学の近くのコンビニで、一回停まるわな」


 緊張すると喉が渇く。スポーツドリンクなどは必需品だ。


「そこのコンビニ…」

「OK!」


 道路脇のコンビニに入るため、範子は左方向指示器を出して左折入場しようとした。


「わわっ!!」

「え!?」


 何と! 右折車がを我先にと言わんばかりに、強引に目の前を横切って車を停めた。


「ムカつくぅ!」


 私達の乗った車を停める枠がなくなってしまった。

 仕方なく、少しその場で待つ事にする。

 すると、さっきの車から降りてきたのは…?


「40代ぐらいの…」

「嫌らしいオバやな」


 さすがにこの行為には事故のリスクがある。

 私はこの人に声をかけた。


「あらぁ、早いもん勝ちでしょ」

「そうじゃなくて、真ん前横切ったら危ないでしょっ」

「だって、アンタらが停めへんさかい、ウチが停めよう思たんやん」


 兎に角話が通じない。というか、論点がズレている。私は範子の腕を掴み、思わずニヤついてしまった。


「ええわ、おばちゃん」


 ―ふふふっ。MTGに晒してやる。


「範子、ドラレコ映像取り込んどき」



 その後、北向き一方通行道路に入ると、T字路交差点の赤信号で停まった。

 東からの道が交わる交差点。そこへ、1台の軽四輪駆動車が左折してきた。


「えっ!? ええっ!?」

「範子…最高やん」


 私はここでも不敵な笑みを浮かべる。

 これ以上ないネタを仕入れた。あとはs_n_boyがどう噛みついて来るのか、そしてどのように論破するのか、しっかりとシミュレーションするのだ。


「サクラ…」


 範子は私の顔を見た。


「ふふふ…、これは私がやる!」

アクセスありがとうございます。

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