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最強転生者が神になるまで  作者: バーチ君
セザール獣王国
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闇組織『スネイクヘッド』殲滅作戦(1)

 闇組織『スネイクヘッド』のスパイとしてビャッコの家にもぐりこんでいたスイフトは、すべてを話した。


元々、娼館で働いていたスイフトは、自由になることとお金をもらうことを条件にスパイになったようだ。彼女を送り込んだのは、幹部の一人であるジャワらしい。スイフトはジャワの居場所を話した。



「この問題が落ち着くまでは、あなたはこの屋敷の地下牢にいてもらうわ。」


「ビャッコ様。ひどいじゃないですか? 私はすべてを話しましたよ!」


「ビャッコさんはお前の命を守ろうとしているんだ! そんなこともわからないのか?」



 スイフトはこぶしを握り締め、下を向いてしまった。



「みんな。この街の『スネイクヘッド』を殲滅するぞ。」


「了解にゃ。」



 ビャッコさんからもらった資料を参考に、ミレイ、ローザ、ミサキ、ドリエにそれぞれ地図を渡した。



「ケン兄。今日来たばかりで、地図を見ても場所がよくわからないよ。」


「そうだな。なら、今日はみんなで街を散策しようか。作戦行動は明日だ。」


「なら、あの屋台に行くにゃ!」


「もう、ミレイは食べることばっかり!」


「お腹が空いてたら力が出ないにゃ。」



 ミレイの言葉でその場の緊張が和らいだ。オレにとっても、みんなにとってもミレイの存在は大きい。その日は、みんなで街を歩いた。やはり街には活気がある。だが、時々人相の悪い者達も見かけた。意外なことにガラの悪いのは男だけでなく、女もいたのだ。



「ケン様。明日のことですけど。」


「どうした? ドリエ。」


「ビャッコさんの話だとSランクの強者もいるということでしたが・・・」



 ドリエが何を言いたいのか分かった。強い相手を捕まえるのは大変だ。殺さないように戦うには手加減をしなければならない。こっちが怪我をしたらもともこうもない。



「ドリエ。自分の身を守ることが最優先だ! 危なくなるようだったら殺しても仕方がないさ。みんなも同じだから。」


「うん!」


「はい!」



 その日は亜空間の家に帰った。そして翌日、再びビャッコさんの屋敷に来た。



「今日は1人1拠点を殲滅するから! 昨日話した通り、危なくなったら殺してもよし! いいね。」


「わかったわ!」


「皆さん! お気をつけて! よろしくお願いします。」



 オレ達はそれぞれの地図の場所に向かった。一番近いのがミレイだ。ミレイがアジトに到着すると、ビャッコさんの暗殺に向かった武装集団が捕まったという情報がすでに伝わっていた。アジトの中には大勢のメンバーがいて、大騒ぎになっていた。



「おい。聞いたか。領主を狙った連中が全員捕まったんだってよ~!」


「まさか?! ほんとうか? あいつらの中には幹部のビッドさんがいたはずだぜ!」


「俺も信じられねえが、全員が首に奇妙な輪を付けられていたらしいぜ!」


「このまま幹部たちが黙ってるわけねえな。これは大きな戦いになるぜ!」



 メンバー達がそんな話をしているところに、猫耳族の少女が入って来た。



「てめ~! なんか用か?」


「そうにゃ。用があるにゃ。」


「素直にこっちに来れば俺達がいいことを教えてやるぜ! こっちに来な!」


「別に教えてくれなくていいにゃ。それより、ここ臭いにゃ。早く大掃除を終わらせるにゃ。」



 ミレイが腰の剣を抜くと、その場にいた男達も全員が剣を抜く。



「てめ~! 何のつもりだ! 俺達にケンカを売りに来たのか?」


「悪者を捕まえに来たにゃ。」

 

「何だと~! 調子に乗りやがって~!」



 男達が一斉にミレイに切りかかった。ミレイはそれを華麗によけながら、腹に拳をめり込ませていく。



「グフッ」


「グホッ」



「てめぇ、何者だ?」


「ただの冒険者にゃ。」


「ふざけるな!」



 今度は魔法を放ってきた。ウォーターカッターだ。



『ファイアーウォール』



 ミレイが手を前に出して魔法を唱えると、火の壁が前に現れ、水魔法の刃はことごとく阻まれた。ここでミレイは考え込んだ。どこまでやっていいのかわからないからだ。



“まっ、死がなきゃいいにゃ。”



 ミレイは剣に魔法を付与して、男達の中をすり抜けていく。ミレイが通った後には、片腕を失った男達が絶叫をあげながら倒れこんでいた。



「ギャー」


「う、腕が~!」



 すると、1番奥の部屋から強そうな男が現れた。



「やってくれるじゃねぇか。俺はジャワだ。名前を言え!」


「僕はミレイにゃ。」


「どうだ? ミレイ。俺達の仲間にならねぇか? お前ならすぐに幹部になれるぜ!」


「興味ないにゃ。」


「そうか。残念だ! なら、死ね!」



 ジャワが剣を振ると斬撃が飛んでくる。ミレイはギリギリそれを避けた。ミレイの髪がゆらゆらと地面に落ちる。



「そうか。あの斬撃を避けるか。」


今度は、すさまじい速さで剣を打ち込んでくる。だが、それもミレイは見切って剣で受け止めた。そして、ミレイが剣に魔法を付与すると、ミレイの剣から青白い炎が噴き出した。堪らず、ジャワが後ろに飛んで避けるがジャワの手に持つ剣はドロドロに溶けている。



