ミレイの実力
ミレイの故郷に帰ってみると、父親のベンガルが片腕を失っていた。オレはその腕を魔法で治癒し、全員で魔物キメラを討伐しに行くことにした。ミレイの父親のベンガルと母親のソマリに話したが、2人は納得しなかった。ベンガルもソマリもミレイの実力を疑っているようだ。
「ミレイ! お前、魔法が苦手だったよな? それでSランクっておかしいだろ!」
「お父さんもお母さんもしっかり見てるにゃ。」
ミレイは2人に自分の成長を見てもらおうと魔法を発動する体制をとった。ミレイの魔力がどんどん高まっていく。そして光り輝き始めた両手を天に向けて、一気に魔法を発動した。
『ファイアードラゴン』
すると、ミレイの手から巨大な炎の竜が大きな口を開けて、体をくねらせながら空に向かって飛んでいき、そこで大きな爆発を起こした。ベンガルもソマリも目を白黒させて気絶していた。
「お父さん! お母さん! 起きるにゃ!」
「ミ、ミレイ! お前、ミレイだよな?」
「何言ってるにゃ! 僕はミレイにゃ!」
「ミレイ! あなた、相当頑張ったんでしょ?」
「頑張ったにゃ。でも、ケンが魔法を使えるようにしてくれたにゃ。」
「そう。」
ここで、ベンガルとソマリがあらたまってオレに向き直った。
「ケンさん。不束な娘ですが、是非ともよろしくお願いします。」
なんか聞いたことあるあいさつのような気がした。すると、ローザが聞いてきた。
「ねぇ、ケン兄。ケン兄はミレイ姉と結婚するの?」
「どうして?」
「だって、今の挨拶ってそういうことじゃないの?」
ミサキもドリエもオレの顔を見ている。
「ベンガルさん。ソマリさん。オレはまだ結婚する予定がないんで、今は全員がパーティーメンバーなんですよ。でも、パーティーメンバーとしてミレイのことは大事にしますから。」
「よろしくお願いします。」
その日はオレの亜空間の家に泊まった。ミレイとローザがオレのベッドに来た。
「ケンと寝るのは久しぶりにゃ。」
「私はこの前、ケン兄と2人で寝たもん。夫婦のようだったもん。」
「ケン。ローザに何もしなかったにゃ?」
「当たり前だろ! それにローザはまだ子どもなんだから、変な情報を吹き込むなよ!」
「ケン兄。私を子ども扱いするのはやめてよね。」
ローザは最近膨らみ始めた胸をわざとそらして強調する。だが、やっぱり子どもだ。
「はいはい。もう寝るからな。明日キメラの討伐に行くんだろ!」
その日はミレイから漂う甘い匂いを嗅ぎながら、久しぶりに爆睡した。翌朝、息苦しくて目が覚めた。ミレイの頭がオレの胸に乗り、ローザの足がオレのへその辺りに乗っていた。オレはわざとそのまま2人を起こした。
「ミレイ! ローザ! 朝だぞ!」
2人は目をこすりながら目を開けた。すると、2人とも顔が青ざめた。
「ごめんなのにゃ。」
「ケン兄。ごめんなさい。」
「オレが一人で寝たい理由がわかったでしょ!」
「うん。次から気を付ける。」
「僕も気を付けるにゃ。」
そして、3人で食堂に行き全員で食事を食べた後、湖のキメラ討伐に向かった。
“リン。キメラってどんな奴だ?”
“もともと小さな魔物が、他の魔物を取り込んでその能力まで吸収するんです。”
“なら、いくつもの魔物の特徴を備えているんだな?”
“はい。”
“倒すにはどうしたらいい?”
“キメラの本体は核を持っていますので、その核を破壊するのが良いかと思います。”
今回の討伐はミレイに任せることにした。他のメンバーはあくまでも補助だ。
「ミレイ! キメラはお前に任せる。奴はゴーレムと同じで、体のどこかに核を持っているから、それを狙え!」
「了解にゃ!」
湖の近くまで来ると霧がかかり始めた。そして、辺りに魔物の気配が立ち込め始める。恐らくキメラに使役される魔物達だろう。
「ミサキ、ローザ、ドリエ! あたりに魔物達がいるぞ! オレ達でこいつらを討伐するから!」
「わかったわ!」
ジャンボフログや巨大なカマキリの魔物、巨大な蜂の魔物に蟹の魔物、さらにサソリの魔物までいる。霧が立ち込めていて見えづらい。そこで、オレは魔法を放った。
『グラトニー』
あたりに広がっていた霧がどんどんオレの手に吸い込まれていく。視界が良好になった。
「ケン兄! ありがとう!」
ローザは矢に氷の魔法を付与して、百発百中で魔物を倒していく。ミサキは剣に光魔法を付与して、斬撃を飛ばして魔物を切り裂いている。ドリエも剣に魔法を付与して雷雲を発生させ、剣から魔物に向かって稲妻を落としている。あたり一面に焼ける匂いが漂い始めた。
「ミレイ! オレが見てるから、思う存分やっていいぞ!」
「そのつもりにゃ!」




