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第7話 ここは刑務所ですか?いいえ違います。

「ここは刑務所か何かでしょうか」


 そう言いたくなるのも無理のない状況であった。


 なんせ俺は今、何故だか小さな明かりしかない暗い部屋で、外から帰ってきた四人のレジスタンスとか言う連中に脅迫――もとい自己紹介コーナーのようなことをされていたからだ。


「お前さん……アレスっていうんだってな」


 ピンっと伸びたあごひげが特徴的なガタイのいい男が、俺の顔をまじまじと見ながら言った。


「そそそ、そうです。私がそんなバカげた名前の愚かな人間であります」


 ……さすがに怖いぞ?


 その男の鋭い眼光のせいか、それとも、その巨人のような巨体のせいか。

 今すぐにどこかに逃げてしまいたい……。


「俺は、アンブラ。力だけが自慢の男よ」


 そういってアンブラはニカっと笑いながら、その太い腕を見せてくるが……正直、怖いだけである。


「そして、こっちにいるヒョロガリのノー筋がテオ」


 と、本物の脳筋は学者っぽい細い体格の男の背中を軽くたたきながら、自慢げに他人の紹介しだした。


「はい……テオです。よろしくお願いします」


 彼はアンブラやルカと……あと部屋の端にいるもう一人と違い、どこか静かでおとなしそうな青年といった印象を受けた。


 フフフ……これはきっととても良い関係になれるぞ!


 さて、どうやってコキ使ってやろうか――ゲフン。

 どうやって仲良くなろーかなぁ?。


 俺は満面の笑顔を浮かべながら、内心そう期待する。

 しかし、そんな俺の幸福な時間は長く続かなかった。


「おい、終わったか?」


 二人の自己紹介が終わると、みな自然と最後に残った彼女に視線がいった。


 そんな彼女の容姿だが、耳が長く、褐色(かっしょく)の肌。そして赤い瞳を持っている黒髪であった。

 おそらくエルフ――だろう。


 彼女は、部屋に端の床に座りこみながらチラっと目線だけ俺の方にやった。 


「最後に残った私はエルフのオリン。……どーもよろしく」


 彼女の枯れた低い声が部屋に響き、すこしの不安と焦りを覚えた。


「よ、よろしくお願いします」


 俺はそのオリンとかいうエルフに向かって頭を下げる。


「あぁ……先に言っておくけど、アタシの足を引っ張ったら殺すから」


 ここの連中殺意高くないか?


 しかし、俺はすっかり怖気づいてしまい、ただペコペコとご機嫌とりすることしかできなかった。


「できれば、お手柔らかに……」

「するわけねーだろ馬鹿が」


 分かってきた。


 おそらくこの中で俺と仲良くできるのは、テオってヤツだけだ。

 れ以外は……ルカは暴力野郎だし、アンブラは外見怖いし、オリンに関してはもう全部怖いし……。


「アレ、俺来るとこ間違えちゃいました?」


 そう小声で呟いた俺に叩きつけられた現実は、まさに刑務所――いやそれよりさらにひどい、地獄だ。


 そんな状況で俺は――


「生キテル。オレ、生キテル」


 改めて生を実感するのであった。

ストックがない!ヤヴァイ!次回「魔物と戦うワケがない」お楽しみに!

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