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ネトコン13参加作品

Q.永遠はあると思いますか?

作者: 白夜いくと

 昨今。

 我々地球人はAIによって、芸能人の歌声や映像が自由に生成できるようになりました。これによって、人々の中の『永遠』というモノへの概念が変わってきたように思います。


 実際はどうなのでしょう。それでは訊いてみますね。先ずはハチ公前の女子大生から!


Q.永遠はあると思いますか?

「あると思います。だって、心筋梗塞で亡くなったマサマサが、テレビやネットとかで今も歌ってるもん。スパチャを投げると『ありがとう!』って反応もしてくれるんです。マサマサは今もネットの中で生きているし、これからもずっと永遠に存在し続けるんですよ」


 ありがとうございました。

 なるほど。マサマサは有名ミュージシャンですね。亡くなったことで、生前よりもCDが売れたとか。後にAIで生成したアルバムは売れまくったので有名ですね。

 

 昼時で、お腹がすいたのではないでしょうか? 次は、ラーメン店に入って質問してみましょう。店主と客がワイワイ騒ぎながら楽しそうにしていますね。ふむ。どうやらこのお店は今日で閉店するそうです。


 まぁいいでしょう。では、店主のおじさんに質問してみます!


Q.永遠はあると思いますか?

「永遠? そりゃあると思うぜ。例えば人の記憶とかな――――ただ、間違ってもAIで俺のラーメンの味が再現できるとは思わねぇけどな。あん、理由はなんだって? そりゃあれよ。接客してたらわかる一期一会の味だ。そっくりなラーメンだけ出したって、この味は再現できねぇ。客とか店の雰囲気すべて含めて俺のラーメンだからな。んで、その記憶は人によって継がれていくんだ。それが俺にとっての永遠だね」


 んー……深い! ありがとうございました!

 なるほど。たとえ同じラーメンを出したとしても、人とのコミュニケーションの味までは再現できない。でも、お客さんの仲で永遠に語り継がれるラーメンの味がある。それを人は『思い出』と言うのでしょう。


 ちゅるちゅると。うん。客の様子を見ると美味しいラーメンみたいだ……おや、唐揚げを落っことしたドジなお客さんを発見。酔った客がそれだけを見て笑ってる。酔っている時は何でも面白い物なのですね。


 うん。このお店の空気も素敵です。永遠に語り継がれていくでしょう。お疲れ様です。


 みなさんお昼は済ませましたか? さて、お腹もいっぱいになったことでしょうから、近くの森へと行ってみましょうか。おや、あそこに居るのは多くの人が大好きな一匹のクマちゃん! 少し近寄って突撃取材してみましょう!


Q.永遠はあると思いますか?

「ガオー‼‼」


 ガガ、ぷつっ……。


 〈――――音信が途絶えた。取材用AI機1号は壊れたようだ。これより2号機に繋げる〉


◇◇


 昨今。

 我々地球人はAIによって、芸能人の歌声や映像が自由に生成できるようになりました。これによって、人々の中の『永遠』というモノへの概念が変わってきたように思います。


 実際はどうなのでしょう。それでは訊いてみますね。先ずは、画面の前のあなたへ!


Q.永遠はあると思いますか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] あと一億年もすれば地球に人類がすめなくなっているかもしれません。 地球が誕生してから約五十億年くらいですが、『永遠』から見ると一瞬の泡のようなものですね。 [一言] 『永遠はあるよ ここに…
[良い点]  AI一号が使い捨てされ、AI二号さんも最初からのスタートなので熊語を理解出来る訳では無さそうで、AIも学習させなきゃタダのゴミ。  AIを使う側も学習しなければ未来永劫AIも学習しない、…
[良い点] 力作ですね、面白いです。 二人称に近い文体から、語り手が消えちゃう演出とか、シチュエーションを並べる構成に、時代背景をこっそりと忍ばせる書き方とか、お見事!
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