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プロローグ

内容を変えての投稿になるのであしからず。よろしくお願いします!

 

「口元に炎が溜まってるわ!ブレスくるわよ!」


「任せろ!対魔法障壁展開!!」


 魔王軍幹部炎帝ドラグニス。

 龍の顔にトロールみたいな太った体。

 俺たち勇者パーティが初めて戦う魔王軍幹部だ。


 魔王軍幹部だけあって今まで戦ってきたどんな魔族よりも強い。強いのだが……

 俺が回想にふけっていると炎のブレスがタンクのブレンに向けて放射された。


「ぐっ!なんて威力だ!!何度食らっても威力が全く落ちる様子がない!こっちはもう結構限界に近いのに!!」


 などと弱気なことを言っている。

 たしかに見た目は派手なブレスだ。


「諦めるなブレン!!まだやれるさ!!」


「当たり前だぜ!さぁ、ミクル!今のうちに奴を叩いてくれ!!」


「任せておけ!うおおおぉ!!!」


 あ、ちなみにミクルってのが勇者ね。

 俺は勇者がいるパーティになぜか存在している戦士のオルク・カイナだ。

 まぁ色々あって今勇者パーティの一員をやっているのだが……


「くるわよ!!ミクルの必殺技が!!」


「いっけぇー!!」


 おっと俺の言葉を遮らないで頂きたいのだが。

 今の声は魔法使いのアスとヒーラーのヒイラの発したものだ。

 2人とも心底勇者に惚れている。

 このパーティにいると何度もミクルを取り合う2人の喧嘩を見なければならないのが割と苦痛だ。

 勇者ってのは何もしなくてもモテるから羨ましい限り……もとい大変だと思う。


 さてミクルの剣に金色の光で包まれ、その光がミクル自身も包み込んだ瞬間、


「よし!行くぞ炎帝ドラグニス!!これでお前との戦いもおしまいだ!!食らえ勇光破剣(ゆうこうはけん)!!」


 その光の斬撃は炎帝を見事に捉える。

 しかし捉えているだけで対したダメージは出ていないだろう。

 先ほどからそうだ。

 勇者の攻撃は当たりこそすれダメージが出ていないのだ。

 炎帝は言葉は発しないのだが、叫び声は上がるから、それをどうも勇者たちはダメージが通っていると勘違いしているみたいだ。

 まぁ炎帝の攻撃の威力が落ちないところから考えてもダメージはほとんど通っていないと考えるのが妥当だろう。


「どうだ!!俺の必殺技!!ひとたまりもないだろう!!」


 いや、だからそういうこと言うのはやめときなよ。

 倒せてなかったらすごく恥かくよ。

 さて勇者さん恥をかくのは少しかわいそうだから……


 シュババババッ!!


 この立ち上がる砂煙に紛れて倒しておくか。

 こうして炎帝ドラグニスは俺の(ここ重要)一撃によって葬り去った。

 ……まぁ俺が倒したってことは誰も気付いていないんだけどね。


 砂煙が晴れたのちその場に倒れる炎帝を見て、


 ミ「おっしゃーー!!!炎帝を倒したぞ!!」

(↑対して何もしてない)


 ア「さすがねミクル!!凄まじい一撃だったわ!」

(↑対して何もしてない)


 ヒ「私惚れ直しちゃった……!」

(↑対して何もしてない)


 ブ「ふぅ、危ういところだった……。でもさすがミクルだ!お前がいてくれて本当に助かるぜ!」

(↑1番がんばった。勇者よりも確実に)


 などと口々にそんな事を述べている。

 いやどう見てもあの炎帝の亡骸の傷は勇者がつけたものじゃないだろう。

 それに気がつかないなんて大丈夫か……?


