Q.永遠はあると思いますか?
昨今。
我々地球人はAIによって、芸能人の歌声や映像が自由に生成できるようになりました。これによって、人々の中の『永遠』というモノへの概念が変わってきたように思います。
実際はどうなのでしょう。それでは訊いてみますね。先ずはハチ公前の女子大生から!
Q.永遠はあると思いますか?
「あると思います。だって、心筋梗塞で亡くなったマサマサが、テレビやネットとかで今も歌ってるもん。スパチャを投げると『ありがとう!』って反応もしてくれるんです。マサマサは今もネットの中で生きているし、これからもずっと永遠に存在し続けるんですよ」
ありがとうございました。
なるほど。マサマサは有名ミュージシャンですね。亡くなったことで、生前よりもCDが売れたとか。後にAIで生成したアルバムは売れまくったので有名ですね。
昼時で、お腹がすいたのではないでしょうか? 次は、ラーメン店に入って質問してみましょう。店主と客がワイワイ騒ぎながら楽しそうにしていますね。ふむ。どうやらこのお店は今日で閉店するそうです。
まぁいいでしょう。では、店主のおじさんに質問してみます!
Q.永遠はあると思いますか?
「永遠? そりゃあると思うぜ。例えば人の記憶とかな――――ただ、間違ってもAIで俺のラーメンの味が再現できるとは思わねぇけどな。あん、理由はなんだって? そりゃあれよ。接客してたらわかる一期一会の味だ。そっくりなラーメンだけ出したって、この味は再現できねぇ。客とか店の雰囲気すべて含めて俺のラーメンだからな。んで、その記憶は人によって継がれていくんだ。それが俺にとっての永遠だね」
んー……深い! ありがとうございました!
なるほど。たとえ同じラーメンを出したとしても、人とのコミュニケーションの味までは再現できない。でも、お客さんの仲で永遠に語り継がれるラーメンの味がある。それを人は『思い出』と言うのでしょう。
ちゅるちゅると。うん。客の様子を見ると美味しいラーメンみたいだ……おや、唐揚げを落っことしたドジなお客さんを発見。酔った客がそれだけを見て笑ってる。酔っている時は何でも面白い物なのですね。
うん。このお店の空気も素敵です。永遠に語り継がれていくでしょう。お疲れ様です。
みなさんお昼は済ませましたか? さて、お腹もいっぱいになったことでしょうから、近くの森へと行ってみましょうか。おや、あそこに居るのは多くの人が大好きな一匹のクマちゃん! 少し近寄って突撃取材してみましょう!
Q.永遠はあると思いますか?
「ガオー‼‼」
ガガ、ぷつっ……。
〈――――音信が途絶えた。取材用AI機1号は壊れたようだ。これより2号機に繋げる〉
◇◇
昨今。
我々地球人はAIによって、芸能人の歌声や映像が自由に生成できるようになりました。これによって、人々の中の『永遠』というモノへの概念が変わってきたように思います。
実際はどうなのでしょう。それでは訊いてみますね。先ずは、画面の前のあなたへ!
Q.永遠はあると思いますか?