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第6話 ロクな休日じゃない。

「それじゃあ、玲。早速だけれど明後日、場所の確認も兼ねてお邪魔してもいいかしら?」


 明後日?月曜じゃないか。明日の日曜はダメな……ああ、俺と同じ理由か。明日は補習なのだろう。


「ここだけ出席が足りない感だされても意味無いよね。」


「フフッ。でもそのお陰で、日曜日のイベントは極端に少ないわ。玲だってそうでしょ?」


 よくよく考えてみると俺のイベントは土曜日ばかりだったな。確かにその通りだ。


 昔の俺が、俺を攻略していた時、『1番の休日なのに何故居ないんだ!』とイライラしていた理由はコレだったのか。今となっては懐かしい思い出であり、この俺になっては、非常にありがたいな。丸1日休みに姫野に付き纏われたら、たまったものじゃない。


「なんだか補習が好きになってきたよ。」


「馬鹿ね。とはいえ、私もよ。あの時間だけは何も起こらないものね。」


 その後、俺の家の地図や住所を教えて、互いに連絡先も交換する。そして月曜に来る時の為のお金も多めに渡す。沙希はとても恐縮していたが、俺が日々使う額はあまり無いのだ。一応病弱でもあるし、本当に体調が悪い日も多々あった。なので、食事の量が多い事もなく。出歩く頻度も少なく使う事すら多くない。


「あまり気にしなくていいよ?俺は沙希が来てくれる為に渡し、そして来てくれるのが嬉しいんだ。」


「……だから、その顔と声で言わないでよ。」


 顔を赤くして沙希は照れていた。イケメンパワーは耐性知らずなのだろうか?

 こうして、俺達は、彼氏、彼女として、大きな一歩を踏みしめた。


「じゃあ明後日の月曜だね。沙希。ここの会計も済ませておくから、そのまま出ちゃって。1人で帰らせることになるけど、ごめんね。」


「良いのよ。一緒のところを見られた方が大変だわ。玲。ご馳走様。また明後日ね。」


 こうして、俺達の合コンは、始まりさえしなかったが、お持ち帰りし無事付き合うことに決まって終わった。



 日曜日の安全な補習を終えて、月曜日。



 家で休んでいたら、10時半頃にインターホンが鳴った。液晶モニターに映るのは予定通り沙希だった。


 玄関まで行き、扉を開けてお出迎え。


「ごめんなさい。少し遅くなってしまったわ。」


 沙希は会って早々謝ってきた。何についてなのか分からないので、気にしてないとフォローしておいた。


「いいや、特に待ちくたびた訳じゃないから大丈夫だよ?寮母なら朝の仕事も大変でしょ?俺は休んでるだけだから、急がなくても良いよ。

そんなことより上がってね。扉を開けたままだと他人に見られるかもしれないからね。」


「そうね。お邪魔します。」


 沙希は扉閉めて俺の部屋に上がり込んだ。なんだか、やたらと荷物を持っていた。なんだろうと首を傾げて不思議そうな顔をしていると、はにかみながら説明してくれた。


「料理をしようと思ってたのよ。男の一人暮らしなんだもの。どうせ、まともな食事を取ってないでしょ?」


「良いのか?」


「良いわよ。というより、そうしてないと落ち着かないのよ。玲だってそうじゃない?貴方は特にやる事が無いはずよ。なのに何かをしてる様子も無いわ。私達は私達の設定以外の事をしようとすると落ち着かなくなるのよ。」


「そうだったのか。だから出歩かないのも俺の設定の内なのか。」


「多少は出歩いた方が健康に良いと思うけどね。」


 沙希は笑いながら食材を冷蔵庫に入れたり、早速と言わんばかりに昼食の用意をしだしだ。


 俺も調理器具や食器の場所を伝えたり手伝っていたが、ある程度覚えたら1人で大丈夫とのことで、部屋で本でも読んで待っているように言われた。


 俺の部屋で美女が料理を作っている。これは人生を謳歌しているといっても過言じゃないはずだな。


 そして、沙希の姿だが、エプロンをしている訳でも無いのだが、色気が半端ない。流石アダルトゲームの隠しキャラなのだろう。姫野や心垣さんには無い空気を持っていた。チラチラと沙希の事を見てしまっていたら、沙希もこちらを気にしてチラチラと見てきた。


「ごめんね。気が散ってしまったかな?

こうして改めて見ると、沙希はこっちのゲーム世界には無い色気が凄いよね。」


「それはお互い様よ?本を読む時は髪を上げているのね。素顔を晒すのは目に毒だわ。玲は、カッコ良すぎるのよ。あのケダモノとは大違いで、気になって仕方がないの。」


 お互いの環境に無いものを魅入ってしまっていた。


「アハハッ。それは傑作だね。」


「あっ!笑ったらもっと破壊力が大きくなるのね。笑い禁止よ。ウフフ。」


「だから、それはお互い様だよ。」


 2人で笑っては注意しあったりと料理が出来るまで平和な時を過ごした。



 料理がドンドンとテーブルに並んでいった。こんなに食べきれるのだろうか?少し心配になってしまった。顔に出ていたのかもしれない。沙希は笑って、


「残しても大丈夫よ。タッパーに入れて冷蔵庫に置くから好きな時に食べてね。」


 と可愛い事を言う。


「ああ。日々の楽しみが増えたよ。ありがとう。」


「どういたしまして。それじゃあ食べまし……ああ、ごめんなさい。2人以上で食べるのは本当に久しぶりで忘れていたわ。少しだけ待ってて。」


 と言って沙希はトイレに向かった。暫くして戻ってくると、沙希の胸がはちきれんばかりに爆発していた。


「沙希。それは……。」


「どうせ、そう遠くない内に私を抱くのでしょ?それなら早めに知った方がいいじゃない。サラシを巻いてると食べている時、苦しいのよ。」


「沙希……。一昨日俺に設定盛り過ぎと言ったけど、沙希も大概に盛り過ぎだからね?」


「そうかもしれないわね。フフッ。さ、食べましょうか。」


「そうだね。沙希。いただきます。」


沙希の料理は寮母をしているだけあって、とても美味しかった。

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