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最強転生者が神になるまで  作者: バーチ君
エリーヌ聖教国
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女性冒険者ケリー

 聖都に行く途中の村で白騎士達と戦闘になったオレ達は、白騎士達を引き連れて再び聖都に向かうことになった。すれ違う人々は、白騎士達と一緒にいるオレ達を不思議そうに見ていた。



「ケン様。あの方達は本当に大丈夫なんでしょうか?」


「ああ、あの首輪をつけてるからね。そういえば、あいつらリリーのことをリリアンナ様って言ってたよね?」


「そうでしたっけ~! 誰かと人違いでもしたのかな~?」



 なんかリリーが気まずそうにとぼけた。別に言いたくないなら聞く必要もない。その話はそこまでにして、街道を順調に進む。次の街サニキラまでもう少しというところで、数台の馬車がオークの群れに襲われていた。



「みんな。急ぐよ!」


「うん!」



 オレ達は馬車まで急いだ。後ろの白騎士達も剣を抜いている。馬車に近づくにつれて、被害状況が見えてきた。場所を守っていただろう冒険者達が数人倒れていた。



「ミサキとローザは倒れている人達の救助を頼む。」


「了解!」



 オークの集団は50匹以上いる。オレは、街道にこれほど大きなオークの集団が現れることに不審感を抱いた。ミレイとドリエが次々とオークを倒していく。彼女達に負けじと白騎士達も頑張っている。形成が不利となるや、オーク達は森の中に逃げ込もうとする。オレは、魔法を発動した。



『スペースカッター』



 オレが剣を振ると、空間が2つに揺らいだ。次の瞬間、逃げようとしていたオークの身体が上下2つに分かれた。



「ブギャー」



 オレ達が馬車まで行くと、数台ある馬車の中から男女数人が降りてきた。全員が顔面蒼白状態だ。



「ケン! この人、手を切断されてるわ!」



 みると、剣を持っていた右腕を切断されている者がいた。ミサキの治癒魔法では、止血はできても元通りにはならない。



「ミサキ。この人はオレが見るから、馬車から降りてきた人達を頼む!」


「わかった。」



 白騎士達はオレが何をするのか興味津々だ。オレは治癒魔法の最高峰である『リカバリー』を発動した。



『リカバリー』



 すると、オレの手から神々しく温かい光が発せられた。そして、見る見るうちに男の腕が元に戻っていく。白騎士達は目を丸くしてオレの治療風景を見ている。



「もういいですよ。」



 オレが男に声をかけると、男はなくなったはずの自分の右腕をまじまじと見て、オレに平伏した。



「神よ! ありがとうございます!」


「やめてください。オレは神なんかじゃありませんよ。これは治癒魔法ですから。」



 すでに失われたはずの治癒魔法。教皇や大司教ですら使えない魔法だ。白騎士のリーダーの男がぽつりと呟いた。



「この世界に、失われた魔法を使うことができるものがいるとは信じられん。」



 すると、その後ろからリリーが声をかけてきた。



「さすがですね。ケン様。」


「別にオレが凄いわけじゃないさ。この力をオレに与えてくれた神様が偉いのさ!」


「ケン様は謙虚ですね。」



 リリーは一言いいながら白騎士達を見た。リリーが何を言いたいのかオレにはわかった。



「ケン。終わったわよ。」


「お疲れ! ところで、この人達は?」


「聖都で行われる武術大会を見に行く途中ですって!」



 オレ達も聖都に行くつもりだと話したら、一緒に護衛して欲しいと頼まれた。しっかりと依頼料をもらって、聖都まで同行することにした。



「ケン! あのオーク達ちょっと変にゃ!」


「ミレイもそう思うか?」


「ケン兄。何が変なの?」


「通常、オークがこんな街道まで集団で出てくることはないだろ!」


「言われてみれば、聞いたことがないです。ケン様。誰かの仕業なんでしょうか?」


「ケン! まさか、魔族?!」


「可能性はあるかな。」



 オレ達は再び、数台の馬車を警護しながら街道を歩き始めた。後ろを歩く白騎士達も何か考えている様子だった。しばらくして、白騎士のリーダーがオレに声をかけてきた。



「ケン殿。ちょっといいか?」



 なんか、いきなり『ケン殿』になってる。



「いいですよ。なにか?」


「俺はアントニウスだ。白騎士のリーダーをしている。聞きたいのだが、ケン殿はどう思われる。神はエリーヌ様だけか、それとも他にもいるのか?」


「どうしてオレに聞くの? オレが言ったらそれを信じるの?」


「ケン殿から出たあの神々しい光、それにあの治癒魔法。教皇様はお主達を邪神の手先と言っていたが、俺にはケン殿が邪神の手先には思えんのだ!」


「それなら、オレ達の行動を見て判断したらいいよ。それに、神様が一人だろうと、複数であろうとどっちでもいいんじゃない。それよりも大事なのは、国民の命を守ることでしょ! それが聖騎士の役目じゃないの?」


「・・・・」



 アントニウスは考え込んでしまった。オレ達が馬車を警護し始めて3日後、ようやく聖都の手前の街オリカサまで到着した。オリカサの街まで来ると人が多い。中には冒険者や武闘家のような者達もいる。



「キャー」



 一旦、解散してオレ達と白騎士達が街を歩いていると、女性の悲鳴が聞こえた。駆け付けると、冒険者達同士で喧嘩になっていた。片方はガタイの大きな男と、もう片方はフードを被っていて顔はわからないが女性のようだ。



「貴様! 俺様にぶつかっておいて何の挨拶もなしか!」


「悪いのはあんた達でしょ!」



 よく見るとガタイの大きな男の後ろには3人の男がいた。恐らく子分か何かだろう。



「あなた達がそこの娘さんに悪さしようとしていたからでしょ!」


「オレ達は何も、なあ?」


「まっ、どっちでもいいわ! やるなら相手をするわよ! かかってきなさい!」



 白騎士のリーダーのアントニウスが止めに入ろうとした。オレはそれを制止した。



「どうして止めるんですか? 相手は男4人ですよ!」



 すると、ミレイが言った。



「大丈夫よ。あの男達じゃ相手にならないから。」



 ミレイの言葉通り、男達4人は一斉に女性に殴りかかったが、簡単にかわされて手刀で意識を刈り取られてしまった。



「わ————!!!」


「すげ————!!!」



 野次馬達が喚声を上げた。すると、その女性はオレの方を見た。



「ケン! 知り合いにゃ?」


「いいや。知らないよ。」



 その後、白騎士達とは宿で待ち合わせをしてオレ達だけで歩くことにした。いつものように服屋を見て歩いていると、後ろから声をかけられた。



「あんた達も武術大会に出るんでしょ?」


「なに?! いきなり!」



 後ろを振り返ると先ほどの女性がいた。先ほどと違って殺気は出ていない。



「あんた達、もしかして『ワールドジャスティス』?」


「だったら何よ!」



 ミサキが怒り出した。ローザがそれを宥める。



「まあ、まあ、ミサキ姉。」


「この国の聖騎士なんぞ! 私の相手じゃないけど、あんた達なら話は別さ。特にそっちの少年は相当やばそうね。」


「お姉さん。分かるんだ~! ケン兄の強さ。」


「当たり前だ! 私はケリーよ。大会を楽しみにしてるわ!」


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