「オルク、君もよくやってくれたよ!!ありがとう!!」


 笑いながら肩をポンポンと叩いてくる。

 思ってもないことは言うべきではない。

 俺は適当に会釈し勇者から一歩離れた。


「じゃあみんな!街に戻って祝杯をあげようじゃないか!!今日は盛大にやろう!!」


「お、いいな!じゃあ今日は俺のとっておきの酒を用意しよう」


「本当かい!?それは楽しみだ!!」


 ワイワイ言いながら街への帰路についた。

 俺はため息しか出ない。

 なにせ………勇者が戦士の俺より弱いなんて……


 ◇◆◇◆


「みんな酒は行き届いたかい?じゃあ乾杯!!」


「「「乾杯!!」」」


 普段からテンションの高い連中だが、今日は大物を倒しただけあっていつもの5倍増で高い。

 つまりはめんどくさい。


「オルクはぁ、もっとさ強くなった方がいいよぉ!ミクルみたいにさぁ」


 しばらく経ってだいぶ酔いがまわってきたのだろうかアスが唐突にそう言った。


「あー、それ私も思ってた。オルクの攻撃ってなんかこう……地味だよね。ミクルみたいに派手な技を身につけた方がいいよ」


 ほう、こいつら対して何もしていない分際で俺にそんなことを宣うか。

 一発現実教えたろうか、ああ!?


「アス!ヒイラ!そんな事を言うもんじゃない!!オルクは仲間だ!仲間に対してそういう言い方俺は好きじゃない!オルクは今のままでも十分強いし戦えてるよ!」


 いいこと言うじゃないかミクル。

 もっと言ってやってくれ!


「たしかに俺みたいな必殺技はないけど、それでもオルクはオルクなりに戦ってるんだ!」


 ……どついたろうかこの野郎。


「ミクルの言う通りだぞアス、ヒイラ。オルクに謝れ」


 ……俺の味方はブレンだけだぜ。


「はぁ!?なんでブレンなんかに命令されなきゃいけないの?ミクルが言うならまだしも……「オルクに謝った方がいいよアス」ごめんねオルク!!」


 俺本当にこいつ嫌い。

 ………まぁそろそろいいか。


「なぁミクル、俺パーティ抜けようと思うんだ」


 俺がそう切り出すと


「何を言ってるんだいオルク!!そんなの許可できない!!」


 すぐにミクルが激昂した。


「いや、たしかにアスやヒイラが言うように俺はパーティにいても役に立ててないと思うんだ。だから一度自分を鍛えるためにパーティから離れることにするよ」


 まぁ嘘なんだけどね。


「別にそこまで言ってないんだけどー」

「なに?私たちが悪いの?」


 ……このアマたちは数分前のことも記憶できないほど馬鹿なんだろうか。

 こんな奴らと一緒にいて百害あって一利なし。

 さっさと立ち去ろう。


「……いつか戻ってきてくれるのかい?」


 俺は無言でミクルを見つめる。

 そう目で訴えるのだ。

 戻る気はないってな!


「……伝わったよ」


 流石に俺の顔を見たら伝わるか。


「俺はいつでも待ってるからな!」


 ん?少し話が掴めないぞ。


「強くなって戻ってくるオルクのことを!!」


 あー、了解。

 理解してないのね。私の真意を。

 でもまぁ、パーティから抜けることは了承してくれたしここは早いうちに抜けておくかな。

 俺は早いうちに部屋から出ようと椅子から立ち上がった。


「ちょっとまちなよオルク!」


 アスに呼び止められた。


「なんだ?早く出ていけとでも言うのか?」


「そんなこと言わない。ただあんたが持っている武器や防具やお金は置いていきなよ。それはミクルが手に入れたものでしょ?」


 ………ぐうの音も出ないわ。

 武器はそもそも俺が倒した魔族から奪ったものだし、防具もオーダーメイドで自分で作ったものだ。

 金だって報酬を山分けしているものだから間違えなく俺のものだ。

 故にこのバカが何を言っているのか理解できない。


「アス!何を言ってる!あれはオルクの物だ!置いていく必要もない!」


 この勇者は本当にバカ正直でいい性格してると思う。

 まさに勇者にぴったりな性格だろう。


「さぁオルク!気にせず行ってくれ!そしてまた会おう!!」


「ああ、ありがとう。元気でな」


 俺はミクルと握手を交わし部屋からでた。

 ……ようやく自由な身だ。

 これから何をしようか。


 俺はあれこれと考えながら新たな一歩を踏み出した。

 新たな未来へと向けて………

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