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~いや、そんな能力知らないんですけど?~

「…ですよね。」


「何でそんな冷静なわけ?」

「そういう体質でして…」

「もう話は終わりよ、さようなら」

聞いといて、その反応かよ!

なんかもっといい反応があっただろ。まあいいけど。


その女の子は俺の額にに銃を向けて、セーフティを外した。

ああ…もう終わりだ。と思うのが普通だろう。だが、俺は何度もこういう場面を経験し、逃れてきた。諦めたら本当に死んでしまう。

後と長くて3秒は時間があるだろう。

五感をすべて使え。頭に血を巡らせろ!


「そういえば、お前の後ろに隠れているのはなんだ?」

実際によく分からない。だが俺がこの子を見つけた時は、独り言ではなく明らかに誰かと喋っていた。そして、2つの声が聞こえた。

まだ一緒にいる可能性が高い。そこから、俺は、見えているふりをする演技をして、俺を殺すまで少し時間を稼ぎ、その時間にまた何かを考える。

これでどうだ…!頼む…数分でいい。


「見えているの?」

「まあ、普通に」

う…ばれたか…?

そう思っていた瞬間、俺に向けられていた銃を下したのだ。

「え?」

そして、陰から出てきたのは、ぼんやりとした光?のようなものだった。幽霊が出るときの黒いもやにも似ている。光っているのだが。


『あまり、見えていないよな?少年。』

なんとビックリ。こんな口調に似合わないが、すごくかわいい声。

って、なんでわかるんだよはっきり見えていないって!


『セ────少年には「素────る。殺────。』

「え、ええ。ってか最初から分かっていたなら、言ってよね!」

『誰がとかはわ────。結────か。』


さっきから、女の子の声だけしか聞こえないぞ?

なんでだろう…

距離は離れているわけではないのに、この「もや」の声だけあまり聞こえないのだ。でも、この女の子は普通に声が聞こえているらしい。

一番最初に言っていた声は聞こえたのに。


「そうなんだ!」

『────くだり、1────。』


「あのー。会話が聞き取れないんですけど…」

『ああ。ごめんごめん。いつも、アリシアとしか話さないから調整なんてしてなくてさ』

と、この「もや」が、女の子を指して言った。

この女の子の名は、「アリシア」と言うらしい。顔立ちは、日本人って感じなんだけど、名前は漢字…ではないよな?

多分、外国の名前だと思う。これで、一つ疑問が解けたな。

そしてもう一つ疑問が浮かび上がる。

「調整とは?」

『…?いや…普通に「マナ」の操作だよ』

「あの…「マナ」とは?」

『何で知らないの…!?』

「ごく普通の高校生が、その裏の能力みたいなの分かる訳ないじゃないですか!」

『そっかあ…』

「もや」が反応に困っていると、隣からアリシアがひょこっと出てきた。


「私が説明しよう!まず、「マナ」は体の内に秘めている力みたいなものだよ。わかりやすく言うと「気」みたいなものかな。

次に「六感」についてね。六感はこの世の中で8人しかいない超能力を持っている人のことを指すんだ。たとえば私はこの「ピース」。君にはもやに見えるんだっけ?

そして、この「ピース」も六感を持ってて未来を読んで頭の中で想像する能力を持ってるんだ。それでここからが重要なんだけど、さっき言った8人の中で5人。つまり半分以上が、人を殺したりさらったり、その体で実験をしたり…と悪事に染めてしまってね。しかも、そこでグループを作っているうわさもあってね。それで、私たちは「六感」を持っている人としての責任を持ち、捜索、戦闘をしているわけ。ざっと、こんなもんかな!」


「ざっとこんなもんかな!」なんて言われてもいろいろありすぎる。

しかも当然のように、戦闘って…

マナやら六感やら意味の分からない単語が並べられていたが、少し理解できたような気がする。だが、いきなり言われてもまだ、完全には理解できていない。


「そういえば、あと一人はどこに…?」

『ああ…多分君。』

「へえ…」

「…」

『……』

なぜか沈黙が続いた。なんか変なこと……

「え!?俺!?」

『だって僕が見えるのはこの六感を持っている人にしか見えないからね』


そういえば、おかしいと思った。見えるって言った時に以上にびっくりしていたのはこういうことか。

「そうそう。見えるって言ったときはびっくりしていたんだから!」

『僕は今日、こんな感じになるってわかってたけどね』

「だから僕を殺さなかったんですね。それで僕は何をするといいんですか?」

『まずは、修行かな~?』

「そう!マナの操作と基本的な体作りね」

「ということは、高校生活は…?」

『普通にはできないね。でも、最低限の保証はするよ』

俺の高校生活が…


こんなにもあっさり消え去るとは、さすが俺のフラグ回収力。まあ、死ななかっただけましか…

でも…やだ!すごく嫌だ…

ここは、相手を怒らせないように…!

「丁重にお断りします」

そして、頭を下げる。

『それじゃあここは、アリシアに任せようかな~?』

ピースが不穏な笑みを浮かばせている。未来がわかっているからこそ、アリシアに任せているのだろうか。と、いうことは…?俺がこの話を承諾するという未来が見えているのか?

いや。それは、ないな。何があっても断ってやる!


「うーん……あ!私の家に住んでもいいということにしよう!もちろん食費も込みでね」

「断る。別にこの話を承諾しなければ、親が働いている限り金はあるしその後に就職すればいい。わざわざ命を懸けて戦う必要はない。」

「うっ…」

「そ、それじゃあ前線で戦わなくていいことにして、いざという時に後ろから守ってくれれば…」

「俺は、そもそも前線で戦う予定だったのか…」

「もっとなんか、いいものがあるはず…」

アリシアが頭を抱えている。意外と、余裕はないらしい。これは、乗り切れるか?

「それじゃあ何でも言うことを一つだけ聞いてあげる!」

何その小学生みたいな約束。

「何でも?」

「ピースならできるはず!」

『たいていのことはできると思うけど…』

たいていのこと?ああ…そういうことか。

やっと、謎が解けたよ。


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