固定アンチ!?[5]
同級生・池山範子への相談話。
今の美優は、どう捉えていくんだろう?
「病気ちゃうの? ネット依存症みたいな…」
病気だって? 何て事を言い出すやら。余計なお世話だ。
ああ、何という事だろう。彼氏即ちレンに関わる話題には、少々面倒臭さを感じたのも事実。だけど、そこを発端に範子までをも、MTG-roomの中に蔓延する“悪”のように思ってしまった。
病気。言われてみれば、確かに病気なのかもしれない。
「サクラ…、冗談は抜きで、悩んでるんやったら聞くで。答は…」
出ないかもしれない。いや、出ないだろう。
私自身が前向きにならなければ、どう対処すべきかなんて考える事も出来ない。
きっと範子のアドバイスにも否定的になり、挙句見放されるんだ。
「私なぁ…」
それなのに、私は何を言おうとしている?
「退治したいねん。アンチコメばっか書き込んでる奴らを」
これを聞いた範子の顔が、悲しげに歪む。
「退治って…関わらへん方が良くない? 1人退治しても、また何処からか湧いてくるって」
「謝らしてやりたいの」
「そんなん無駄やわ…」
「やりもせん内から、何で無駄って言えるの?」
いや、どう考えても無駄な行為。
分かってるのに、私の言葉は気持ちとは裏腹に、どんどん攻撃度を増していく。
「彼奴らのひと言で傷付く人が、どれだけ居ると思う? 言われのない悪口言われたりとか、スレの意味を勝手に履き違えてネチネチと批判してきたりとか」
そんな事で苦しめられる人達。理不尽に傷付く人達か、ネット上には巨万と居る。
「でもサクラのそのひと言が火種になって、もっと酷く傷付く人もいるかもしれへん。そこは意識してるの?」
「私は善人に対して悪口は言うてへんわ!」
「そうじゃなくて…」
もうお話にならない。
攻撃性の芽生えた私を宥めようと必死な範子が、逆にウザくなってくる。
本当は範子が悪いのではなく、寧ろ親身になって相談に乗ってくれているというのに。
病気だ。
これは病気なんだ。
分かってるのに、言葉はあらぬ方向へと加速度を増していく。
ごめん、範子。
そう思いながらも、とうとう禄でもないひと言が喉の奥から漏れてしまった。
「ウザいわ! もう相談なんかせぇへんわっ!!」
しばし間を置いて、範子は静かに声を発した。
「疎遠やったアンタになぁ、いきなり人生相談されて…それでも一生懸命考えたってるねん。アンタ、私を何や思てるの!?」
範子の反撃。
それは、道理にかなっている。彼女の言う意味は、痛い程に分かる。
私はこの友人をわざわざ呼び出し、相談と見せかけた持論の押し付けをしている。
彼女の意見など聞く由もなく。
「書き込むつもりやな? スレ、立てるんやろ? MTGに」
「書き込む訳ないやん。何でわざわざ炎上ネタを?」
書き込む訳がないだろう。そうは思っていても、私の悪意は余計な言葉を垂れ流す。
「じゃあ私がスレ立てるわ」
「そんな事したら、サクラが炎上するで」
「そうね。上等やわ。そこでアンチやっつけてやるから」
「私の言動も炎上するやん。それだけは勘弁して欲しいわ」
これだ。結局のところ、範子も自分が一番可愛いのだ。
「擁護してあげる」
「意味分からへん」
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