「貴様は一体・・・」



 ジャワが何かを言いかけたが、ミレイはそのままジャワに切りかかり、ジャワが瞬きする間に右足を切り落とした。



「グワッ—————!」



 さすがのジャワも絶叫をあげて地面を転げまわった。ミレイがジャワに剣を向けて歩み寄ると、ジャワは必死に命乞いを始めた。



「俺が悪かった。殺さないでくれ! 許してくれ!」


「お前本当に幹部にゃ? なんか弱すぎるにゃ。」



ミレイは全員をロープで縛り上げて、ビャッコの屋敷に連れ帰った。




 その頃、ローザの向かった先にも大勢の無法者がいた。中には派手な格好の女もいる。ほとんど裸のような恰好だ。やはり、50人のメンバーが捕まったことで、建物の中にいた者達が騒いでいた。すると、裸のようなかっこをした女がみんなに声をかけた。



「静かにしろ! ビッドの奴がへまをしただけだ。騒ぐことじゃない!」


「でも、アムールの姉御。50人もいたんだぜ!」


「だから何さ。あんな連中なら私一人でも倒せるさ!」



 すると、部屋の隅から少女の声がした。



「裸のお姉さん。強いんだね。」



 全員が声のする方を見た。すると、そこにはまだ子どものエルフの女の子がいる。



「お前、どっから入って来た?」


「入口だよ!」


「おい。見ろ! あいつはエルフだぜ! しかも上玉じゃねぇか!」


「おい。お嬢ちゃん。お菓子あげるからこっちに来な。」



 男がローザに手を差し出した。だが、次の瞬間その手が切断され地面に落ちた。手に氷の剣を出して切ったのだ。



「ギャ———!」



 男は地面を転げまわる。



「てめぇ! 何をしやがった!」


「汚い手を出したから切ってあげたの。」


「この野郎! なめたマネしやがって!」


「ローザはそんな汚い手なんかなめないもん!」



 男達が剣を抜いて切りかかって来た。ローザの武器は弓だ。だから、接近戦はあまり好きではない。好きだはないが、戦えないわけではない。ローザには何よりもエルフの特性の魔法がある。ローザの魔法はケンの次に威力があるのだ。ここ最近では水属性以外の魔法さえも使えるようになってきている。特に闇魔法だ。



『アイスカッター』



 ローザが魔法を発動すると、ローザの目の前に無数の氷の刃が出現した。それが、冒険者めがけて飛んでいく。能力の高い冒険者達は剣で防ぐが、そうでないものは片足を切り落とされる。



「ギャ——!」


「貴様! よくもやりやがったな。ガキだと思ってなめてたが、もう油断しねぇぞ!」


「ちょいと待ちな! お前達じゃ相手になりそうもないね。私が相手をするよ。」


「アムールの姉貴!」


「おばさん、偉い人なの?」


「おばさん? 誰がおばさんだ! 言ってくれるじゃないか!」


「おばさんがそんな恰好したら恥ずかしいよ! 服を着なよ!」



 ローザの言葉でアムールのコメカミに青い筋ができる。かなりお怒りのご様子だ。



「ギタンギタンに切り刻んでやるよ。」



 アムールは剣を仕舞い。魔力を高めた。すると、アムールの全身から魔力が溢れ出る。手の爪が一気に伸びて、鋼のように硬く鋭くなっている。アムールはそれをベロでなめた。次の瞬間、アムールの体が消えた。ものすごい身体能力だ。咄嗟にローザは魔法を発動する。



『アイスウォール』



 分厚い氷の壁がローザの前に立ちふさがる。だが、アムールはそれを鋼の爪で砕いた。



「おばさん。なかなか強いね。」


「言ってろ!」



 アムールはさらにローザに切りかかった。だが、不思議なことにローザを切ったと思っても実際には切れていない。



「どうしてだ? お前何かしてるな?」


「私は別に何もしてないよ。ケン兄が守ってくれてるだけだから。」



 ローザはケンにもらった指輪に口づけをした。



「そうか。その指輪か。その指輪が結界を張っているんだな。なら、その腕を切り落とすまでだ。」



 アムールの姿が再び消えた。ローザは背中の弓を出し、魔法を付与して天に向かって矢を放った。天に向かって放った矢がローザの後ろに飛んだ。



「ギャ———!」



 矢がアムールの右目に刺さった。



「なぜわかった?」


「わからないよ。でも、この矢は目標に当たるまで飛んでくれるの。」


「き、き、貴様~! 私の顔に傷をつけたな~!」


「もう、そろそろ終わりにするけど。」



 ローザは魔法を発動する。



『アイスエリア』



 ローザが指さす場所がどんどん凍っていく。アムールの後ろにいた男達も腰のあたりまで凍った。アムールの足も凍って動けない。



「おばさん達、動かない方がいいよ。動くと、そのまま凍ったところが崩れて死んじゃうよ。」


「私の負けだ! 好きにしな!」


「アムールも男達も全員が武器を手放した。」


「降参ってことでいいのかな。一応、魔法をかけとくね。逆らったら死ぬ魔法をね。」



『シャドースネーク』



 ローザが魔法を発動すると、地面から真っ黒な蛇がニョロニョロと現れ、彼らの体を縛っていく。



「ヒィ———! 私は蛇が嫌いなのよ! 降参するから! 逆らわないから!」



 アムールが必死に訴えるがローザは効く耳を持たない。全員の氷を解除して、ビャッコさんの屋敷に連行した。


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