固定アンチ!?[7]
範子に帰られてしまい、1人飲み干すコーヒー。
高校の先輩達がしばしば利用していたという、駅前のカフェ。
殆ど喧嘩のような状態なら、私1人で飲む方が余程美味しい。
ここにはレンとも何度も来ている。
彼はいつもショコラ・ラテを飲んでいる。
私はというと、ほろ苦いエスプレッソが常なのだけど…今日は気分を変えて、オリジナル・ラテにしてみた。
美味しいのだけど、何か違う。
私にはやっぱり、ほろ苦い系が合っていると思う。
だって、人生そのものがほろ苦いのだから。
しばらくレンと会ってない。
MTG-roomを嫌うレンなのだから、そのMTGに必死になっている私なんて、見たくもないんだろう。
きっと私がMTGをやめない限りは、彼から「会おう」なんて言ってくる事はないんだろう。
「何やってんやろ、私」
だんだんMTGに関しての悪意が芽生え始めている。
アンチの連中を奈落の底に突き落としてやろうなどと、禄でもない事を考え始めている。
―やめようかな。
ふとそう思った。
いやしかし、やめるならその前にとことん虐めてやらねば。奴らを!
私は奴らをブロックしない。
逆に奴らが私をブロックすれば、私の勝ちだ。
絶対に負けられない。
それは、悔しい思いをさせられた女の意地。
私という女に恨まれたらどうなるか、思い知らせてやらねばならない。
MTGをやめるのは、それからで十分だ。
BOOM……
「ん? MTG違う。え?」
範子だ。範子からのメッセージが入った。
さっきの喧嘩の件、謝罪でもしようと言うの?
いやいや、それはおかしい。
喧嘩の口火を切ったのは私なんだから、謝れという事なのか?
ならば無視しよう。
BOOM…… BOOM…… BOOM……
「え?」
えらい事でも起きたの? まさかの範子からの、今度は電話だ。
「サクラ…私……」
今にも泣き出しそうな声。さすがにこれは、私とて焦ってしまう。
「どしたの? 落ち着いて、話してみて」
「私…めちゃめちゃ中傷されてる…」
何? どういう事?
「分かった。ちょっと見てみる…」
一旦電話を切ると、その指で私はMTGのアイコンをタップした。
事態はすぐに察知した。
お勧め投稿に、引用スレッドが表示されていたからだ。
「え、ええっ!?」
O-moricha-han:
「この女、自分で巨漢だって言ってる 笑」
bonbon:
「>O-moricha-han 巨漢女が弾き飛ばされて草」
何という事か。
範子のスレッドが、よりによってO-moricha-hanに引用されている。
しかも、それに乗っかってbonbonまで出て来た。
範子に電話してみる。
その向こうから聞こえる声は、やはり泣いている。
「範子。レスったらあかんよ。奴らの思う壺に嵌るわ」
「どうしたら…」
それは私にも分からない。
既に引用スレッドは拡散し、範子は実際とは真逆の“巨漢女”のレッテルを貼られている。
何で?
ふと思い付き、この引用スレッドから範子のスレッドに飛んでみた。
norishio_ikeike:
「巨漢女なんだけど…電車乗ったら、端っこの席が空いてたので座ろうと思ったの
そしたら別のドアから乗り込んできた女が私に体当たりして、弾き飛ばしてそこに座ったの
この女、何なん?」
―これって!
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