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最強転生者が神になるまで  作者: バーチ君
アルメデス王国
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初めての冒険者ギルド

 メアリーさんが経営する宿屋に宿泊することになったオレは、神様との約束通り、なるべく目立たないように生活しようと考えていた。



“夜に出歩くと余計に怪しまれるよな。誰にも知られずに出かける方法ってないかな~?”


“マスターは時空魔法が使えるんですから、『転移』を使えば一度行ったことのある場所には一瞬で行けますよ。”



 オレは手に握拳を作った。



“ヤッタ————! 夢にまで見た転移魔法だ!”



“すごい喜びようですね。マスター。”


“ずっと使えたらいいなって思っていたからね。でも、どうすればいいの?”


“転移は時空魔法の一種類なのです。行きたい場所を思い浮かべてください。そして、魔力を発動するんです。”



 オレはリンに教えてもらった通り魔法を発動した。すると、最初にいた草原地帯にいた。



“成功だ~! 転移だ~! やったぞー!”



夢にまで見た転移魔法だ。もう胸のトキメキが止まらない。しばらく感動に浸った後、オレは背中から剣を取り出して、その場で素振りを始めた。汗が額から垂れてくる。それでも剣を振り続けた。こうして剣を振っていると、余計なことを何も考えなくなる。



“さて、宿に戻るか。でも、汗でびっしょりだな。”


“マスター。お風呂に入って体を洗ったことを想像して、『クリーン』を発動してみてください。『クリーン』は無属性魔法ですから、恐らくできると思いますよ。”



オレは、洞窟の中で1か月以上風呂に入れなかったことを思い出した。もう2度とあの臭いは嗅ぎたくない。リンに言われた通り魔法を発動した。



『クリーン』



 頭から足の先まで、体がさっぱりとした。そして、オレは覚えたての『転移』で宿に戻ってそのままぐっすりと寝た。翌朝、食堂に降りていくとメアリーさんがいた。



「ケン。今日はどうするの?」


「仕事を探しに行こうと思います。」


「なら、セバスに冒険者ギルドまで連れて行ってもらったらいいんじゃない。」


「オレ、弱いですから。冒険者なんかにはなれないですよ。」


「別に冒険者だからと言って魔物や盗賊を討伐するだけじゃないわよ。薬草の採取だっていいじゃない。」



 金欠になったら魔物を討伐して金を稼ぐしかない。けど、冒険者ギルドで魔物を引き取ってもらうとなると、否応なしに目立ってしまう。そこで、メアリーさんに聞いてみた。



「討伐した魔物とか採取した薬草を、冒険者ギルド以外で買ってもらえるところはないんですか?」


「そうね。肉屋も薬屋もギルドから素材を買っているからね。」


「でも、この宿はセバスさんが討伐したものを使ってるんですよね。」



 すると、調理場にいたセバスさんがやってきた。



「そうさ。わざわざ、マージンを払う必要もないからな。」


「なら、オレが討伐したら買ってもらえるんですか?」


「いいけど、でも魔物の討伐は無理だって言ったわよね?」


「そうですね。ただ、偶然討伐出来たらって思っただけですから。」



 セバスさんは、メアリーさんと目を見合わせていた。



「わかりました。冒険者ギルドに行ってみます。セバスさんよろしくお願いします。」


「ああ、なら、早く飯を食っちまいな!」


「はい。」



 オレは朝食を食べた後、セバスさんに連れられて冒険者ギルドに向かった。ギルドに行く途中で、セバスさんがいろいろ教えてくれた。ギルドは世界中にあって、ギルドカードが世界共通の身分証になるようだ。さらに、冒険者には階級があり、上からS・A・B・C・D・E・Fランクがある。セバスさんはAランクで、Sランクはその国の国王又は元首のような人物から任命されるらしい。



「ケンはどこかで修行したことがあるのか?」


「多分、ないと思います。」


「昨日、お前わざと殴られていただろ。」


「そんなことないですよ。殺されるかと思いました。」


「なら、聞くが、あれだけ殴られていたのになぜ傷がないんだ?」



“しまった! 『ヒール』で治しちゃったんだ。”



「お前、無意識だろうが、致命傷にならないように避けてたんだよ。」


「すいません。なら、もしかすると、オレは強いのかもしれませんね。記憶がないから分からないんです。」


「そうか。なら、そういうことにしておこう。」



 そんな話をしていると冒険者ギルドに到着した。セバスさんがドアを開けて中に入って行く。オレもその後ろについて中に入った。すると、昨日の冒険者達がいた。



「小僧! ここに何のようだ? ここはお前のようなガキが来るとこじゃないんだよ! 女みたいな顔をしやがって!」



 “女みたいな顔” これはオレにとって禁句だ。オレは無意識で怒ってしまったようだ。周りの人間がオレから離れて行く。どうしたんだろうか?



「ケン! 怒りを静めろ!」



 オレはセバスさんの声で我を取りもどした。



「みんなどうしたんですかね?」


「どうしたって。お前、自覚がないのか?」


「えっ?! 何がですか?」


「お前の身体から凄まじい闘気が出てたんだよ。」



 周りを見ると、昨日オレをぼこぼこにした冒険者達の顔も真っ青だ。



「もしかしたら、本当にオレは強いのかもしれませんね。」



 あくまでも知らないふりで惚けた。



「まあいいさ。受付に行くぞ!」


「はい。」



 オレはセバスさんに連れられて受付に行った。受付には兎耳をした巨乳のお姉さんがいた。オレの目はもう胸にくぎ付けだ。



「ケン。ここで受付をしろ。」


「はい。」


「冒険者登録をお願いします。」


「じゃあ、この紙に記入してね。」



 オレは受付の女性から紙を受け取って記入を始めた。セバスさんがチラッとこっちを見ている。



「ん~。困ったな~。」


「どうしたの?」


「名前は書けるけど、記憶がないから出身地とか書けないし、試したことないから何が得意かわからないんです。」


「そう。なら、名前だけ書いてくれればいいわよ。」


「はい。」



 オレは受付の女性に紙を渡した。すると受付の女性がニコニコしながら話しかけてきた。



「ケンって名前ね。私はリリーよ。よろしくね。」


「はい。リリーさん。」



 オレの目はリリーさんの胸にくぎ付けだ。リリーさんも気が付いたのか、恥ずかしそうに胸に手を当てた。



「ケン。行くぞ!」



 オレはリリーさんにからカードを受け取って、そのままセバスさんに連れられて掲示板を見に行った。



「ケン。ここに掲示されているのが仕事だ。だが、右上に書かれているランクの前後一つまでしか受けられないからな。」


「なら、オレはFだから、EかFしか受けられないということですね。」


「そういうことだ。」



 オレがじっくり掲示板を見ると、EもFも薬草採取や引越しの手伝い、ペット探しなどのようなものしかなかった。



「セバスさん。ありがとうございました。オレ、この薬草採取を受けます。」


「ケンはこの薬草がどこに生えているのか知っているのか?」


「いいえ。知りませんけど。」


「お前、何もわかってないな。まずは薬草がどこに生えているのか、どんな薬草なのかを調べてから受けるもんだろう。」


「そうですよね。でも、誰に聞けばいいんですか?」


「普通はそういう情報はみんな秘密にするから、受付で聞くのが一番だな。それに、資料室に薬草の本があるから、どんな薬草なのか確認しとけよ。」


「はい。」


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