それはひとつのスレッドから始まった[1]
本編スタートです。
全ての始まり。主人公・美優が見た、そのスレッドとは?
tk.walker:
「狭い住宅街の道です飛ばす車
めちゃめちゃ怖いんだけど…
あれ何なん?」
私こと佐倉美優は、とある住宅街に隣接する会社の契約社員で、工場勤務。
工場って言ったって、町工場のような職人の会社じゃなく、オートメーション化されたラインを簡単な手順で操作するだけの作業。
現場には、総勢50人の従業員が勤務し、同じような作業に従事している。
そして、自宅からは徒歩10分。通勤は古き時代からあるメイン通りを真っ直ぐ西へ歩いて行くだけで、途中には3箇所の三叉路と1箇所の十字路があるが、概ね住宅街を抜けるのみ。
そんな僅か10分の間のいくつもの出来事。
私は、このtk.walkerなる人物のスレッドに深く共感した。
yozakuraminmin:
「>tk.walker ほんと、いますよね
私も何度も当たられそうになった
もっと歩行者を意識して運転してほしいですね」
そのスレッドにはあまりにリアリティを感じたし、何か言いたくて仕方なくなった私は、yozakuraminminというハンドルネームでこのリプライを送った。
そしてまた、いつもの通勤経路を会社に向けて歩き始めた。
歩行者は右側通行と言うが、この道は会社に向かう左側に電柱が並び、路側帯が引かれている。
なので会社からも、左側を歩く事を推奨されている。場合によっては、電柱を盾にして自らの身を守る事も可能だ。
私はいつものように横断歩道を渡り、左側へと進路を変えようとした。
「キャッ!!」
横断中だというのに、1台の車が私の目の前を、速度を落とさずに通過した。
横断歩道では、車は停車して横断歩行者に進路を譲らねばならない。それは道路交通法で定められている。
なのにこの運転手は何を考えているのだろう。
私だって、横断前には立ち止まって安全確認をしている。
普通なら、この車が近付く頃には渡り切っているはずなのに。
「捕まったらええのに…」
そうぼやきながら、この1.5車線程度の道を速足で歩き出す。
しかしどうだ?
背後から来る車はやはり私との間隔を取る事もなく、歩行者から見れば結構速い速度で、ギリギリ横を抜けて行く。
「何なん!?」
思わず疑問を含んだ怒号が喉から溢れる。
その短い言葉は、あのtk.walker氏のスレッドそのままだ。
本当に怖い。
私は、会社に着くなりヒヤリハット即ち、ヒヤッとした事ハッとした事を報告し、場合によっては対策を講じ、安全管理に活かそうという制度に基づいた報告をした。
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