街についたのに
中は暗く、少しして目が慣れてきたころ、準備ができたのか動き出した。
何人かすでに座っている人がいる。
「あの、」
声をかけようとしたところにかぶせるように一番近くにいたであろう女の人がしゃべりだした。
「あなたも捕まったのですか?ここではあまり大きな声で話さないほうがいい。
奴が気に食わないことを言えば殺されてしまう…」
いまいち状況がつかめていない
「私は、街まで乗せてもらうというのでここに乗った」
暗闇に慣れた目は、話していた女の人がどんな人か映しだした。
髪はやや明るい茶色で片方にまとめられている、歳は27ぐらいだろうか。
「あんたは騙されたんだよ…あんたみたいな美人は特に狙われやすい。私はここから2キロほど離れたところにある小さな村に住んでたんだが、あいつらが来て村を…」
「1人ではないの?」
「もう2人、隠れているよ。1人なら隙を見つけて逃げ出すことが可能かもしれないけどね、3人いる状況で逃げ出せば必ず見つかり殺されてしまう…」
「…ここにいる皆さんは人質?それともほかの何か?」
「後者が正解だよ、これから私たちは売られる。今向かってるのはカイローナという町で。結構大きな街だよ。そこの奴隷市場が目的地さ…」
ガタンッ
馬車が止まった。
「降りろ」
順番に箱から降りていく。
辺りはすっかり暗くなり日が落ちていた。
手には手錠のような簡易的なものがはめられた。
「あの、私はここに乗せてきてもらっただけ」
私を乗せた男に話すが、黙って歩けと言われるだけで答えてくれない。
「ついたぞ」
石を積んだような壁に、黒っぽい木の扉がついていた。
中に入るとすでに何人かの女の人がいて、みな不安や絶望といった表情をしていた。
「もう始まっているぞ」
「わかっっている、途中でいい拾いもんをしてなぁ」
へへっと男は私の手を引っ張りもう一人の男に私を見せた。
「おぉ、上玉じゃねーか」
「だろっ」
「自分のにしちまいてーぐらいだ」
「やめとけよー」
「わかってるよ、カイキさんに渡そうと思ってな」
「カイキさんが気に入ると、褒美を沢山もらえるからな」
「楽しみだ」
私は手を引っ張られ奥へと進んだ。