平和な世界 0-1
初投稿です。
もしもこんな世界があれば、を基にして書いてます。
戦いをベースにしてますが、当方少しのライトノベルと少年漫画しか読んでいないにわか野郎です、ご了承ください。
楽しんでいただければ幸いです。
高校生のバトルもの、いいよね。
.0-1
人という存在がある。
この地球という空間の中では当たり前の事だ。
人には感情がある。
感情があるから人は様々な生き方をする。
人には個性がある。
他の誰とも違う、その人自身だけの特性。
人には思想がある。
共感したり衝突したりする、考え、教え、信仰。
人には可能性がある。
生きるも死ぬもその確率、実に無限大。
総じて人には、生き方がある。
人には、いろいろなものがある。
では一つ、可能性を提示しよう。
「もしも明日、生き方がガラッと変わるとしたら」
「うるせーよ」
少年の声が部屋に反響した。
ここは八月中旬のとある高校の自習室。
自主的に勉強しにくる生徒のため、長期休暇中でも指定時間内で常時開放されている。
時間は昼過ぎ。ちょうど一日で最も暑くなる時間の少し前だ。
その中で二人の高校生が談笑を繰り広げていた。
「どう?少しは頭良くなったかな?」
ツッコミを入れられた少年は、屈託のない笑顔でそう答える。
目がすっごいキラキラしてる。
「急に何を読みだしてんだてめぇは」
「なんか凄そうな本!かっこよくね!」
小学生並みの感想である。
「もとあった場所に置いてきなさい」
「読んでから置いてくるよ!」
本当に置いてくるんかい。せめて返せよ。
クリスマスのプレゼントを見るような目で本を見つめる彼。
何がそんなに嬉しいかはわかんないけど頭良くなったとか思ってんだろうきっと。
「はぁ・・・お前は一体何を目指してるんだ」
「どこでもいいから工学部!」
ガバッと身を乗り出す彼はまたしても元気良くそう言い放った。
机が揺れる。立ててあった消しゴムが倒れた。
「じゃあ頭のネジ締め直す事から始めろバーカ」
「頭のネジって締めれるの!?締めたい締めたい!」
「おもしろくねーよ」
「え?何?グロいってこと?」
「・・・ネタじゃなかったのかよ」
ドン引き。
部屋は暑いままである。
というか逆に暑い事を更に意識してしまいそう。
「それより雷人遅いね...病院長引いてんのかな?」
少年が呆れている横で今度はは未だに自習室へやってこないもう一人の友人の心配をし出す彼。
自由奔放なのか心配性なのか、一体どっちなんだろう。
「それよりで済ますのか・・・そうだな、昨日久々に喘息出たって言ってたし」
「勉強大丈夫なんだろうか!」
「お前じゃあるまいし、雷人なら成績のリカバリー効くだろ」
「まじか!雷人すげえ!」
「お前本当にあいつと一緒に3年間居ての反応かそれ」
「頭いいとは思ってた!俺ほどじゃないけど!」
「・・・あー、帰りたい」
勝手にヒートアップしている彼を横目に、少年はテンションについていく事が出来なかった。
マシンガントークじゃなくてマシンガンだよこれ。
よく三年間も友人でいれたなと思うと同時に、何回同じ事を考えたっけと呆れが脳裏をよぎった。
彼はまだなんか言っているが、少年は聞くことを止めた。
「もうこんな時期なんだなぁ」
少年は何気なく窓の外へと視線を移した。
外からは運動部の気迫ある声がグランドからこの教室内に細く響く。
夏休みもあと半分という時期。
夏休みは彼らのように高校三年生にして受験を控えている学生にとっては勉強の山場の時期だ。
中には未だに部活に励む生徒もいるが、それはそれで部活動で功績を残している証拠でもある。
実際にまだアーチェリー部が大会で負け無しを誇っている。
次の戦いに勝つと東海ブロック代表として全国大会へと駒を進めるらしい。
それ以外の部活も、三年生が抜けた新チームで挑む次の新人戦に向けて、練習に励んでいた。
何気ない夏休みの高校の風景。
蝉が鳴き、青空の向こうには高くそびえ立つ入道雲。
三階からでも十分見える校外の街並みには、なんとなく陽炎が揺らいでいる気がした。
涼しいなんて微塵も思えないけど、心だけは清々しい、そんな夏休み。
開放されている自習室で受験勉強をする、そんな夏休み。
友達となんとなく一緒にいる、そんな夏休み。
「・・・幸せだ」
少年の名は鈴木直人。
平凡を愛する、平凡な高校三年生の男子。
彼がこの物語の主人公。
今日も平和だ。
少年はそう思いながら、数学Ⅲの参考書に手をつけた。
まずはこいつに数学を分かってもらわないとな。
「さ、今日もはじめるぞ」
そう言いながら再び彼の方を向くと既に教科書とノートが開かれていた。
「任せろ!」
なんだかんだ三年間友人。周波数はバッチリだ。
直人も悟って若干微笑む。
「じゃ、今日は最後。教科書246pー」
勉強開始。




